アルツハイマー病は高血糖によるインスリン分解酵素の低下が原因

認知症患者数が急増しています。

政府は2025年には、

 65歳以上の5人に1人が認知症になると

予測されています。

アルツハイマー病の原因は高血糖だと言うことをご存じでしょうか?

 

認知症の患者が激増している

高齢化社会に伴って認知症患者が増えています。

厚生労働省は、2015年1月7日、

国内の認知症患者数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表しました。

この数字は、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症だということになります。

2012年の時点で認知症の患者数は462万人と推計されており、13年間で1.5倍にも増加するのです。

認知症患者数の推移

厚生労働省は今後の認知症患者の急増に備え、認知症対策のための国家戦略を早急に策定するとしています。

認知症対策の国家戦略

 

Sponsored Link

 

認知症増加の背景には糖尿病がある

認知症の主なものは、

  1. アルツハイマー病
  2. 血管性認知症

です。

認知症の分類

アルツハイマー病は全認知症の50%を占める代表的な認知量で皆さんよくご存じだと思います。

血管性認知症は、脳梗塞、脳出血、脳血栓などの脳の血管障害に起因する認知症で認知症の約20%です。

その他には、レビー小体型認知症といわれるのが20%です。

脳梗塞や脳出血などによって起こる「血管性認知症」では、食生活の欧米化などによる、糖尿病や高血圧患者の増加が背景にあるといわれているのですが、アルツハイマー病でも糖尿病との密接な関係が明らかになっているのです。

  詳しく見る ⇒ アルツハイマーは糖尿病の合併症か

 


Sponsored Link

 

糖尿病で認知症が増える理由

糖尿病でどうして認知症が増えるか、4つの理由が考えらます

  1. 脳細胞のインスリン抵抗性
  2. 低血糖
  3. インスリン分解酵素(IDE)
  4. 脳血管障害

脳においてインスリンはブドウ糖の分解を促進して、脳細胞のエネルギー源となるATPを産生するのですが、脳細胞のインスリン抵抗性が増加して、脳におけるインスリンの働きが悪くなると脳へのエネルギー供給が低下し脳神経に障害を与えてしまうのです。

 

糖尿病患者ではしばしば低血糖をおこします。低血糖は全身的に起こるので当然、脳死棒へのエネルギー供給が低下することになります。脳細胞にとってブドウ糖は唯一のエネルギー源ですから、低血糖は脳に重大なダメージを与えることになります。

 

高血糖に伴い、高インスリン状態が長く続くと、インスリン分解酵素の消費が増大してしまいます。インスリン分解酵素は、余分なインスリンを分解するだけではなく、アミロイドβというアルツハイマー病は今病の原因となる蛋白質をも分解する働きをしているのですが、髙インスリン状態が長く続くと、アミロイドβの分解が進まなくなり、脳内にアミロイドβが蓄積してアルツハイマー病を引き起こすことになります。

 

糖尿病とアルツハイマー病の関係

糖尿病患者では高血糖状態が続くことにより全身で血管障害が始まります。当然、脳の血管でも障害が起こり、細い脳血管での動脈硬化が進むとラクナ梗塞と呼ばれる、

小さな脳梗塞が発症し、このラクナ梗塞が多くなると、血流が悪化し、脳細胞がダメージを受けて認知症へと進行します。

  詳しく見る ⇒ 糖尿病2年で脳機能が衰え痴呆症に

 


Sponsored Link

 

高血糖がアルツハイマー病を引き起こす

やや高血糖気味に方にとっては、高血糖がアルツハイマー病の原因だと言うことは非常に興味深いというか興味深いというか恐怖なことだと思いますので、もう少し詳しくご説明します。

 

熊本大学の伊藤助教らと東北大学大学の寺崎教授らの研究グループは、

『アルツハイマー病の発症原因物質(アミロイドβペプチド(Aβ))の脳内蓄積を防ぐ脳からの消失機構において分解系と血液への排出系が連携して機能している』ということを明らかにし、「Journal of Alzheimer disease」に発表(2013.8)しています。

 

研究グループは、

アルツハイマー病の原因として、「糖尿病」や「インスリン抵抗性」が上げられていることから、この関係を明らかにしようと取り組んだのです。

アルツハイマー病は、アミロイドβという蛋白質が脳神経細胞に沈着して神経細胞を障害してしまうことが主要な原因なのですが、アミロイドβが作られる機構と、アミロイドβの排泄機構が不明なのです。

 

脳には「脳脊髄関門」という特別な機構があり脳内に様々な物質が運び込まれることを防いでいるのですが、そのため、脳内で分解されたアミロイドβを脳外に運び出す特別な仕組みがあると仮定し実験を進めました。

 

その結果、

脳内にはアミロイドβ消失機構としてアミロイドβを脳内で分解しアミロイドβを積極的に脳から血液中に排出する機構が存在し、その機構にはインスリン分解酵素が関与していることを明らかにしたのです。

糖尿病とアルツハイマー病の関連がより明確に

この研究成果から、

インスリン分解酵素は、

  1. アミロイドβの分解に関与
  2. アミロイドβ分解産物の排泄に関与

の双方で重要な働きをしていることが明確になったのです。

インスリン分解酵素とアルツハイマー病

 

糖尿病による高血糖は、

  1. インスリンを過剰に分泌させる
  2. インスリンの過剰分泌は脳内のインスリン分解酵素の活性を低下
  3. インスリン分解酵素の低下はアミロイドβの分解を低下
  4. インスリン分解酵素の低下はアミロイドβの脳内からの排泄を低下
  5. 脳内のアミロイドβの蓄積が増加

という、糖尿病とアルツハイマー病発症の関係がより明確になりました。

この研究成果は、新たなアルツハイマー病治療の開発につながることが期待されるのですが、新薬が発売されるまでには10年近くの年月がかかると予想されます。

 

高血糖は脳内のアミロイドβを増やしアルツハイマー病を発症させます

アルツハイマー病を防ぐには高血糖を早く改善する必要があります

 詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事療法は糖質制限がベスト

 

関連記事(一部広告を含む)

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ