歯周病と糖尿病の深い関係|歯ぐきの炎症が血糖値を悪化させる理由

歯ぐきから血が出ることはありませんか?

  • 歯磨きのときに出血する
  • 朝起きると口の中がネバネバする
  • 口臭が気になる
  • 歯ぐきが腫れている
  • 歯が長くなったように見える
  • 血糖値がなかなか下がらない

このような人では、 

 歯周病が血糖値を悪化させている

可能性があります。

 

歯周病は、口の中だけの病気ではありません。

 

近年では、

歯周病が、 

  糖尿病・血糖値・インスリン抵抗性・慢性炎症

と深く関係していることが分かってきています。

しかも、関係は一方通行ではないのです。

 

 

✔ 歯周病と糖尿病で重要なこと

  • 糖尿病では歯周病になりやすい
  • 歯周病があると血糖値が悪化しやすい
  • 歯周病治療でHbA1cが下がる可能性がある
  • 歯周病は慢性炎症を通じてインスリン抵抗性を悪化させる
  • 歯周病は血管・心臓・脳の病気とも関係する可能性がある

 

つまり、

歯周病は、

 「糖尿病の合併症」で、「糖尿病を悪化させる原因」にもなり得る病気

なのです。

今回は、歯周病と糖尿病の関係について、これまで紹介してきた研究報告をもとに、血糖値・慢性炎症・血管・脳との関係まで分かりやすく整理します。

 

 #この記事は20年以上にわたり製薬会社で糖尿病治療薬の研究開発を行っていた医学博士けんぞうが書いています。

 

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歯周病は口の中だけの病気ではない

歯周病というと、

  • 歯ぐきが腫れる
  • 歯ぐきから血が出る
  • 口臭が強くなる
  • 歯がぐらつく
  • 歯が抜ける

といった「口の中の病気」だと思われがちです。

もちろん、それは間違いではありませんが、

しかし現在では、歯周病は口の中だけでなく、全身の病気とも関係することが分かってきています。

 

歯周病は「慢性炎症」の病気です。

歯ぐきの炎症が長く続くことで、炎症性サイトカインなどが全身に影響し、血糖値や血管にも悪影響を与える可能性があります。

 

特に重要なのが「歯周病と糖尿病との関係」です。

 糖尿病では免疫機能が低下し、感染症に弱くなります。

そのため、歯周病が悪化しやすくなります。

 

 👉 歯周病が糖尿病を悪化させる理由

 

そして、

歯周病による慢性炎症は、インスリンの働きを悪くし、血糖値を上げやすくするのです。

 

糖尿病では歯周病になりやすい

糖尿病では、血糖値が高い状態が続くことで、体のさまざまな防御機能が低下します。

その結果、

歯ぐきの炎症が起こりやすくなり、歯周病が進行しやすくなります。

糖尿病で歯周病が悪化する理由には、次のようなものがあります。

 

糖尿病で歯周病が悪化しやすい理由

  • 免疫機能が低下しやすい
  • 細菌感染に弱くなる
  • 血流が悪くなり歯ぐきが治りにくい
  • 唾液の分泌低下で口の中が乾きやすい
  • 高血糖により炎症が長引きやすい

 

報告により多少異なりますが、

  糖尿病患者では約50〜80%が歯周病を患っているといわれ、

一般の方と比べて約2.6倍も歯周病になりやすいことが分かっています

 

糖尿病では歯周病になりやすく、そして、歯周病になると非常に治りにくいのです。

そして、歯周病の悪化がさらに糖尿病を悪化させるという悪循環(負のスパイラル)が起こるのです。

糖尿病と歯周病の負のスパイラル

  

   👉 糖尿病と歯周病は密接な関係にある

 

歯周病が糖尿病を悪化させる理由

では、なぜ歯周病が糖尿病を悪化させるのでしょうか?

ポイントは、

  慢性炎症とインスリン抵抗性

です。

 

歯周病では、歯周ポケットの中で歯周病菌が増え、歯ぐきに慢性的な炎症が起こります。

この炎症によって炎症性物質(TNF-α、IL-6、CRPなど)が増えます。

これらの炎症物質は、インスリンの働きを妨げることからインスリン抵抗性が悪化するのです。

 

歯周病は糖尿病の合併症です

# 歯周病菌とは、歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)に潜む「嫌気性菌」の総称。毒素を出して歯ぐきの炎症や骨の破壊を引き起こすほか、血管に侵入して糖尿病や心疾患などの全身疾患にも悪影響を及ぼします:日本臨床歯周病学会

 

歯周病で血糖値が悪化する流れ

  1. 歯周病菌が増える
  2. 歯ぐきに慢性炎症が起こる
  3. 炎症性サイトカインが増える(TNFーαが増える)
  4. インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性が悪化)
  5. 血糖値が下がりにくくなる

 

歯周病は、単に歯ぐきが腫れるだけの病気ではありません。

歯周病は、全身の炎症を通じて糖尿病を悪化させる可能性があるのです。

 👉 歯周病は糖尿病を悪化させる

 

歯周病を治すと血糖値が下がる可能性がある

歯周病と糖尿病の関係で非常に重要で興味深いのが、

 歯周病を治療するとHbA1cが下がる可能性がある

ということです。

 

これまでの幾つかの研究で、「歯周病治療によってHbA1cが改善した」ということが報告されています。

もちろん、歯周病の治療だけで糖尿病が完全に治るということではありませんが、

血糖コントロールを悪くしている歯周病を治療すると血糖値が改善する可能性があるということです。

 

血糖値がなかなか下がらないという人では、歯周病が血糖コントロールを悪化させている可能性があります。

 

血糖値が下がらない原因は、食事だけとは限りません。

歯周病のような慢性炎症が、インスリン抵抗性を悪化させ糖尿病に影響を与えている可能性もあります。

 

血糖コントロールが悪い人は、内科だけでなく歯科のチェックも重要です。

  👉 歯周病を治すと血糖値が下がる

 

歯磨き回数が少ないと糖尿病になりやすい?

歯周病と糖尿病の関係を考えるうえで、歯磨き習慣も非常に重要です。

 

日本における大規模研究で、

歯磨き回数が少ない人ほど糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病が多い

ということが報告されています。

もちろん、歯磨きをしただけで糖尿病などの生活習慣病を予防できるわけではありません!

しかし、

歯磨き習慣が悪い人では、歯周病や慢性炎症が起こりやすく、結果として糖尿病のリスクが高まる可能性があるのです。

 

厚生労働省の調査によれば日本人成人の平均ハミガキ回数は、

  • 1日2回
  • 1~3分

だったそうですが

 

日本歯科医師会では、

回数や時間よりも虫歯や歯周病の原因となるプラーク(歯垢)をどれだけ取り除けるかという質のほうが大切だとしています。

 

毎日の歯磨きは、口だけでなく全身の健康管理です

  • 歯垢を減らす
  • 歯周病菌を減らす
  • 歯ぐきの炎症を抑える
  • 口臭を防ぐ
  • 糖尿病悪化の一因を減らす

 

 👉 歯磨き回数が少ないと糖尿病になる

 👉 毎食後のハミガキで糖尿病を予防できる?

 


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歯周病は血管にも悪影響を与える

歯周病による慢性炎症は、血糖値だけでなく血管にも影響を与えています。

 

歯周病などによる炎症が長く続くことによって、

血管内皮が傷つき、動脈硬化が進みやすくなると考えられているのです。

 

糖尿病は、高い血中の血糖が血管壁を傷つける病気なのです。

 

 #糖尿病ではグルコーススパイクで発生する活性酸素や、糖とタンパク質が結合したAGEs(終末糖化産物)が血管壁を傷つけたり硬くしたりする。

 

そこに歯周病による慢性炎症が加わると、血管のダメージは更に増し、糖尿病合併症が発生するのです。

 

歯周病は「口の中の炎症」ですが、影響は口の中だけにとどまりません。

慢性炎症は、血糖値・血管・心臓・脳へつながる可能性があります。

 

糖尿病で怖いのは血糖の上昇よりも、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす血管への影響が最も怖いのです。

 👉 糖尿病と心筋梗塞の関係

 

 

歯周病と認知症・脳の関係

最近では、慢性炎症と認知症との関係も注目されています。

歯周病が直接認知症を起こすと断定することはできません。

しかし、歯周病による慢性炎症、血管障害、糖尿病悪化は、いずれも脳の健康と無関係ではありません。

実際に、

認知症患者において歯周病治療や口腔ケアを行うことで認知症の進行が予防できる可能性も示唆されています。

 

#動物実験ですが、歯周病菌を投与すると、脳表面のアミロイドβの蓄積量が10倍に増加し、記憶力の低下が確認されたとする報告もあるのです。

 

糖尿病では、血糖変動やインスリン抵抗性が認知機能低下と関係する可能性があり、そこに歯周病による炎症が加われば、脳にとっても好ましい状態ではないのです。

 

歯周病は「血糖値」だけでなく「脳の健康」ともつながります

  • 慢性炎症
  • インスリン抵抗性
  • 動脈硬化
  • 血糖変動
  • 認知機能低下

これらは別々ではなく、つながって考える必要があります。

 

  👉 糖尿病と認知症の関係|血糖値が脳に与える影響

 

睡眠不足も炎症と血糖値を悪化させる

歯周病は慢性炎症を通じて糖尿病を悪化させます。

一方で、睡眠不足や睡眠障害も、炎症やインスリン抵抗性を悪化させることが分かってきています。

つまり、血糖値を考えるうえでは、

  • 食事
  • 運動
  • 睡眠
  • 歯周病
  • 慢性炎症

をまとめて考える必要がありるのです。

 

血糖値は「食事だけ」で決まるわけではありません

睡眠不足、慢性炎症、歯周病、肥満、ストレスなども、インスリン抵抗性を通じて血糖値に影響します。

 

 👉 睡眠不足や睡眠障害と糖尿病の関係

 

 

血糖値は「点」ではなく「曲線」で見る時代へ

歯周病による炎症があると、血糖値が下がりにくくなる可能性があります。

また、

糖尿病患者だけでなく糖尿病予備軍においても、

グルコーススパイクと呼ばれる、食後に血糖値が急激に上昇する「食後高血糖」が起こっている可能性があります。

食後に急激に血糖値が上昇するグルコーススパイクでは、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担をかけ、上昇した血糖は血管壁を傷つけるのです。

 

食後高血糖は糖尿病の予防になる

 

食後高血糖は、健康診断の「空腹時血糖」や2~3ヵ月間の血糖値の平均を表す「HbA1c」では見つけることができないのです。

 #グルコーススパイクは糖尿病の確定診断や宿泊人間ドックの糖負荷試験で調べることができます。

 

現在では、フリースタイルリブレなどのCGMの普及によって、血糖値を「点」ではなく「曲線」で確認できるようになってきました。

 

血糖値はトレンドで見る時代

 

歯周病、睡眠不足、食事内容、運動不足などが、どのように血糖値へ影響するかを知ることは、糖尿病対策として非常に重要なのです。

 

血糖値は「見える化」する時代です

健康診断では正常でも、食後だけ血糖値が急上昇している人は少なくありません。

血糖トレンドを見ることで、自分の生活習慣と血糖変動の関係が分かります。

 

  👉 フリースタイルリブレ完全ガイド

   👉 グルコーススパイクとは?

 

口臭は歯周病や糖尿病のサインかもしれない

歯周病で見逃されやすいサインの一つが口臭です。

口臭は自分では全く気づくことができません。

口臭は、単なるエチケットの問題ではありません。

 

歯周病によって歯ぐきに炎症が起こり、歯周ポケットの中で細菌が増えると、強い口臭が出ることがあります。

また、糖尿病では口の中が乾きやすくなったり、歯周病になりやすくなったりするため、口臭が目立つこともあります。

 

口臭は「口の中からの警告」です

  • 歯周病
  • ドライマウス
  • 糖尿病
  • 極端な糖質制限
  • 口呼吸

などが関係していることがあります。

 

  👉 口臭は糖尿病のサイン?

 

血糖値が高い人は定期的な歯科検診が必要です

糖尿病対策というと、食事療法や運動療法ばかりが注目されます。

もちろん、厚生労働省や日本糖尿病学会が述べるように、食事療法と運動療法は基本です。

しかし、

  • 血糖値が高い人
  • HbA1cがなかなか下がらない人
  • 歯ぐきから出血する人

では、定期的な歯科検診も重要なのです。

 

歯周病は自覚症状が少ないまま進むことがあります。

痛みがないから大丈夫、と思っていても、歯周ポケットの中で炎症が進んでいる可能性があるのです。

定期的に歯科検診を受けた方が良い人

  • 歯磨きで出血する
  • 口臭が気になる
  • 歯ぐきが腫れている
  • 歯石を長く取っていない
  • 血糖値が高い
  • HbA1cがなかなか下がらない
  • 糖尿病予備群と言われた

 

糖尿病の人は、内科だけでなく歯科も含めた管理が大切です。

  👉 糖尿病が気になるなら歯科検診も重要

 

歯周病と糖尿病についての関連記事

 

まとめ|歯周病対策は糖尿病対策でもある

歯周病は、口の中だけの病気ではありません。

糖尿病では歯周病になりやすく、歯周病があると血糖値が悪化しやすくなります。

さらに、

歯周病による慢性炎症は、インスリン抵抗性、血糖変動、血管障害、認知機能にも関係する可能性があるのです。

 

この記事のまとめ

  • 糖尿病では歯周病になりやすい
  • 歯周病は糖尿病を悪化させる可能性がある
  • 歯周病治療でHbA1cが下がる可能性がある
  • 歯周病の本質は慢性炎症
  • 慢性炎症は血管・脳・睡眠とも関係する
  • 血糖値が高い人は歯科検診も重要

 

血糖値が気になる人は、食事や運動だけでなく、歯ぐきの状態にも目を向けてください。

歯磨きで出血する、口臭が気になる、歯石を長く取っていないという人は、一度歯科で相談してみることをおすすめします。

歯周病対策は、口の健康だけでなく、血糖値・血管・脳を守る対策にもつながる可能性があります。

 

 

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 ※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を目的としたものではありません。歯ぐきの出血、腫れ、口臭、歯のぐらつき、血糖値の悪化などがある場合には、医療機関または歯科医療機関へご相談ください。

 

最終更新日:2026年5月  初掲載日:2021年3月

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