糖尿病の治療を途中で中断すると大変なことになる
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病になったら、食事療法や運動療法などで糖尿病の体質を改善しない限り、
血糖値を下げる糖尿病治療薬を生涯にわたって飲み続けなければなりません。
しかし、
「糖尿病の治療費はどれくらいかかるのか」でもお話ししたように、
糖尿病の治療費が負担だ!
との理由で、糖尿病の治療を中断してしまう人も非常に多いのです。
厚生労働省調べでも、
糖尿病の治療を受けている40歳以上の患者では、
- 1年間で約10%が通院を中断してしまう
- 治療薬の服薬を中断する患者は約51万人
だということも分かっています。
治療薬の服用を中断しても症状に変化はないのですが、、、
糖尿病の治療を中断すると大変なことになってしまうのです。
糖尿病の治療を中断すると大変なことになる
糖尿病は、
- 自覚症状があまりない
- 治療費が高い
ということなどから、
患者が自分の判断で勝手に治療をやめてしまう場合が多いのです。
糖尿病自体は症状がないため、
治療を中断しても大きな変化がないのですが、
高血糖が続くと合併症がひそかに進行しており、
気づいたときには、
- 足の切断
- 失明
などの重症に陥ってしまっていることが少なくないのです。
先日の朝日新聞DIGITALでは、
糖尿病の治療を中断した人の多くの事例が記載されていた。
糖尿病クリニックの三浦義孝院長は、
糖尿病の治療を中断する患者は、30~50歳代に多く、
- 体調もそんなに悪くない
- 仕事が忙しい
との理由で治療を止めてしまい、
- 視力が落ちて網膜症
- 足の切断につながる神経障害
- 腎症
などの合併症を招いてしまう人が非常に多いと指摘しています。
厚生労働省の研究班によれば、2014年では年間22万人が糖尿病の治療を中断していると推定しています。
これは、実に糖尿病患者の8%に相当する数字なのです。
Sponsored Link
治療費が高いから治療を中断する人が多い
糖尿病の治療を途中で止める理由は、
- 自覚症状があまりない
- 治療費が高い
- 忙しい
ということなどが多いようです。
糖尿病の治療費は高いのか?
糖尿病の治療費については、
でもお知らせしましたが、
医療経済研究機構による「政府管掌健康保険における医療費等に関する調査研究報告書」よれば、
糖尿病患者一人当たりの平均的な医療費は年間24.7万円
だといわれていますが、
糖尿病の治療費は重症化するほど医療費が高くなる
のです。
糖尿病の治療は、
- 食事療法と運動療法
が基本ですが、
食事療法と運動療法で血糖コントロールが不充分であれば「薬物療法」が開始されます。
食事療法と運動療法では、血液検査と食事療法と運動療法の指導だけですから月額治療費は3,000円にも満たないのですが、
処 方 | 月額治療費 | |
症例1 | 食事療法と運動療法のみ | 2,670円 |
症例2 | 2剤服薬 | 5,496円 |
症例3 | インスリン投与+1剤服薬 | 9,609円 |
合併症の月額医療費(上記金額に加算) | ||
高血圧 | 1,326円 | |
脂質異常 | 1,158円 | |
腎症 | 5,106円 |
症状が進めば治療費も上がり、
インスリン注射が必要になれば1万円にものぼってしまうのです。
血糖値が高いだけの軽症のうちに糖尿病体質を改善すれば治療費はゼロにもなるのです。
インスリン注射が必要だった経済評論家の森永卓郎さんがライザップのプログラムで糖尿病を改善したのは有名な話です。
Sponsored Link
オンライン診療で糖尿病の治療を続ける
「仕事が忙しくて通院できない」というのも糖尿病の治療を中断してしまう大きな理由ですが、
慢性疾患では4週間の治療薬が処方されますから通院は月に1回ですし、
最近では平日は夜7時頃まで診療を受け付けている医療施設も増えています。
さらには2018年4月から糖尿病の治療でも「オンライン診療」が解禁されました。
初診や3ヵ月に1回は医療機関で受診する必要がありますが、
パソコンやスマートフォンで受診して、治療薬も郵送してくれるのです。
あなたの受診している医療機関がオンライン診療をやっていなくても、パソコンやスマートフォンで受診するオンライン診療なら他県の医療機関でもよいのです。
仕事と治療の両立は大変でしょうが、糖尿病腎症で人工透析を受けなければならなくなったら仕事どころではなくなるのです、、、。
まとめ
九州大学の福田治久准教授らの研究グループは、
糖尿病患者1万人以上を追跡調査したところ、
糖尿病の治療を治療開始から1年以内に中断した人は、
治療を継続した人に比べて網膜症、腎症、神経障害の発症率が約2倍高かった
と報告しています。
糖尿病患者では認知症やがんなどの発症率も高く、
寿命も短いことが報告されています。
糖尿病は様々な病気を招く可能性があるのですが適切な治療を受ければリスクを下げることができるのです。
糖尿病と診断されたら治療を中断してはいけません。
関連記事(一部広告を含む)