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    Categories: 糖尿病と歯周病糖尿病の合併症

歯周病を治すと糖尿病が治る

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

糖尿病は歯ブラシで治せる」という本が出版されました。

歯ブラシで糖尿病が治せるって、本当でしょうか?

歯周病は糖尿病の合併症です。

そして、歯周病は糖尿病を悪化させているのです。

 

 

糖尿病は歯ブラシで治す

つい先日ですが、8月22日に「糖尿病は歯ブラシで治せる~歯の汚れが血糖値を上げる!~」という本が出たのですが、お読みになりましたか?

本を書かれたのは、栗原 毅という歯科医師で、栗原クリニック東京;日本橋院長をされているのですが、

慶應義塾大学大学院教授や東京女子医科大学教授をも務められ、糖尿病関連では、「糖質ちょいオフダイエット」なども書かれていますのでご存じの方もおられるかも知れません。

 

糖尿病が歯ブラシで治せるとはちょっと衝撃的なタイトルの本なのですが、

糖尿病の克服に向けて新たな扉を開く画期的な方法として注目を浴びています。

栗原氏は、歯科医師の立場から歯周病と糖尿病の相関関係に着目して研究を重ね、

「オーラルケアを徹底すると糖尿病が改善する」

という結論に到達し、本書を刊行されたのだそうです。

 

歯科医師と内科医師との共著で、

  • 歯周病のセルフケアとしての正しいブラッシングの方法
  • 歯磨き剤の選び方
  • 補助アイテムの使い方
  • 血糖値とプラークをコントロールするための食事と運動

についても紹介しています。

 

本の内容は、

  1. 糖尿病の克服に向けて新たな扉が開いた
  2. 「歯周病‐脂肪肝‐糖尿病」の負のスパイラル
  3. 自分でできる歯周病対策
  4. 血糖値とプラークをコントロールする食事と運動
  5. そのプラークが全身を蝕む

という構成になっていますが、

忙しいあなたに代わって、歯周病と糖尿病の関係についてご説明したいと思います。

 


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歯周病は糖尿病の合併症

歯周病はには、

  • 歯肉炎
  • 歯周炎

の2つがあります。

歯周病の中で、歯ぐきの炎症だけに留まっている状態を「歯肉炎」、下顎骨まで及び骨が溶けてしまった状態を「歯周炎」と言います。

最初は歯肉炎が起こるのですが、放置していると歯周炎にまで進んでしまいます。

 

歯周病の原因

歯周病の原因は「歯垢の蓄積」です。歯垢はプラークやバイオフィルムとも言われます。

「歯垢」というと「食べカス」だと思うヒトが多いようですが、歯垢は「細菌の塊」なのです。

歯垢は生きた細菌とその代謝物のかたまりで、歯の表面に付着している白色または黄白色のネバネバした物質ですですが、歯垢1mgには最近が1億個以上も存在しているといわれています。

歯垢を歯に付着させたままの状態にしておくと、その中の病菌による毒素や、細菌そのものによって歯ぐきが炎症を起こし、歯周病になるのです。

糖尿病患者は歯周病になりやすい

糖尿病患者では歯周病になりやすいといわれています。

実際、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて、

  • 2~3倍、歯周病になりやすい
  • 歯周病が治りにくい

といわれています。

 

その原因としては、

  1. 口腔内が乾燥している
  2. 唾液などの糖分濃度が高い
  3. 細菌に対する免疫力(抵抗力)が低下している
  4. 組織の修復力が低下している

と考えられています。

口腔内は唾液や歯肉からの滲出液で常に潤っているのですが、糖尿病患者では唾液や滲出液の糖分の濃度が高くなったり、免疫力が低下して細菌感染が起こりやすく、また、治癒力も劣っているからなのです。

 


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歯周病を治すと糖尿病も治る

歯周病は歯茎の炎症や顎骨を溶かしたりするだけでなく、全身的な病気につながります。

  1. 虫歯
  2. 歯周病
  3. 口臭
  4. 心筋梗塞
  5. 高齢者における誤嚥性肺炎
  6. 糖尿病の悪化
  7. 妊婦では低体重児や早産

歯垢をただ単に歯や歯茎に悪いだけとあなどってはいけません。

上に書いたように、口内の疾患だけに留まらず、歯周病菌が歯周ポケットから歯肉の中に入り、毛細血管から大きな血管へ、そして心臓へ運ばれると心筋梗塞の原因にもなるのです。

心臓で発症する細菌性心内膜炎の大部分は歯周菌が原因で、さらに、血栓が出来やすく、動脈硬化や心筋梗塞を引き起こしやすくなるといわれています。

歯周病菌は糖尿病を悪化させる

糖尿病患者は歯周病になりやすく、糖尿病でないヒトに比べて2~3倍も歯周病になりやすいのですが、歯周病は糖尿病を悪化させるのです。

糖尿病の原因は幾つかあるのですが、その原因の一つは、「インスリン抵抗性の上昇」です。

インスリン抵抗性とは、組織におけるインスリンの効果が現れにくくなり、通常はインスリンが5の量でも効果があったのに、10の量でなければ同じ効果が現れなくなる状態です。

インスリン抵抗性が上昇すると膵臓はインスリンをたくさん分泌しなければならなくなり、しまいには疲れ果ててインスリンが出なくなってしまうのです。

歯周病はインスリン抵抗性を上昇させる

インスリン抵抗性の上昇には、内臓脂肪細胞から分泌されるTNF-αというサイトカインが関与していることが分かっているのですが、

歯周病では歯肉の炎症により、歯周組織でTNF-αが分泌され、血液により、筋肉や脂肪組織に運ばれ、インスリン抵抗性を上昇させ、インスリンの効果を低減させて高血糖改善を阻害して糖尿病の病態を悪化させているのです。

詳しく見る ⇒ お口のケアが全身を守る

 


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糖尿病を治すには糖質制限も必要

歯周病の原因になる歯垢は食事の時の糖を餌にして、歯の表面にネバネバしたものを作り出し、さらに細菌を増やしていきます。

歯垢は食後8時間位で作られ始めますので、食後や就寝前の歯磨きは歯垢を除去し、糖尿病の悪化を防ぐのです。

栗原医師の「糖尿病は歯ブラシで治せる~歯の汚れが血糖値を上げる!~」は、そのことに基づいているのです。

しかし、厳密には、「歯ブラシで糖尿病の悪化は防ぐことが出来る」のですが、「歯ブラシだけで糖尿病は治せません」。

糖尿病の原因は、血中の糖の上昇ですが、血液中の糖は炭水化物により作られているからです。

糖尿病の改善には糖質の制限が必要

「糖尿病は歯ブラシで治せる」を刊行した栗原医師も「糖質ちょいオフダイエット」を出しています。

この本では、

これ一冊で、糖質制限ダイエットが簡単に始められます! 糖質制限の基本メソッドで、自分にあった適正糖質量をチェック。

食べる順番によって血糖値が急上昇しないなどのテクニックも紹介しています。

パート2の糖質ランキングでは、どの食品に、どれくらい糖質が入っているかが簡単にわかります! 食材はもちろん、外食やコンビニ食などの糖質もリスト化。これを見ながら、糖質や食事バランスを記録しましょう!

ということを紹介し、血糖値を下げるためには糖質の制限が必要であることを説いています。

 

血糖値を上げるのは糖質だけ

糖尿病は血中の糖の濃度が高くなる病気です。

血中の糖を上げるのは、食事の炭水化物だけです。

  炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

 

蛋白質である肉や魚、脂肪であるバターや乳製品をいくらたくさん食べても血糖値は上がりません。

食後の血糖を筋肉や細胞に取り込ませるのはインスリンの働きですが、血中の糖は食事で摂った糖質により上がるのです。

肉や脂肪の量を減らすカロリー制限をしても、炭水化物をたくさん摂り過ぎている限りは血糖値は下がらないのです。

 

糖質をゼロにする必要はありません。

  • 朝のパンを半分にする
  • 夕食のご飯を半分にする

これであなたの血糖値はグンと下がるのです。

  詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事療法は糖質制限がベスト

 

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