歯周病を治したら糖尿病も治った、その理由は?

『血糖値がなかなか下がらない』と悩んでいませんか?
それは、糖尿病のせいだけでなく、実は『口の中の慢性炎症』が原因かもしれません

チェックリストでいくつ当てはまりますか?

歯周病のチェックリスト

歯周病のチェックリスト

チェックが多いなら、
・糖尿病
・歯周病
の可能性があります。

糖尿病と歯周病は、関係ないと思っていませんか?
歯周病は口の中だけの病気ではありません。
糖尿病・血糖値・インスリン抵抗性・慢性炎症と深く関係していることが分かってきています。しかも、その関係は一方通行ではなく、👉歯周病を治すと糖尿病も良くなると言われるほど密接な関係なのです。

◆ この記事で分かること

  • 糖尿病では歯周病になりやすい
  • 歯周病があると糖尿病が悪化しやすい
  • 食後高血糖は糖尿病も歯周病も悪化させる
  • 歯周病治療でHbA1cが下がる可能性がある
  • 歯周病は認知症とも関係する可能性がある

#この記事は20年以上にわたり製薬会社で糖尿病治療薬の研究開発を行っていた医学博士けんぞうが書いています。今回は、歯周病と糖尿病の関係について、これまでの研究報告をもとに分かりやすく解説します。

糖尿病では歯周病になりやすい

糖尿病患者の50〜80%が歯周病を患っている

歯周病は、磨き残された食べカスに細菌が繁殖した歯垢(プラーク)が元となり炎症を起こし、歯茎の腫れや出血、膿みが出たり、最終的には歯が抜け落ちたりする病気ですが、

歯周病を治したら糖尿病も治った

歯周病を治したら糖尿病も治る?

糖尿病患者の50〜80%が歯周病を患っているといわれ、糖尿病ではそうでない人に比べて約2.6倍も歯周病になりやすいことが分かっています。

歯周病は糖尿病の合併症と言っても過言ではありません。

糖尿病で血糖値が高い状態が続くことで体のさまざまな防御機能が低下するため、歯周病になりやすく、そして歯周病になると非常に治りにくく、歯周病が進行するのです。

◆ 糖尿病で歯周病が悪化しやすい理由

  • 免疫機能が低下しやすい
  • 細菌感染に弱くなる
  • 血流が悪くなり歯ぐきが治りにくい
  • 唾液の分泌低下で口の中が乾きやすい
  • 高血糖により炎症が長引きやすい

歯周病は糖尿病を悪化させる

特に重要なのが「歯周病と糖尿病との関係」です。

糖尿病では免疫機能が低下し、感染症に弱くなります。そのため、歯周病が悪化しやすくなります。そして、歯周病が悪化すると糖尿病を悪化させるという悪循環(負のスパイラル)が起こるのです。

糖尿病と歯周病の負のスパイラル

糖尿病と歯周病の負のスパイラル

この悪循環を放置すると、糖尿病ドミノの引き金を自ら引くことになります。どちらか片方ではなく、両方の治療が必要なのです。
このように、糖尿病が歯周病を悪化させると同時に、歯周病もまた糖尿病を悪化させるという負のスパイラル関係にあるのです。👉歯周病は糖尿病を悪化させる

歯周病では、歯周ポケットで歯周病菌が増え、歯ぐきに慢性的な炎症が起こります。
この炎症によって炎症性物質(TNF-α、IL-6、CRPなど)が増え、これらの炎症物質はインスリンの働きを妨げることからインスリン抵抗性が悪化し、糖尿病も悪化するのです。

#インスリン抵抗性が悪化=インスリンが効きにくくなる
##歯周病菌とは、歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)に潜む「嫌気性菌」の総称。毒素を出して歯ぐきの炎症や骨の破壊を引き起こすほか、血管に侵入して糖尿病や心疾患などの全身疾患にも悪影響を及ぼします(日本臨床歯周病学会)

歯周病は糖尿病の合併症です

歯周病は糖尿病と密接な関係にある

このように、糖尿病と歯周病は密接な関係にあるのです。👉糖尿病と歯周病の密接な関係

◆ 歯周病で血糖値が悪化する流れ

  1. 歯周病菌が増える
  2. 歯ぐきに慢性炎症が起こる
  3. 炎症性サイトカインが増える(TNFーαが増える)
  4. インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性が悪化)
  5. 血糖値が下がりにくくなる

ですから、「糖尿病が歯周病を悪化させた」と言う論文がある反面、「歯周病を直すと血糖値が下がった」との多くの報告も有るのです。

👉歯周病を治すと血糖値が下がる 👉歯周病を治せば血糖値が改善する

歯周病は「慢性炎症」の病気です。

歯周病は口の中だけでなく、全身の病気とも関係することが分かってきています。
歯周病は、単に歯ぐきが腫れるだけの病気ではありません。
全身の炎症を通じて糖尿病を悪化させる可能性があるのです。
歯ぐきの炎症が長く続くことで、炎症性サイトカインなどが全身に影響し、血糖値や血管にも悪影響を与える可能性があります。

食後高血糖は糖尿病も歯周病も悪化させる

糖尿病で食後に血糖値が急上昇する食後高血糖は歯周病をも悪化させる

糖尿病や糖尿病予備軍の人では食後に血糖値が急激に上がり、食後高血糖(グルコーススパイク)とよばれます。
食後には糖尿病でない人でも血糖値が上がりますが、糖尿病の人では長時間にわたって高血糖状態が持続します。
#臨床的には食後2時間目の血糖値が140mg/dl以上であれば食後高血糖と診断されます

食後高血糖は糖尿病を悪化させる

食後高血糖は糖尿病や歯周病を悪化させる

食後高血糖はインスリンの大量分泌を引き起こして膵臓を疲れさせたり、インスリンの効きを悪くしたりして糖尿病を悪化させるのですが、同時に免疫機能の低下や唾液分泌の減少を引き起こし、歯周病菌の繁殖と炎症を加速させるのです。

グルコーススパイクは糖尿病ドミノをすすめる

食後高血糖は糖尿病ドミノの1枚目

食後高血糖は歯周病だけでなく、全ての糖尿病合併症の引き金になっているのです。

👉 糖尿病ドミノの1枚目は食後高血糖

血糖値は「点」ではなく「曲線」で見る時代へ

食後高血糖は健康診断の空腹時血糖やHbA1cでは分からない

歯周病をはじめ糖尿病合併症の引き金になる食後高血糖ですが、食後高血糖は、健康診断の「空腹時血糖」や2~3ヵ月間の血糖値の平均を表す「HbA1c」では見つけることができないのです。

食後高血糖は、食後に継続して血糖値を測定する必要があるり、血糖値の変化を曲線として捉える必要があるからです。

👉どうして食後高血糖は健康診断では分からないのか

健康診断では分からないグルコーストレンド

健康診断では分からない食後高血糖

食後高血糖は糖尿病や妊娠糖尿病の確定診断や人間ドックの糖負荷試験で調べることができますが、現在では、フリースタイルリブレなどのCGMの普及によって、血糖値を「点」ではなく「曲線」で確認できるようになってきました。

【筆者から一言】
私もAmazonで購入したフリースタイルリブレを使って食後高血糖を測定してみました。血糖値には全く異常がない私ですが、食後には血糖値が、、、

👉フリースタイルリブレで食後高血糖を測ってみた

しかし、何を食べれば血糖値が上がるのか、どういう食べ方をすれば血糖値が上がらないのかなど、非常に重要なことが沢山分かりました。

歯周病と糖尿病のQ&A

質問①: 歯周病を治すと血糖値が下がるの?

【答え】歯周病の治療で糖尿病が治るわけではありませんが、、、

・歯周病の治療だけで糖尿病が完全に治るということではありませんが、血糖コントロールを悪くしている歯周病を治療すると、血糖値が改善する可能性があるということです。
・血糖値がなかなか下がらないという人では、歯周病が血糖コントロールを悪化させている可能性があります。
血糖コントロールが悪い人は内科だけでなく歯科のチェックも重要です。

質問②:歯磨き回数が少ないと糖尿病になりやすいの?

歯周病と糖尿病の関係を考えるうえで、歯磨き習慣も非常に重要です。

【答え】歯磨きだけで歯周病や糖尿病を予防できるわけではありませんが、、、

・国内の大規模研究で、歯磨き回数が少ない人ほど糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病が多いということが報告されています。
歯磨き習慣が悪い人では、歯周病や慢性炎症が起こりやすく、結果として糖尿病のリスクが高まる可能性があるのです。

👉歯磨き回数が少ないと糖尿病になる 👉毎食後のハミガキで糖尿病を予防できる

厚生労働省の調査によれば、日本人成人の平均ハミガキ回数は「1日2回」「1~3分」だったそうです。日本歯科医師会では、回数や時間よりも虫歯や歯周病の原因となるプラーク(歯垢)をどれだけ取り除けるかという「質」のほうが大切だとしています。

質問③: 口臭は歯周病や糖尿病のサインなの?

口臭は自分では気づきにくく、単なるエチケットの問題ではありません。

【答え】口臭は歯周病で見逃されやすいサインの一つです

・歯周病によって歯ぐきに炎症が起こり、歯周ポケットの中で細菌が増えると、強い口臭が出ることがあります。
・糖尿病では口の中が乾きやすくなったり(ドライマウス)、歯周病になりやすくなったりするため、口臭が目立つこともあります。

👉口臭は糖尿病のサイン?

質問④: 歯周病を放置すると認知症になるの?

歯周病による慢性炎症、血管障害、糖尿病悪化はいずれも脳の健康と無関係ではありません。

【答え】歯周病と認知症は無関係ではありません

・歯周病の人はそうでない人に比べ、認知症リスクが約1.7倍高くなることが報告されています。
・歯周病菌などの炎症性物質が血液を通して脳に入りアルツハイマー病の原因になるアミロイドβの蓄積を促進することが分かっています。

歯周病はアルツハイマー病のリスクを高める

歯周病はアルツハイマー病のリスクを高める

認知症患者において歯周病治療や口腔ケアを行うことで、認知症の進行が予防できる可能性も示唆されています。

👉糖尿病で歯がなくなると認知症のリスクが高くなる

質問⑤: 歯周病を放置するとどうなるの?

⻭周病菌の悪影響は⼝の中だけにとどまりません。認知症、糖尿病、そして糖尿病合併症へと進みます。

【答え】歯周病を放置すると重篤な合併症へとすすみます

・歯周病がすすめば糖尿病も重篤化します。
・糖尿病が重篤化すると糖尿病合併症が併発します。
・糖尿病合併症の先には、足切断、失明、人工透析などが待っています。

糖尿病は無症状な病気ですが、高血糖が続くと血管が障害され、様々な全身の合併症が併発します。

糖尿病はドミノ倒しのように進む

食後高血糖より始まる糖尿病ドミノは、足切断、失明、腎透析、そして心筋梗塞や脳卒中などへとドミノ倒しのように重篤な合併症が連鎖していくのです。

👉糖尿病ドミノとは?

食後高血糖の最初の1枚を倒してしまうと、その後の進行を食い止めることが非常に困難になるのが特徴で、最終的に命に関わったり生活の質(QOL)が著しく低下するので、最初の一枚、食後高血糖(グルコーススパイク)を倒さないように注意してください。

👉グルコーススパイクとは?

まとめ|血糖値が高い人は定期的な歯科検診が必要です

糖尿病対策というと、食事療法や運動療法ばかりが注目されますが、定期的な歯科検診も重要なのです。

◆ 定期的に歯科検診を受けた方が良い人

糖尿病予備群と言われた人で、

  • 歯磨きで出血する / 口臭が気になる / 歯ぐきが腫れている
  • 歯石を長く取っていない
  • 血糖値が高い / HbA1cがなかなか下がらない

👉糖尿病を予防したければ歯医者へ行け 👉糖尿病が気になるなら歯科検診も重要

糖尿病の人は、内科だけでなく歯科での検診も忘れないでください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を目的としたものではありません。歯ぐきの出血、腫れ、口臭、歯のぐらつき、血糖値の悪化などがある場合には、医療機関または歯科医療機関へご相談ください。

最終更新日:2026年7月 初掲載日:2021年3月