認知症で糖尿病患者の過食への対処法

糖尿病では認知症を併発しやすいことは既にご紹介しましたのでご存じだと思います。

認知症は脳の糖尿病とも言われるほど、糖尿病と深い関係にあるのです。

認知症を併発した糖尿病患者では、食事法や投薬などの扱いが非常に難しくなります

 

認知症では糖尿病になりやすい

糖尿病では非常に認知症を併発しやすくなります。

糖尿病の人は、糖尿病でないヒトよりもアルツハイマー病になるリスクは4.6倍も高いことは既にお知らせしたとうりです。

  詳しく見る ⇒ 糖尿病で認知症を予防するには

 

また、アルツハイマー病だけでなく、脳血管性痴呆症においては、糖尿病の女性は男性よりも20%もリスクが高いといわれています。

アメリカの神経学会では、「糖尿病になって2年で脳機能が衰える」との研究報告もなされています。

 

しかし、その逆に、

 アルツハイマー病の患者では血糖値やインスリン分泌に異常があることが1980年頃から指摘されています

すなわち、

 アルツハイマー病が糖代謝に影響を与えて糖尿病を引き起こしている可能性も否定できないのです。

 

残念ながら、

  • 糖尿病が痴呆症を引き起こすのか?
  • 痴呆症が糖尿病を引き起こすのか?

については、ヒトでの研究では解明することはできませんから、今後の疫学調査に期待するより仕方が無いのが現状でしょう。

 

動物を使った試験では、

脳にある変化がおきると、生活習慣とは無関係に、全身の糖代謝が影響を受けることが知られています。

  • 脳にアルツハイマー病の原因物質であるβアミロイドが増えると全身の糖代謝が悪くなる
  • 脳のインスリン抵抗性が増加すると全身の糖代謝が悪くなる

のです。

脳内では、余分なインスリンを分解する、“インスリン分解酵素”  があるのですが、このインスリン分解酵素はアルツハイマー病jの原因であるアミロイドβを分解する働きもあるのです。

高血糖になってインスリンがたくさん分泌されると、脳内のインスリン分解酵素はインスリンを分解することで消費され、アミロイドβの分解が疎かになってしまう、、というのが糖尿病がアルツハイマー病の原因になるという一説です。

 

認知症の糖尿病患者には食事において上手く対処する必要があります

 

一方、アルツハイマー病ではアミロイドβが脳内のインスリン抵抗性が増加させし、その結果、全身の糖代謝へ影響して糖尿病になるとする学説もあるのです。

 

いずれにせよ、現実的には、

痴呆症を併発した糖尿病患者での大きな問題は、

  1.   薬の飲み忘れ
  2.   過食

の2つだと思います。

 

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痴呆症では過食が多い

痴呆症では、

  1. 食事をしたのに食事を催促する
  2. 冷蔵庫や戸棚の食べ物を全部食べてしまう

という、

  • 暴食行動
  • 過食行動

がしばしば見られます。

認知症になると、このような暴食や過食がみれるのには理由があります。

その理由は、

  1. 脳にある満腹中枢が壊れてしまう
  2. 認知症により食べたことを忘れる

ということです。

普通の人では、食事をすると血糖値が上昇し、満腹中枢を刺激して、「お腹がいっぱい」と感じるのですが、痴呆症では、食後高血糖による満腹中枢の刺激機能が低下してしまうのです。

さらに、認知症に伴うもの忘れにより、「ご飯を食べたことを忘れてしまう」のです。

このような悪循環で、痴呆症と糖尿病は相乗的に悪化してしまうのです。

 


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認知症患者では糖尿病の食事療法が難しい

薬の飲み忘れは周囲の努力でなんとかなりますが、困るのは、「過食」ですね。

 

認知症と糖尿病を併発した人では、「食べた」という行為自体を忘れているため、また、満腹中枢からのブレーキが壊れているため、何度も何度も食べてしまう過食が起きてしまいます。

この過食により、摂取エネルギーが増加し、血糖値がさらに高くなり、糖尿病のコントロールが悪化してしまいます。

 

痴呆症に限らず、血糖値のコントロールが悪い糖尿病患者では過食が多いことが多くのデーターで裏付けされています。

“教えてgoo”でもこんなQ&Aがありました。

同居している認知症の祖母の食欲が過激になってきており心配です。
糖尿で2ヵ月入院し、退院してからも運動、薬、食事制限などでコントロールしています。
食事制限といっても、塩分を控える、ご飯の量を減らす、おやつはなし、などですが、最近の食欲が心配です。
飴やお菓子は、あるだけ一気に食べ、オレンジは皮まで食べるといった感じで常識の範囲をこえています。

認知症で暴食に走っているのでしょうか?
食事制限のストレスなのでしょうか?

という内容です。

過食が続くと、体重も増加し、糖尿病の病状も進み、合併症の危険も増加します。

さらに、今までとは嗜好も異なったり、偏食になるなど、適切な量もわからなくなるため栄養バランスも乱れてしまいます。

医者に相談しても明確な指示を与えて貰えず困っているのではないでしょうか、、、。

 


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認知症の糖尿病患者の過食への対処法

大阪大学の精神医学教室の数井裕光氏らは、「認知症知って安心!症状別対応ガイド」という本を出しているのをご存じですか?。

この本は、認知症と診断された患者や、その家族に対して、認知症の治療と対処法の基礎知識に加え、さまざまな認知症の症状とその対応法を分かりやすくガイドした本ですです。

 

 

認知症を併発した糖尿病患者への対処法は食事療法を中心に

その中で、認知症患者の過食に対して、家族はどのように対処したら良いかも詳しく書かれています。

この本を読まれましたか?

では、

 簡単に、要約してみましょう。

 

認知症患者の過食への対処法

  1. あまり厳しく禁止しない

    あまり厳しくし禁止すると逆効果で、余計に悪化することが多いそうです。
    今日は仕方ない、明日は、、と気長に考えることが大事です。
    そうしないと、あなたが続きません、、、。

  2. あらかじめ食事を小分けにして出す

    同じ量でも、小分けに出されるとたくさんの量と感じます。
    小分けにしたら、次々と出すのではなく、全て食卓に並べることによってたくさんの量だと感じます。

  3. 野菜やキノコを多く使う

    野菜やキノコなどはGI値も高く、満腹感も増します。
    また、ご飯よりも野菜を先に食べることによって血糖値の上昇を抑え、糖尿病の進行が抑制されます。
    食べる順番で糖尿病の予防になるのです。

  4. 体重測定を頻繁に行う

    食事の量は体重に反映されます。
    入浴の後には体重を測定し、体重増加を管理しましょう。

  5. 楽しく食事を摂る

    かんじゃひと患者一人だけで食事をするのではなく、家族で一緒に食事しましょう。
    話が噛み合わなくても、患者自身もみんなと一緒で「楽しかった」という満足感が残り、食事をしたという記憶が残ります。

  6. 食事の後片付けを急がない

    食べ終わったら直ぐに食器などをかたづけてスッキリしたいでしょうが急がないでください。
    食器などは食後もしばらくそのままにしておくことによって、「食事をした」という記憶が残ります。

  7. 夢中になれるものを増やす

    患者にとって食事は最も楽しいイベントです。
    しかし、もっと楽しいことがあれば、「食べることへの執着」が薄れます。
    食事から注意をそらすような楽しいイベントも考えてください。

 

いかがでしょうか、、、、

きっと、痴呆症で糖尿病の家族のお世話をしているあなたにとってが、

  こんなこと、、、

  いつもしてる、、、

と思われることでしょう。

 でも、家族ですから、、、

もう一回だけ頑張ってみてください。

 

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