糖尿病の予防のための脂質の量と脂肪の質

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

脂質の摂りすぎは糖尿病など生活習慣病のリスクを上げます

糖尿病を予防するには脂質の摂取量を減らせば良いのでしょうか?

糖尿病の予防には脂質の量よりも質が重要です。

 

糖尿病予防のための脂質の量

このサイトをしばしば読んでくださっているあなたは、もうご存じでしょうが、糖尿病では心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中などの心臓血管系の疾患が多いのです。

それは、糖尿病は血管の病気だからです。

糖尿病による高血糖は血管壁を傷害し、血管の障害に伴う疾患が合併症として現れます。

  1. 糖尿病神経障害
  2. 糖尿病性網膜症
  3. 糖尿病性腎疾患

この、三大合併症といわれる各疾患は微細な血管壁の障害に元づく疾患です。

そして、

  1. 心筋梗塞
  2. 脳梗塞
  3. 脳卒中

などは、大きな血管が傷害されて起きる糖尿病の合併症でもあるのです。

 

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日本糖尿病学会は、糖尿病による心血管障害のリスクを低減するため、

 総脂質摂取比率を摂取カロリーの内の25%以下

にすることを推奨しています。

さらに、日本循環器学会の、動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも、

 総脂質摂取比率を摂取カロリーの内の20〜25%

にすべきとしています。

一方、脂質摂取については、量だけでなく質を考慮する必要がある、との意見もあるのです。

 

糖尿病予防に良い脂肪の質

2016年5月の第59回日本糖尿病学会において慈恵会医科大学の吉田博氏は、「脂質の量と質を考えて対応することが重要だ」と発表しています。

卵の摂取頻度と心筋梗塞リスク

飽和脂肪酸の摂取量が多いと血清コレステロール濃度が高くなることについては多くの研究報告があり、脂質摂取においては、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比を配慮すべきだとされています。

吉田氏は、

  • 飽和脂肪酸の過剰摂取は糖尿病の発症を高める
  • 多価不飽和脂肪酸の摂取はリスクを低減する

ことを紹介し、

  • n-3系脂肪酸(エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸)の摂取は心血管病のリスクを低減する
  • n-3系脂肪酸の摂取は糖尿病発症リスクを軽減するという

ことを示し、

  • 日本人はn-3系脂肪酸摂取量が少ないことは懸念される

と指摘したのです。


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n-3系脂肪酸は糖尿病を予防する

少し難しくなってしまって申し訳ありません。

しかし、このブログをよく読んでくださっているあなたは理解出来るかも知れませんね。

以前、ご紹介したように、脂質には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります

その中の、常温で固まらない魚や植物に含まれる不飽和脂肪酸は体に良いとされています。

脂質の質は量よりも糖尿病予防に重要です

特に、不飽和脂肪酸の中の、オメガ3脂肪酸(n-3脂肪酸)には、動脈硬化予防、糖尿病予防、がん抑制、認知症予防などの健康効果があるのです。

名称 成分 食品 作用
オメガ6脂肪酸 リノール酸
リノレン酸
アラキドン酸
ベニバナ油、大豆油
母乳、月見草油
体内合成、魚油
コレステロール低下

摂り過ぎはDHLを減少

オメガ3脂肪酸 リノレン酸
EPA
DHA
エゴマ、シソ油
青魚
青魚
動脈硬化予防、がん抑制、認知症予防
一価不飽和脂肪酸 オレイン酸 オリーブ油
アーモンド油
菜種油
LDLコレステロールを減少
HDLコレステロールを増加

 

そして、

  クルミは糖尿病に良いことをご存じですか?

クルミにはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれ、糖尿病のリスクを下げるのです。

厚労省の示す、日本人の食事摂取基準2015年版では、不飽和脂肪酸の摂取目標値は総摂取エネルギーの7%以下としていますが、n-3系脂肪酸は目安量だけで目標摂取量は設定されていませんが積極的に摂るようにお薦めします。

 


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バターは糖尿病に悪いのか?

しかし、不飽和脂肪酸でも、マーガリンやショートニングに多量に含まれるトランス脂肪酸は避けるべきです。

 詳しく見る ⇒ トランス脂肪酸は糖尿病に悪い

トランス脂肪酸は飽和脂肪酸よりもLDLコレステロール値を上昇させ、糖尿病や動脈硬化性疾患リスクを著しく増大させることが報告されていますから、要注意です。

では、

バターはどうなのでしょう、、、

私は、朝食でのパンにはオリーブオイルを付けて食べていますので、パンにバターを塗ることはありませんが、マーガリンはトランス脂肪酸を含むので避けるとしても、

 パンにはバター

という人も多いと思います。

バターには飽和脂肪酸が比較的多く含まれ、さまざまな疾病リスクとの関連性があるとの報告も少なくありません。

 

小量のバターは糖尿病に良いかもしれない

アメリカのタフツ大学の研究グループは、バターは健康に害を及ぼさず、糖尿病を減少させてる可能性もあるとの発表しています。

Butter May Not Be Bad for Your Heart
 (http://www.livescience.com/55237-butter-heart-disease-health.html)

この調査では、15カ国以上の63万6,000人を10~23年間追跡した9つの研究報告を解析したもので、

追跡期間中に、

  • 2万8,271人が死亡
  • 9,783人が心臓病に罹患
  • 2万3,954人が2型糖尿病に罹患

し、

追跡期間中の対象者のバター消費量は「毎日大さじ3分の1程度」でしたが、

 

バターの消費量と各疾患や死亡率の関係を調べたところ、

  1. 毎日バターを14g(テーブルスプーン1杯)摂取する人の死亡率は1%高い
  2. バター摂取量と心臓病との関係はない
  3. バターを毎日摂取する人では糖尿病リスクが4%減少

との結果が得られたとのことです。

 

しかし、バター消費量と心臓病の関係や早期死亡、さらには糖尿病との関連性については多くの研究報告があり、今回のタフツ大学の研究グループの報告だけで、小量のバターが糖尿病のリスクを下げるかどうかを確定することはできなさそうです。

 

糖尿病を予防するためには脂質の量を減らせば良いわけではありません

糖尿病に良い質の脂質を取ることが大事なのです。

不飽和脂肪酸であるn-3系脂肪酸をたくさん摂ってください

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