糖尿病でインスリン注射が始まったら寿命は短いのか?
糖尿病でインスリン注射が始まったら寿命は、、、?
- インスリン注射は最後の手段!
- インスリン注射は生涯続けなければならない、、
とのイメージがあり、インスリン注射と聞くと絶望感を感じる人も多いのですが、
でも意外と誤解も多いのです。
糖尿病でインスリン注射が始まったら寿命は?
インスリン注射が始まったら糖脳病も末期!
と感じて悲観してしまう人も多いのです。
それは、糖尿病の治療順序として、
- 食事療法と運動療法
- 薬物療法
- インスリン注射
の順で進むことから、インスリン注射は糖尿病治療のの最終手段とのイメージが強いからです。
公益法人・日本糖尿病協会のホームページに、下記のような質問がありました。
母(56歳)が1年前から糖尿病の治療としてインスリン自己注射を行なっています。他の患者さんからの話で、長くインスリン注射を続けていると体に悪く、寿命が短くなってしまうので途中で経口投与薬に切り替えて、いずれは食事療法のみにするべきだとの情報を得まして、大変不安になっています。インスリン注射を続けると身体に弊害が出るのでしょうか?
それに対する日本糖尿病協会の回答は、
「長くインスリン注射を続けていると体に悪く、寿命が短くなってしまう」などと言うことは絶対にありません。間違った情報に惑わされないように注意してください。
とのことでした。
果たして、インスリン注射は体に良いことばかりで、体に悪いというようなことは絶対にないことなのでしょうか?
インスリン注射は大腸癌のリスクが高い
インスリン注射中の2型糖尿病患者では大腸癌のリスクが高いという研究報告があります。
2012年8月に、Cancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに掲載されたペンシルバニア大学の研究グループの報告では、50~80歳の2型糖尿病患者において大腸内視鏡検査を実施し、2型糖尿病患者における慢性的なインスリン注射が大腸腺腫のリスクを高め、また投与期間が長いほど危険率が増加したと報告しています。
2型糖尿病患者では、内因性の高インスリン血症を原因とする大腸腺腫や大腸癌が発生するリスクが高いのですが、外因性のインスリン注射により大腸癌のリスクがより高くなるというのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病は癌のリスクを上昇させる
インスリン注射をアルツハイマーのリスクが高い
糖尿病患者では認知症になりやすいことは周知の事実で、高齢の糖尿病患がアルツハイマー病や脳血管性認知症になるリスクは非糖尿病2~4倍だといわれています。
糖尿病による高血糖やインスリン抵抗性による慢性的高インスリン血症はインスリン分解酵素を消費させ、インスリン分解酵素によるアミロイドβの消去が低下して、脳内へのアミロイドβの蓄積が促進されるからだといわれています。
インスリン注射による髙インスリン血症はインスリン分解酵素を消費して、ベータアミロイドを分解するのを邪魔するため、よりアルツハイマー病になりやすく、インスリンを高単位注射している糖尿病患者では、アルツハイマー病のリスクも4倍になるといわれています。
詳しく見る ⇒ アルツハイマー病は高血糖によるインスリン分解酵素の低下が原因
インスリンは高血糖を解消する有効な治療方法ですが、インスリン注射は「体に悪いというようなことは絶対にない」ということではないのです。
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糖尿病患者では寿命が短い
糖尿病は直ちに生命を脅かす病気ではありません。
自覚症状もほとんどありません。
しかし、気付かないうちに全身の血管壁を傷害し、生命を脅かす合併症を引き起こすのです。
糖尿病患者は短命
糖尿病では高血糖が続くと命に関わる様々な疾患を引き起こすことから、死亡リスクが高まることが知られています。
国立国際医療研究センター糖尿病研究センターの研究グループは、中高齢の糖尿病患者では、
男性で1.6倍、女性では2倍、死亡率が高くなる
と報告しています。
糖尿病による死亡リスクの上昇は糖尿病の病歴が長ければ長いほど高くなる
そうです。
この結果、糖尿病患者は日本人の平均寿命に比べて男性では9.72歳、女性では13歳も短命だと報告されています。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の女性は寿命が短い
糖尿病はただ血糖値が高いだけの病気ですが、高血糖が長く続くと生命に関わる疾患を引き起こすのです。
人工透析患者の余命は短い
糖尿病の三大合併症は、
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
ですが、中でも糖尿病腎症は重篤な合併症です。
糖尿病腎症の治療薬はありませんから、病状が進めば腎臓透析しか対処法がありません。
糖尿病腎症で腎臓透析が始まったら余命5年
といわれます。
日本透析医学会の報告によると、
腎疾患による腎臓透析患者では、
- 5 年生存率 : 60%
- 10 年生存率 : 36%
糖尿病の腎臓透析患者では
- 5 年生存率 : 50%
- 10 年生存率 : 25%
だったと報告しています。
詳しく見る ⇒ 高齢者・糖尿病性腎症患者の透析療法と腎移植
その他でも、糖尿病で神経障害により足の切断をした患者や、心臓冠状血管のバイパス手術をおこなった患者でも多くは生命予後が不良であり、名古屋大学血管
外科の調査では、
- 2 年生存率 : 40%
- 4 年生存率 : 34%
と報告されています。
糖尿病でも長生きできる!
悲観的な数字ばかり並べてしまいましたが、これが現実なのです。
しかし、防ぐことは簡単なのです。
血糖値を下げれば良いのです!ただそれだけです。
きちんと服薬すること
薬を処方されているならば、きちんと服薬することです。
日本イーライリリー社の調査によると、医者から処方された薬をきちんと飲んでいる人は僅か44%しかいないのです。
これでは高血糖が改善されず、合併症にまっしぐらです、、
詳しく見る ⇒ 糖尿病では薬の飲み忘れが多い
糖尿病治療では食事療法が基本
糖尿病を治せるのは食事療法だけです。
糖尿病治療薬は、
- 糖の吸収を抑える
- インスリンの効果を高める
- インスリンの分泌を促進する
という作用で高血糖を改善します。
しかし、服薬を止めれば血糖値は再び上昇し、薬では糖尿病は治せないのです。
血糖値を上げるのは食事の炭水化物
糖尿病で問題は高血糖ですが、血中の糖を上げるのは食事で摂った炭水化物だけなのです。
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維
蛋白質や脂肪をいくら食べても食後血糖は上昇しません。
血糖値を下げるには、炭水化物の摂取量を減らせば良いのです。
炭水化物をゼロにする必要はありません。
- 朝食のパンを半分にする
- 夕食のご飯を半分にする
これだけでも充分に効果があるのです。これならあなたもできるはずです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事療法は糖質制限がベスト
糖尿病の食事療法は病人食ではありません
糖尿病の食事療法は健康食、長寿食なのです
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