糖尿病では認知症(痴呆)になりやすい
糖尿病ではアルツハイマー病になるリスクが4.6倍高い
ということはこのサイトで何回もお伝えしました。
糖尿病ではインスリン分解酵素が減少し、
アルツハイマー病の原因となるβ-アミロイドの蓄積が促進するのです。
さらに今回、
糖尿病患者では大脳皮質の厚さが薄い
ということも明らかになりました。
これでますます糖尿病は認知症(痴呆)になりやすいということがハッキリしてきたのです。
自覚症状がないから、、、
血糖が高いだけだから、、、
と高血糖状態を放置すると脳では着々と認知症に進んでいるのです。
糖尿病患者では大脳皮質が薄い
2015年9月2日のアメリカ神経学会雑誌に、糖尿病と脳内のタウ蛋白蓄積の間に、アルツハイマー病とは独立した関連性が存在しているという論文が掲載された。
この研究では、
糖尿病罹患者124人を含む、
- 軽度認知機能障害397人、
- アルツハイマー型認知症191人、
- 記憶と思考に問題のない者28人の
合計816人(平均年齢が74歳)について、
脳細胞の喪失や接続、脳脊髄液中のβアミロイドやタウ蛋白濃度を測定し、糖尿病との関連を検討したのですが、
糖尿病患者では認知症の有無に関わらず、
脳神経細胞中のタウ蛋白濃度が16pg/mL高く、思考や記憶、認知機能障害、アルツハイマー型認知症などのあるなしとは無関係に、
糖尿病患者では大脳皮質の厚さが0.03 mm薄くなっていたことが判明したのです。
少し専門的で難しいかも知れませんが、アルツハイマー病を発症しているいないにかかわらず、
- 糖尿病患者では、脳神経のタウ蛋白濃度が高い
- 糖尿病患者では、大脳皮質の厚さが薄い
ということなのです。
大脳皮質は、大脳表面にある厚さ数ミリの神経細胞の層で、記憶、言語、認識といった認知機能を司っている重要な部位ですが、大脳皮質は加齢に伴っても薄くなることが知られており、老化に伴う物忘れなどのとも関与しているといわれているのです。
研究グループは、
2型糖尿病患者では認知症発症の2つのリスクが存在する可能性がある
と指摘しています。
詳しく見る ⇒ Diabetes and brain tanglesmay be linked independently of alzheimer’s disease.
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認知症と痴呆は違うの?
痴呆、痴呆症、認知症、、同じようですが違うのでしょうか?
かつては痴呆という用語が使われていましたが、
2004年に厚生労働省は「痴呆には差別や偏見を助長するニュアンスがある」として「認知症」への置き換えを決め、
各医学会でも2007年頃までに置き換えをおこない、現在は「痴呆」ではなく「認知症」が正式な名称です。
認知症の種類
認知症は脳疾患による症候群で、認知機能の障害によって社会生活などが困難になる病気を総称したものです。
認知症では、
- 記憶障害がある
- 記憶以外の認知機能に障害がある
- それらの障害により日常生活や職業生活に支障がある
- 意識障害がない
というのが症状の主な特徴です。
認知症といえばアルツハイマー病を思い浮かべますが、
認知症にはいくつかの種類があり、主なものは以下の4つです。
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管型認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
このほかにも、
若年性認知症、アルコール性認知症、正常水頭症、まだら認知症などがありますが、
認知症患者では、
- 60% : アルツハイマー型認知症
- 20% : 脳血管型認知症
によるものとされています。
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糖尿病とアルツハイマー病
認知症で最も多いのがアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)です。
アルツハイマー病は脳にβ-アミロイドという蛋白質が蓄積して神経細胞が壊れ、脳萎縮がおこることが原因です。
β-アミロイドが蓄積する原因はまだ完全に解明されていませんが、糖尿病と深く関わっていることが分かってきて、アルツハイマー病は第3の糖尿病ともいわれるようになってきました。
糖尿病患者は通常の人よりもアルツハイマー病になるリスクが4.6倍も高いといわれています。
糖尿病で血糖値が高くなるとインスリンの過剰分泌が起きるのですが、インスリン濃度が高くなると脳内のインスリン分解酵素が減少し、インスリン分解酵素によるタウ蛋白の分解が滞ることから脳内のβ-アミロイドの蓄積が多くなるといわれているのです。
詳しく見る ⇒ アルツハイマー病は高血糖によるインスリン分解酵素の低下が原因
糖尿病と脳血管性認知症
脳血管性痴呆症は男性の方が女性よりも多く発症している認知症で、アルツハイマー病は徐々に進行するのに対して、脳血管性痴呆症は改善したり悪くなったりを繰り返しながら進行します。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害によって、脳の細胞に酸素が送られなくなるため、神経細胞が死んでしまうことにより引き起こされ、脳の血管が詰まっている梗塞巣が増えたり、大きくなったりすることによって徐々に脳の機能が低下し認知症や運動障害が引き起こされます。
正常に働いている脳細胞がある場所はしっかりしていますが、脳梗塞や出血などが起こって細胞が壊れてしまった部位では脳機能が低下してしまうため、アルツハイマー病と同じ様に、物忘れや計算が出来なくなっても、判断力はあるなど、部分的な認知障害症状が見られるため、まだら認知といわれる症状が見られることもあります。
糖尿病は脳血管性認知症を引き起こす
脳血管性認知症にも糖尿病が非常に密接に関わっています。
糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、高血糖は血管壁の障害を引き起こし、
全身で様々な血管障害を引き起こすのです。
脳血管性認知症を防ぐには、脳梗塞などの疾患にならないように注意をする事が一番の予防対策です。
脳梗塞や脳出血などの原因は、生活習慣病、特に糖尿病によるものが多いので、生活習慣を見直し、高血圧、脂質異常症、糖尿病などにならないようにする必要があります。
特に、血糖値が高いといわれている人は早急に血糖値を下げる努力をする必要があります。
高血糖では自覚症状はないのですが、全身の血管壁がダメージを受けているのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事療法は糖質制限がベスト
大脳皮質は、記憶、言語、認識といった重要な認知機能が行なわれている部位ですが、たばこを吸う人は、吸わない人に比べ、大脳皮質が薄くなっていることが分かっています。
大脳皮質は、
- タバコを吸ったことがない人
- かつてタバコを吸っていたが禁煙した人
- タバコを今も吸っている人
の順に薄くなる傾向があるのです。
タバコはインスリンの働きを悪くすることも知られているし、血糖値が高いなら喫煙は直ぐに止めるべきです。
詳しく見る ⇒ タバコは糖尿病に悪いので直ぐに禁煙してください
高血糖だといわれたら痴呆症対策には食事療法と禁煙です
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