糖尿病では膵臓がんになりやすい
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病は糖尿病合併症を引き起こすだけでなく様々な疾患を引き起こします。
糖尿病では、
のリスクも高くなることが明らかになっており、
といわれているのですが、
特に糖尿病では膵臓がんになりやすいのです。
糖尿病でなりやすいがんは膵臓がん
あなたもご存じのように、
- 日本人の2人に1人ががんになる
- 日本人の6人に1人が糖尿病か糖尿病予備群
だといわれています。
糖尿病とがんは一見無関係なように思われますが、最近の研究で両者は密接な関係があることが分かってきました。
そして、特に糖尿病と密接な関係にあるのが膵臓がんなのです。
2013年に日本糖尿病学会と日本がん学会は、
「糖尿病と癌に関する合同委員会報告」を発表しています。
その中で、
35歳以上の男女約33万6,000人を10年間追跡し、
がんを発症した約3万3,000人について糖尿病と発がん率を分析した結果、
糖尿病の人は膵臓がんに約2倍なりやすい
ことが判明したと報告しています。
詳しく見る ⇒ 糖尿病と癌に関する合同委員会報告
星野仙一さんも千代の富士も糖尿病で膵臓がん
中日ドラゴンズのエースとして活躍し、監督として楽天ゴールデンイーグルスを日本一へと導いた星野仙一さんは2018年1月4日に70歳で亡くなられました。
死因は膵臓がん。
2016年7月に急性膵炎を発症して膵臓がんが判明。
2018年11月末には野球殿堂入りの記念パーティーでは元気な姿を見せていたのですが、
12月に病状が悪化し2018年1月4日になくなったのです。
星野仙一さんは長年、糖尿病に苦しんでいたといわれています。
詳しく見る ⇒ 星野仙一さんの死因は糖尿病で膵臓がん?
2016年7月31日に、
元横綱千代の富士の九重親方も61歳で膵臓がんで亡くなっています。
2015年9月に、膵臓がんの手術を受けたことを明らかにしました。
1ヵ月前の名古屋場所には部屋の稽古に姿をみせ弟子に声をかけていましたが、急激に痩せた姿に弟子や周囲の人は驚いたといいます。
昭和の大横綱といわれた千代の富士も、糖尿病だったそうで若い頃は酒豪としても知られていたのですが最後は膵臓がんで亡くなったのです。
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糖尿病と膵臓がんの関係
糖尿病と膵臓がんには深い関係があることが分かっています。
糖尿病の人は高確率で膵臓がん発症することは多くの疫学調査で明らかになっていますが、
日本消化器病学会は
膵臓がん患者の20.7%は糖尿病だった
と発表しています。
糖尿病のヒトは、膵臓がんの危険性を常に意識する必要があるのです。
糖尿病と膵臓がんの関係については、
糖尿病で血糖値を下げるために血中インスリン濃度が高くなる
インスリンにはがん細胞の増殖を促す作用がある
という説や、
高脂肪食や肉摂取は膵臓がんのリスクを高める
糖尿病の人は高脂肪食や肉摂取による肥満が多い
との説もあるのですが、
糖尿病がどうして膵臓がんのリスクを上げるのかについてはさらなる研究が必要なのです。
糖尿病歴が長いと膵臓がんのリスクが高くなる
国内の40~79歳の110,792人を対象とし、
- 喫煙
- 飲酒
- コーヒー
- 糖尿病の病歴
と膵臓がんの発症の関係を調べたた大規模疫学調査では、
- 1日に40本以上のタバコを吸う人は吸わない人より膵臓がんのリスクが3倍高い
- 飲酒とコーヒーは膵がんのリスクに関係しない
- 糖尿病の病歴が長いほど膵臓がんのリスクが上がる
ということも判明しています。
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膵臓がんは最悪のがん
膵臓がんで亡くなった有名人も数多くいます。
- 歌手の青江三奈さん(54歳)
- 歌舞伎俳優の坂東三津五郎さん(60歳)
- 元巨人軍の野球選手・土井正三さん(67歳)
- 元大関大の麒麟将能さん(69歳)
- ジャーナリストの黒田清さん(70歳)
- 俳優の夏八木勲さん(74歳)
海外では、
- アップルの実業家スティーブ・ジョブズさん(56歳)
- 俳優のパトリック・スウェイさんジ(57歳)
と、いずれも非常に若い年齢で亡くなっています。
膵臓がんは、
- 発見しにくい
- 転移しやすい
- 治療が難しい
と最悪のがんで、
膵臓がんの5年生存率は7.7%と全てのがんの中で最も低いのです。
胃がんや大腸がんの5年生存率は、ステージ1でほぼ100%ですが、
膵臓がんの5年生存率はステージ1で40%しかないのです、、、
がんの転移は、
- 血行性転移:血液の流れに乗って転移する
- リンパ行性転移:リンパ液に乗って転移する
の2つがあるのですが、
膵臓がんの場合には、
- 膵臓の臓器が小さい
- 膵臓の周囲に太い血管がある
ことなどから、
- 膵臓がんでは遠隔転移が多い
- 膵臓がんでは胃や肝臓へ転移しやすい
といわれています。
さらに、
- 膵臓がんでは初期症状が現れにくい
- 膵臓は腹部の奥にあり検査しにくい
というようなことから、
- 発見したときにはステージが進んでいた
- 転移したがんによって膵臓がんが見つかった
というようなことが多いのです。
まとめ
膵臓がんは、
- 発見しにくい
- 転移しやすい
- 治療が難しい
と早期治療が難しいがんで、
ステージ1でも5年生存率は40%と最悪のがんです。
糖尿病では膵臓がんのリスクが2倍も高くなり、
糖尿病の病歴が長くなるほど膵臓がんのリスクも高くなるのです。
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