麦飯は血糖を下げ糖尿病に良い

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

麦飯といえば刑務所のご飯、不味い!

との印象しかありませんが、最近、麦飯を食べたことがありますか?

麦飯は糖尿病の血糖値を下げる効果があります。

そして、最近の麦飯は非常に美味しいのです。

 

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麦飯は生活習慣病を予防し糖尿病に良い

麦といえば、最近は小麦粉を思い浮かべる人の方が多くなってしまいましたが、小麦にはいくつかの種類があります。

日本で栽培されている麦の種類は、主に食用にされる、

  1. 小麦
  2. 二条大麦
  3. 六条大麦
  4. はだか麦

の4種類と、

家畜の飼料にされる、

  1. らい麦
  2. えん麦

があります。

 

小麦は、うどんなどの麺類、パンや菓子類など、さまざまな加工品が作られます。

大麦には、二条大麦、六条大麦、はだか麦がありますが、二条大麦はビールや焼酎の原料となります。二条というのは、6列ある穂のうち、2列にのみ大粒の実がなり大粒大麦とも呼ばれます。なお、小麦は三条です。

 

六条大麦は、押し麦や麦茶に利用され、6列の穂すべてに小粒の実がなり、「小粒大麦」とも呼ばれます。

はだか麦は、穀粒の外皮がはがれやすく、粒が裸になるため、この名がついたもので、味噌の原料として使われます。

麦飯は血糖値を下げるので糖尿病に良い食べ物です

種類 用途など
小麦 大部分が食用。小麦粉にされ、パンやめん類、お菓子などに使用。
二条大麦 穂の六列(条)のうち、2列に実がつく。
麦飯としても食べられるが、ビールや麦焼酎の原料としても使用される。
六条大麦 6列に実がつく。
。麦飯として食べたり、焙煎して麦茶として飲まれたり、
麦味噌に使用される。
はだか麦 脱穀すると簡単に皮がとれる。
米飯として食べる他に、麦味噌や焼酎の原料にも使われる。

 

麦飯には生活習慣病の予防効果がある

かつて白米が余り採れなかったときには白米に麦を混ぜ、量を増やして食べていました。

大麦はそのままだと水を吸いにく、消化もあまり良くないために、蒸気で加熱して柔らかくしてローラーで平べったくして食感を柔らかく、消化しやすいようにしてしていました。これが、押し麦です。

押し麦を入れた麦飯は血糖値を下げるので糖尿病に良いことを知っていますか?

しかし、最近は一般の家庭では麦飯を食べることはほとんど無くなってしまいました。

糖尿病患者の急激な増加の背景には食生活の西洋化が大きな原因だと言われますが、麦飯を食べなくなったこともその原因の一端かも知れません。

大麦には、生活習慣病予防こうかがあることが、学術的な研究からも明らかになっています。

  1. 血中コレステロール低下作用

    国内の研究で、麦を50%含む麦飯を1日2回摂取したところ、総コレステロール濃度が正常者な人では変化がありませんでしたが、レステロールが高い中年男性や閉経後の女性では、2週間で血中コレステロールが10%、LDL-コレステロールも低下しましたが、HDL-コレステロールとトリグリセリドには影響がなく、コレステロールが高めの人は大麦を食べるとによって血中総コレステロールとLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が下がることが科学的に証明されています。
    アメリカでは、2006年から大麦やシリアルなどの加工された食品に、「大麦食品や大麦成分が一定量以上含まれていると、血中コレステロールを低下させて、心臓病のリスクが下がる」ということを表示して販売することが許可されています。

  2. メタボリックシンドロームの抑制作用

    白米と50%麦飯をそれぞれ1日2回摂取させ、12週間後に、体重、BMI、腹囲、腹部脂肪量(CTスキャン測定)を測定したところ、麦飯群ではいずれの項目も有意に低下したとの研究報告がなされています。両群におけるカロリー摂取量には差がありませんから、大麦摂取による食物繊維の摂取量が増えたためであると考えられています。

  3. 糖尿病の予防効果

    大麦には食物繊維が多く、食後血糖値を上げにくい食品の代表でもあります。
    大麦は他の穀類に比べて食後血糖値を上げにくく、糖尿病予防効果があり、糖尿病患者は麦飯の摂取により血糖値の改善が望めます。

 


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麦飯は糖尿病の血糖値を下げる

麦飯と言えば刑務所の食事の代名詞でもありますが、実際に刑務所では糖尿病が改善されることが証明されています。

この成績を公開したのは、福島県福島市の福島刑務所で受刑者の健康管理に携わった日向正光医師です。

 

日向医師は、1998年から2004年まで福島刑務所医務課に勤務したのですが、この間に服役した男性糖尿病患者109人について病状経過を分析したのです。

  • 男性服役者(平均年齢51歳)
  • 109名
  • 2型糖尿病

食事内容はもちろん病状の経過を分析。平均年齢は五十一歳で、全員が生活習慣などでインスリンの効きが悪くなる2型の糖尿病だったのです。

 

分析の結果、

  • 92人(84.4%)で糖代謝が改善
  • HbA1cが減少(8.4%  → 5.9%)
  • 体重は入所時(65kg)と出所直前(62kg)で差なし

 

さらに、

  • インスリン注射患者18人中5名が不要に
  • 血糖降下剤服用患者34人中 17人が服薬不要に

まで改善したのです。

 

糖尿病が改善した原因について日向医師は、

  1. 喫煙や飲酒の禁止
  2. 規則正しい生活
  3. 麦飯中の食物繊維が糖の吸収を緩和し症状改善

が糖尿病の改善に繋がっている可能性があると指摘しています。

 

福島刑務所も含め全国の刑務所での主食は麦飯(大麦30%)で、

さらに福島刑務所では海藻類やキノコ類などの高食物繊維を多く含む食材も多く給餌し、受刑者は平均成人男性の約2倍の食物繊維と5倍の水溶性食物繊維を摂取しているそうです。

 

刑務所の麦飯は血糖値を下げ糖尿病に良いのです

 

日向医師は、糖尿病の改善には、カロリー制限や激しい運動よりも、

食物繊維を多く含んだ食事と規則正しい生活習慣が非常に有効で、生活習慣を変えるだけで糖尿病の予防や改善に大きな効果があると述べている。

 


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食物繊維をたくさん摂ることは糖尿病に良い

麦には食物繊維がたくさん含まれています。

 

食物繊維には、水溶性と非水溶性(不溶性)食物繊維があります。

 

  • 水溶性食物繊維

    水分保持能力が強く、ドロドロと粘りのある状態にします。小腸での栄養素の消化吸収を抑えて遅らせます。
    また、有害物質を吸着して体外へ運びます。

  • 非水溶性食物繊維

    腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を盛んにし、消化管を通過する時間を短縮させます
    消化管内で水分をかかえ込んで容積を増加させます。それによって糞便の量を増やして便の排泄を促進します。

終戦後の1951年頃には、日本人は平均して1日約24gの食物繊維を摂っていました。

 

しかし、その後は食物繊維の摂取量は減少し、

50年後の2002年には、平均摂取量は約14gとおよそ半分に減少し、

その後は横ばいで、厚労省の調査では2013年の食物繊維摂取量は、平均14.3g、20歳代では12.0g、50歳代で14.1gにすぎません。

 

日本人の成人では 1日に最低19gの食物繊維が必要であるといわれますから、平均で5gは不足していることになります。

徳島大学・糖尿病対策センターの船木真理センター長は「麦ごはんに多い食物繊維が血糖値の上昇を抑えているわけです」という。

 

麦飯には食物繊維のβ-グルカンが多い

大麦が糖尿病や生活習慣病にこ効果がある理由の1つは大麦にはたくさんの植物繊維が含まれていることです。

穀類は穀粒の外側である糠やふすまに食物繊維が多く含まれているために、精白すると大幅に食物繊維含量が低下してしまいます。

玄米には3.0%の食物繊維含量が含まれていますが、精白すると0.5%になってしまうのです。

 

小麦でも全粒では10.8もの食物繊維が含まれますが、

精白した小麦粉(薄力粉)ではわずか2.5%に減少してしまいます。

 

麦飯には食物繊維が多く含まれるので食後血糖値を上げないので糖尿病に良い
しかし、

大麦では精白しても、食物繊維量があまり減少しないのです。

  • 精白した押し麦では9.6%
  • 米粒麦では8.7%

もの食物繊維が含まれます。

 

さらに、

  大麦では糠部分と胚乳部分では食物繊維の種類が異なるのです。

食物繊維には水に溶けやすい、水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があることは、上に記載しましたが、

 

一般的に、

  • 米や小麦の糠やふすまには不溶性食物繊維が多く含まれる
  • 大麦の胚乳部分には水溶性食物繊維のβ-グルカンが多く含まれる

のです。

 

β-グルカン(ベータ-グルカン)とは、植物や菌類、細菌などに含まれるネバネバ成分で、アガリクスやメシマコブ、霊芝などのβグルカンは強い免疫賦活作用や抗がん作用があるとして注目が集まっている成分です。

 

大妻女子大の青江誠一郎教授は麦飯と血糖値のメカニズムについて、

「大麦には水溶性食物繊維のβグルカンが含まれ、小腸で他の食品と混ざってネバネバ状態となりゆっくりと消化されるので、食後高血糖値を抑える効果がある」

と述べています。

 

β-グルカンの抗糖尿病効果については未だメカニズムが明らかになっていませんが、

  1. 抗肥満作用
  2. 血中コレステロール低下作用
  3. 食後血糖値の抑制作用

があることは多くの疫学調査で判明しています。

 

糖値が高いと思う方は積極的に麦飯に挑戦してみてください

麦ごはんに慣れていない人は、白米8~9割、押麦1~2割からはじめるのがお勧めです。

また、麦飯などの日本古来からの食生活に基づいたホリステック食事療法も糖尿病に非常に効果があります。

 

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