糖尿病患者の寿命が延びた

2016年の年末の毎日新聞で、

糖尿病患者の平均年齢が延びた

と報道されました。

これは一面では喜んで良いことなのですが、

実は、

糖尿病患者の平均寿命は健常者の平均寿命よりも10年も短いのです。

糖尿病患者の平均年齢が延びたといっても喜んではいけません。

糖尿病患者では合併症である脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞を起こしやすいだけでなく、

白血球の機能が低下することなどから肺炎にかかりやすく

糖尿病患者の平均年齢はまだまだ健常者よりも短いのです。

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糖尿病患者の平均寿命が延びた?

2016年12月30日の毎日新聞で、

糖尿病患者の平均年齢が、

  • 男性が71.4歳
  • 女性が75.1歳

となり、

30年前の調査結果と比較すると、

男女とも健常者との差が2~3歳縮まった

ということを、愛知医大などの研究チームが国内専門誌に発表し、

この背景には、

  • 糖尿病患者における栄養管理の向上
  • 糖尿病治療法の進歩

により、患者の体調管理が良くなっていることが実証されたとの報道でした。

 

しかし、

健常者と糖尿病患者の平均寿命の差が縮まったとはいっても、

糖尿病患者の平均寿命は、

日本人全体の平均寿命より

  • 男性が8.2歳
  • 女性は11.2歳

も短いのです。

糖尿病患者の平均死亡時年齢が3.5歳延びた

2016年12月30日の毎日新聞による報道は、

2016年6月14日に、第59回日本糖尿病学会において、

「2001~10年時の学会委員会調査結果」

として、同委員会委員長で愛知医科大学糖尿病内科の中村二郎氏が報告したものです。

 

この報告では、

2001~2010年における10年間の、

日本人糖尿病患者の平均死亡時年齢が、1991~2000年の10年間に比べ、

  • 男性では3.4歳延びた
  • 女性で3.5歳延びた

と報告されました。

  くわしく見る ⇒ 日本人糖尿病患者の平均死亡時年齢延長

日本糖尿病学会は、糖尿病患者の死因や死亡時年齢に関する大規模な調査を、1971~2080年に開始してから10年ごとに実施し、

2016年の学会で4回目となる2001~2010年における調査結果を発表しました。

 

この調査は、全国1,164施設に調査を依頼し、回答のあった241施設(20.7%)における糖尿病による死亡患者4万5,970例のなかの4万5,708例(男性2万9,801例、女性1万5,907例)について解析したものです。

平均寿命については、上に書いたように、

  • 男性 : 71.4歳(前回調査より3.4歳延長)
  • 女性 : 75.1歳(前回調査より3.5歳延長)

しており、

死因の順位は、

  1. 悪性新生物 : 38.3%
  2. 感染症   : 17.0%
  3. 血管障害  : 14.9%

で、前回に比べて前回2位の血管障害(26.8%)と3位の感染症が(14.3%)と入れ替わっています。

 

糖尿病患者の死医で最も多い悪性新生物(がん)の内訳では、

  1. 肺癌
  2. 肝臓癌
  3. 膵臓癌

だったと報告されています。

また、2位の感染症では大部分が肺炎でした。

3位の血管障害の内訳は、

  1. 脳血管障害 : 6.6%
  2. 虚血性心疾患 : 4.8%
  3. 慢性腎不全 : 3.5%

であり、虚血性心疾患はほとんどが心筋梗塞だったと報告されました。

 

糖尿病患者ではがんが多いことは既に書きましたが、

 詳しく見る ⇒ 糖尿病患者ではがんが多い

 

がんによる死亡率は、1970年代以降、1990年代まで日本人一般、糖尿病患者とも上昇し続けていたのですが、

2001~2010年においては

  • 一般ではがんによる死亡率の上昇が止まった

のですが、

  • 糖尿病患者ではがんによる死亡率が上昇している

そうで、糖尿病患者ではがんになりやすく、治療も困難だと言うことは大きな問題のようです。

 

 

糖尿病患者の平均死亡時年齢については、

 生前の血糖コントロールが良好だった群は不良だった群に比べ1.6歳高かった

ということも明らかになっており、

さらに、

血糖コントロールが悪いと

  • 糖尿病性腎症死亡例では4.7歳短い
  • 心筋梗塞死亡例で3.1歳短い
  • 不整脈死亡例で5.0歳短い

ということで、血糖のコントロールがなによりも重要です。


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糖尿病の健康寿命は短い

糖尿病患者の死亡時の平均年齢は男性で3.4歳、女性で3.5歳延びたといっても、一般人の平均寿命よりも、

  • 男性は8.2歳も短い
  • 女性は11.2歳も短い

のです。

 

そして、問題なのは、

糖尿病患者では健康寿命が短い

ということです。

 

健康寿命とは、寝たきりなどにならず健康に暮らせる寿命のことです。

いくら寿命が長いといっても、「寝たきり」では仕方がありません、、、

糖尿病では寿命だけでなく健康寿命も短い

 

平成22年における日本人の平均寿命は、

  • 男性 : 79.55歳
  • 女性 : 86.3歳

ですが、

健康寿命は、

  • 男性 : 70.42歳
  • 女性 : 73.62歳

ですので、健康寿命と平均寿命との期間は、

健康ではないが“生かされている”期間 ということになるのです。

その期間は、における平均寿命は、

  • 男性 : 9.13年
  • 女性 : 12.68年

男性は9年、女性は13年も健康ではないが生かされている期間になるのです。

糖尿病患者の寿命が延びたといっても健康寿命が短い

以前にもお知らせしましたように、糖尿病の女性は寿命が短いのですが、

寿命が短いだけでなく、

ということが問題なのです。

 

糖尿病は、

  • 血糖値が高いだけ
  • 症状がないから大丈夫

と思っているヒトが多いのですが、糖尿病は生命に関わる病気なのです。

 

糖尿病による死亡リスクの上昇は糖尿病罹患期間が長いほど高くなる

ということは多くの疫学調査で明らかになっています。

血糖値が高いといわれたら、できるだけ早く血糖値を下げる努力をしてください。

血糖値を下げるのは簡単で炭水化物の量を減らせば良いのです。

  1. 朝のパンを半分に
  2. 夜のご飯を半分に

これだけで良いのです。

あなたの血糖値にあった糖質制限を実行してください。

糖質制限でがん細胞が消えたという報告もあるのです。


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