糖尿病で認知症を予防するには

糖尿病の人は認知症になりやすいということは良く知られています。

糖尿病の人は糖尿病でないヒトよりもアルツハイマー病のリスク4.6倍も高いのです。

認知症患者数の推移

そして、

糖尿病の女性では脳血管性認知症になるリスクが糖尿病の男性より20%も高いのです。

糖尿病で認知症を予防するためにはどうしたら良いのでしょうか?

 

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糖尿病では痴呆になるリスクが高い

糖尿病の人は認知症になりやすいということは良く知られています。

糖尿病の人は糖尿病でないヒトよりもアルツハイマー病のリスク4.6倍も高いのです。

そして、糖尿病の女性では脳血管性痴呆症になるリスクが20%も高いのです。

認知症には様々なタイプがありますが、代表的な認知症は、

  1. アルツハイマー病
  2. 脳血管性認知症

です。

アルツハイマー病は、脳にアミロイドβという蛋白質が蓄積しすることによって脳神経細胞が破壊されて脳が萎縮することによって起こりますが、

アルツハイマー病は第三の糖尿病と言われるほど密接な関係にあるのですが、糖尿病の患者は糖尿病出ない人に比べて、アルツハイマー病になるリスクが4.6倍も高いのです。

 詳しく見る ⇒ 糖尿病では認知症になりやすい

 

糖尿病とアルツハイマー病との関係についてはまだ十分解明されたわけではありませんが、徐々に明らかになりつつあります。

 

アルツハイマー病は、アミロイドβやタウ蛋白質が脳内に溜まることによって脳細胞が破壊されることに起因しているのですが、脳内のインスリン分解酵素はアミロイドβを分解する働きを持っているのですが、糖尿病によって高血糖になり、インスリン濃度も高くなること、インスリン分解酵素はインスリンの分解に使われ、アミロイドβの分解まで手が回らなくなるからではないかといわれているのです。

 

脳血管性認知症は認知症の約20%を占め、アルツハイマー病に次いで多い認知症です。

脳血管性認知症は脳の血管壁が障害され、脳出血や脳梗塞によって脳細胞が破壊されることが原因で、高血圧や動脈硬化などによって引き起こされますが、

ご存じのように、糖尿病の高血糖は身体の様々な部分の血管壁を傷害し、糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病の合併症は全て血管障害に起因するのですが、

脳の血管も傷害し、脳血管性認知症の原因にもなるのです。

 

糖尿病の女性は糖尿病の男性に比べて脳血管性認知症になるリスクが20%も高いのです。

 詳しく見る ⇒ 糖尿病の女性は認知症になりやすい

 

  • 糖尿病になると認知症のリスクが急増
  • 糖尿病の女性は認知症のリスクが特に高い

高血糖を放置していても大丈夫ですか?

 


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糖尿病の治療は認知症を予防できる?

それでは、糖尿病になった人がきちんと糖尿病の治療を行えば認知症を予防することができるのでしょうか?

 

残念ながら、糖尿病を治療すると認知症の発症を予防できたという研究論文はありません。

糖尿病を治療すると認知症の発症を予防できた」ということを立証するためには、

  1. 糖尿病を治療して、認知症になるかを追跡する
  2. 糖尿病を治療せず、認知症になるかを追跡する

という2つのグループに分けて経過を観察しなければならず、糖尿病と診断された患者に治療をせずに経過観察をすると言うことは倫理的な問題があり現実的にはこのような研究は不可能だからです。

 

ClinicalTrials.govによると、アメリカでは糖尿病の前段階である糖尿病予備軍を対象にした調査が行われているそうですから、いずれ明らかになるでしょう。

さらに、

インスリン抵抗性改善薬やインクレチン関連治療薬が軽度認知機能障害やアルツハイマー病の予防に効果があるのではないかというマウスを用いた実験で明らかになっています。

また、アルツハイマー病や軽度認知機能障害の患者でもインスリン抵抗性改善薬やインクレチン関連治療薬が認知症の進行を抑えられるかどうかというような臨床研究が行われていますので、

これもいずれ明らかになるでしょうが、これは、アルツハイマー病や軽度認知機能障害を糖尿病治療薬で予防できるかを調べている研究ですから、少し目的が違います。

 


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糖尿病の認知症を運動療法で予防

糖尿病の治療の基本は、

  1. 食事療法
  2. 運動療法

です。

薬物療法は、食事療法や運動療法で効果が見られなかった場合に施されるのですが、多くの人は食事療法や運動療法に真面目に取り組まない人が多いようです。

 

運動療法は認知症の予防に効果がある

運動療法は、血糖値を下げる効果があるのです。

運動療法は、

  • 基礎代謝を上げる
  • インスリン抵抗性を改善する

ことから、

糖尿病の治療には欠かせないのですが、認知症の予防効果もあるのです。

 

認知症診療Q&A 92(中島健二 編集、中外医学社,2013)では、認知症に対する運動療法の介入試験成績をリストアップしています。

介入試験というのは、運動が認知症発症にどのような影響を与えるかという臨床試験のことです。

 

糖尿病で認知症を予防するには運動療法が有効

いかがでしょうか?

 

運動療法と言っても、

  • 40分の歩行
  • 50分の運動を週3回
  • 有酸素運動
  • ストレッチ
  • レジスタンス運動(週1~2回)
  • バランス運動

と非常に軽い運動なのですが、「認知症の改善を認めた」との結果が得られているのです。

認知症の改善効果のメカニズムとしては、

  • 運動による直接的な脳への刺激効果
  • 全身のインスリン抵抗性の改善

を介したものであると推察されています。

 

運動によってインスリン抵抗性が改善されれば、インスリンの効果が上がり血糖値が下がると同時にインスリンの分泌も低下することから、上に書きましたようにインスリン分解酵素によるアミロイドβの分解が亢進し、アルツハイマー病のリスクも低下するのです。

いずれにしても、糖尿病の高血糖状態を放置すると神経障害、網膜症、腎症、脳梗塞などのリスクが高まりますから、しっかり治療行うことが必要です。

 

糖尿病の治療の基本は、

  1. 食事療法
  2. 運動療法

    詳しく見る ⇒ 糖尿病の運動療法で必要な運動の種類と運動量

これらの療法によってインスリン抵抗性が改善し、血糖値が下がると認知症の予防にもなるのです。

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