ニオイを嗅ぐと血糖値が下がる
こんにち、製薬会社で糖尿病の新薬開発に従事していたけんぞうです。
今日も読んで読んでくださり有難うございます。
はじめに
東北大学の研究グループは、
ニオイを嗅ぐと血糖値が下がるという研究成果を発表しました。
あるニオイを嗅ぐだけで血糖値が下がって糖尿病が改善するというのです。
そんな夢のような話は本当なのでしょうか?
それはどんなニオイなのでしょう?
ニオイを嗅ぐだけでどうして血糖値が下がるのでしょう?
ニオイを嗅ぐだけで血糖値が下がる
少し前なのですが、2018年1月に、
東北大学の研究グループは、
- ニオイを嗅ぐと血糖値が下がる
- ニオイ物質で糖尿病を治療できる
という研究成果を発表し、
詳しく読む ⇒ 東北大学プレスリリース
この研究成果は、国際的な科学雑誌であるScientific Reportsに掲載されました。
Olfactory receptors are expressed in pancreatic β-cells and promote glucose-stimulated insulin secretion
「嗅覚受容体は膵β細胞に発現しグルコース応答性インスリン分泌を促進する」
詳しく読む ⇒ Scientific Reports
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ニオイを嗅ぐとインスリンが分泌される
この研究を行ったのは、
東北大学大学院 医学系研究科の糖尿病代謝内科学分野の山田准教授の研究グループです。
私たちの鼻には嗅覚受容体というものがあり、ニオイを感知しているのですが、
研究グループは、
嗅覚受容体がインスリンを分泌する膵臓のβ細胞にもあることを発見したのです。
そして、
膵臓にある臭覚受容体がオクタン酸というニオイを感知するとインスリンが分泌されることを見出したのです。
オクタン酸をマウスに経口投与したところ、
インスリン分泌が促進されて高血糖が改善する
ことも確認されたのです。
この嗅覚受容体は人間に膵臓にも存在し、
血糖値が高い時にだけインスリン分泌を促進することから、
低血糖を起こさない新しい糖尿病治療薬の開発が期待できるというのです。
嗅覚受容体とは
嗅覚受容体とは、ニオイを感知する器官で、ニオイの刺激を嗅覚神経を経て脳に伝えられるのです。
人間の嗅覚受容体は400種類以上もあり、主に鼻の粘膜に存在しているのですが、
最近の研究で、頸動脈、角膜、 肝、 皮膚、 肺、 腎、消化管、脳、心臓、脾臓、卵子、精子、骨格筋などにも存在していることが分かり、様々な生理機能や身体の恒常性維持に関与していると考えられているのです。
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オクタン酸とは
さて、血糖値が高い時にインスリン分泌を促進したオクタン酸とはどんなニオイなのでしょうか?
カプリル酸はオクタン酸ともいわれる物質で、
- 母乳
- ココナツ
- バタ-やチ-ズなどの乳製品
などに含まれています。
オクタン酸のニオイは、
弱い不快な腐敗臭
だそうです。
ココナツオイルは血糖値を下げる
ココナツと言えば思い出すことはありませんか?
そうです、以前に、
という記事を書きました。
ココナツオイルは、過剰な内臓脂肪の蓄積を抑え、インスリン抵抗性を改善する作用があると言われているのです。
ココナツオイルの70%は中鎖脂肪酸という物質なのですが、
中鎖脂肪酸は、糖尿病予防ホルモンともいわれる血中アディポネクチン濃度を上げる働きがあり、
糖尿病の予防に効果があるとして、
1日にスプーン1~2杯のココナッツオイルを摂れば糖尿病予防の効果があるそうなのですが、
ができるのです。
ココナツオイルはインスリン抵抗性を改善するのですが、
ココナツオイルに含まれるオクタン酸のニオイも関係しているのかもしれませんね。
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