糖尿病の運動療法で必要な運動の種類と運動量

糖尿病の治療の基本は、

「食事療法」 

「運動療法」 

です。

薬物療法は、

「食事療法と運動療法で血糖値のコントロールが十分でない」

ときに行われるのです。

ですから、食事療法と運動療法をしっかりやれば、糖尿病治療薬の服用は必要ないのです。

しかし、

ほとんどの糖尿病患者は「きちんと運動療法をしない」ので、血糖値のコントロールが十分でなく、糖尿病治療薬の服用が必要になるのです。

きちんと、食事療法と運動療法をおこなえば、血糖値は低下するのです。

運動療法といってもジムに通ったりする大げさなものでは有りません。

薬に頼る前に、運動療法を見直してみませんか?

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糖尿病治療の基本は運動療法

糖尿病の治療の基本は「食事療法」と「運動療法」です。

「薬物療法」は、「食事療法」や「運動療法」で効果がなかったときに行われるのです。

日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイドライン」にも、

食事療法、運動療法を2~3ヵ月続けても目標の血糖コントロールが達成できなかった場合には薬物療法を開始する

と明記されています。

糖尿病が劇的に増加している背景として良く「食生活の西洋化」が挙げられますが、「運動量の低下」も大きな要因です。

戦後に糖尿病が急増したといわれ、食生活のみにばかり焦点が当てられるのですが、30年前、40年前には自家用車はほとんど無く、電車や地下鉄も今ほど発達しておらず、エスカレーターやエレベーターの数もほんのわずかでした。

今では直ぐに車ですが、30年前、40年前には、30分や40分歩くことは普通でした。

自動車の保有台数と糖尿病患者数を時系列で比較したデータがあります。自動車の保有台数の増加に伴って、糖尿病患者の数が増えているという科学的データも発表されています。

厚生労働省の国民健康調査における歩行数の年次変化を見ても、2003年から2013年までの10年間を見ても減少傾向にあることは明らかですから、30年前、40年前に比べれば激減したのではないでしょうか。

糖尿病では運動の種類よりも運動量が重要です

血糖値が高いなら食事内容の見直しももちろん重要ですが、運動療法も非常に重要なのです。

筋肉の糖消費量は最も大きい

糖尿病ではどうして運動療法が有効なのでしょうか。

糖尿病は血糖値が上がる病気です。

血糖値が上がる理由は、もちろん、インスリンの働きも関与していますが、

  • 糖の摂り過ぎ
  • 糖の消費量が少ない

ということが最大の原因です。

従って、

  • 糖の摂りすぎを抑える ⇒ 食事療法
  • 糖の消費を上げる ⇒ 運動療法

血糖(ブドウ糖)は身体のエネルギー源ですが、骨格筋は体重の約50%を占めており、糖を消費する一番大きな器官は筋肉です。

運動療法は筋肉を動かし、筋肉の代謝を高めて糖の消費を増やして血糖値を下げるのです。

運動はインスリン抵抗性も改善する

糖尿病は血糖値が上がる病気で、血糖値が上がる理由として、

  • 糖の摂り過ぎ
  • 糖の消費量が少ない

ということが最大の原因だと申し上げましたが、

さらに、

  • インスリンの分泌量が少ない
  • インスリンの効果が弱い

ということも背景にあります。

特に、インスリンの効果が弱い(インスリン抵抗性が高い)ということも大きく関わっています。

インスリン抵抗性が高いということは、

  • 通常では10のインスリンは血糖値を100下げる
  • 糖尿病では10のインスリンが血糖値を50しか下げない

と言い換えれば理解いただけるかと思います。

インスリンは血糖を下げる働きをするホルモンで、筋肉にシグナルを送り、糖を取り込むタンパク質(GLUT4)を活性化することで血糖値を下げるのですが、糖尿病患者の筋肉ではGLUT4減少し、インスリンが筋肉にシグナルを送っても糖が充分に取り込まれないのです。

運動がインスリン抵抗性を改善するという科学的データはたくさん発表されています。

 糖尿病の運動療法の目的は、糖を取り込むタンパク質(GLUT4)がたくさんある良質な筋肉を身につけて、筋肉における糖の代謝と取込みを改善することにあるのです。

糖尿病の運動療法の目的は、

  1. 糖の消費を上げるて血糖値を下げる
  2. インスリン抵抗性を改善してインスリンの効果を高める

という2つの効果が期待できるのです。


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GLUT4はインスリンのシグナル以外でも、運動そのもので活性化されて糖を取り込むことも知られています(非インスリンのシグナル)。たとえば最近ストレッチングが流行っていますが、有酸素運動により増殖したGLUT4の働きをストレッチングは促す働きをします。GLUT4の働きが促進されることでインスリンの感受性が高くなり、血糖を下げる効果をもたらします。つまり、運動は糖を消費するだけでなく、GLUT4を活性化してインスリンの感受性をよくするという意味合いがあるのです。 

糖尿病の運動療法に有効な運動の種類

糖尿病患者や糖尿病予備軍の方は肥満傾向にあり運動が苦手という人も少なくはありません。

糖尿病の運動療法ではどのような運動の種類が有効なのでしょうか。

運動療法で考えられる運動の種類は、「有酸素運動」と「無酸素運動」に分けられます。

有酸素運動は、酸素を必要とする運動で、体内に取り込んだ酸素を使って糖質や脂肪を燃焼させてエネルギーを生み出す運動で、深い呼吸によって酸素を取り入れながら、ゆっくりエネルギーを燃やす運動で、長い時間の運動の継続が可能なことが特徴です。具体的には、ウォーキングやジョギング、水泳、縄跳び、サイクリングなどです。

無酸素運動は、極端に言えば酸素をほとんど必要としない運動で、酸素を使って糖質や体脂肪からエネルギーを得る有酸素運動とは異なり、糖質からエネルギーを生みだす割合の高い運動です。具体的には、瞬発力を求められる短距離走や筋力トレーニングなどです。

糖尿病の運動療法では、この運動出なければいけないということはありません。

有酸素素運動も無酸素運動のいずれも2型糖尿病の血糖コントロール状態を改善させます

有酸素運動や無酸素運動のどちらが自分に合っているか、どの運動が継続できるかということの方が重要です。

糖尿病の運動療法では自分に合った運動の種類を選んで下さい。

  • エレベータを使わずに階段を上る
  • 通勤電車で座らずに立つ

このような運動も糖尿病に有効な運動の種類で、ジョギングやスイミングばかりが糖尿病に有効な運動の種類ではありません。

そして、経っているだけでも効果があるのです。

 詳しく見る ⇒ 座わる時間が長いと糖尿病のリスクが高い


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糖尿病の治療で必要な運動量

では、どれだけの運動量をすれば糖尿病に有効なのでしょうか。

2011年の、健康日本フォーラムでおこなわれたアンケート調査でも、

1日1万歩の目標でウォーキングを始めたものの、

  • 時間がない
  • ひざや腰が痛くて実行できない
  • 食後歩くのは難しい

と言う理由で運動療法を継続できなかったとの回答が多く得られています。

運動療法の内容としては、

  1. どんな運動が良いか
  2. どれくらいの強さでするのか
  3. 週何回するのが良いか
  4. いつ行うのが良いか

の4点がポイントとなります。

また、運動療法の目的は、

糖の消費を促す

ということも重要なことですから、運動量も重要なことです。

厚生労働省「健康づくりのための運動指針2006」によると、体重60kgの人が、100kcalを消費する運動量は、

運動の種類 継続時間
普通歩行、自転車エルゴメータ、ウエイトトレーニング、ボーリング、バレーボール 32分
速歩、自転車、アクアビクス、卓球、太極拳 24分
早い歩行く、ソフトボール、野球 19分
ジョギングと歩行の組み合わせ、ジャズダンス、バスケットボール 16分

100kcalとは、ご飯茶碗で半分と考えて下さい。

100kcalを消費するには、

  • ウオーキング20分
  • ジョギング10分

と考えて下さい。

糖尿病の運動療法では、

ウオーキングであれば1日約1万歩が目安ですが、

消費エネルギーに換算すれば1600~240kcalに相当します。

ウオーキングであれば具体的には、

  • 1回、15~30分間、朝夕2回

ということになります。

毎日でなくても良いですが、最低でも1週間に2~3日は必要です。

運動療法は糖尿病の治療に不可欠です。

しかし、忙しいあなたにとって毎日かかさずに運動を続けることは非常に大変です。

しかし、運動の種類は、

  • 通勤で一駅歩く
  • エレベータを使わずに階段を上る

ということも非常に有効な運動なのです。

運動療法は食事療法と組み合わせればより有効ですから、食事内容の見直しと同時に行ってください。

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