タバコは糖尿病に良くない
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
8月20日の日本経済新聞・夕刊をご覧になりましたか?
「喫煙と糖尿病を巡っては、7月に米科学誌に掲載された論文が医師らの間で話題を呼んでいる。」というのです。
この記事は既にこのサイトでお知らせしているのですが、
医師の間でも話題になっているというので再度、お知らせしたいと思います。
タバコは糖尿病のリスクを高める
日本経済新聞で紹介された論文は、このサイトでもお知らせした、国立国際医療研究センターを中心とするJ-ECOHの研究グループの研究報告ですが、この論文が、医者らの間で話題になっているのだそうです。
J-ECOHとは、Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Studyの略で、日本語では職域多施設研究といわれるのですが、2012 年度に開始された、産業医と疫学専門家が共同で実施する多施設共同研究であるの研究グループです。
J-ECOHでは、国内の成人勤労者5万3,930人のデータを解析し、喫煙と糖尿病の関連性について調べたのです。
この結果、
喫煙者の糖尿病リスクは、
- 非喫煙者の1.34倍
- 1日当たり10本以下だと1.23倍
- 1日当たり21本以上だと1.51倍
とリスクが高くなることが判明したのです。
さらに、
禁煙年数と糖尿病の関係では、
- 禁煙年数が5年未満だと1.36倍
- 5~9年で1.23倍
- 10年以上禁煙すると1.02倍
と禁煙をしても糖尿病のリスクが非喫煙者と同等になるには10年以上かかるというのです。
詳しく見る ⇒ 喫煙は糖尿病に悪いので直ぐ禁煙してください
喫煙はうつや痴呆症のリスクも高める
研究では、喫煙とうつ病など精神疾患による1ヵ月以上の長期の病気による欠勤との関連にもついて調査をしており、
- 喫煙により精神疾患による長期病休のリスクが非喫煙者の1.2倍
で、認知症のリスクになるとの結果も得られたのだそうです。
糖尿病患者はうつになりやすいということで既にお知らせしていますが、
- 喫煙は糖尿病になりやすい
- 糖尿病はうつになりやすい
ということになります。
詳しく見る ⇒ 糖尿病のヒトはうつになりやすい
タバコは血糖値を上昇させる
しかし、タバコと糖尿病の関係については明確に分かっていないのが現状のようです。
タバコのニコチンは交感神経を刺激して血管を収縮させます。
さらに、ニコチンはインスリンの効果を悪くする(インスリン抵抗性が上昇する)といわれていますが、これらの関係については明確に分かっていないようです。
しかし、
- 喫煙の前後で血糖値を測定したところ喫煙後に血糖値が上昇した
- 喫煙者ではインスリン抵抗性が非喫煙者より上昇していた
- インスリン投与者でインスリンの皮下吸収が悪くなる
その他にも喫煙は糖尿病に悪影響を与えることが疫学調査で明らかになっています。
詳しく見る ⇒ 糖尿病でタバコは禁煙した方が良いのか
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日本の喫煙率は高い
日本でも分煙や禁煙が広まったことも拍車をかけ、日本の喫煙率は低下傾向にあります。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2013年の平均喫煙率は19.3%で、10年前に比べると8.4ポイント減少したそうですが、
- 男性の喫煙者 32.2%
- 女性の喫煙者 8.2%
とまだ高く、性別、年齢別で見ると中年女性の喫煙率は依然として下がらない傾向にあるそうです。
喫煙率が大きく減少しているのは20代だ。
喫煙率を男女別に見てみると、男女問ともに喫煙率は低下している。
男性は全年代で喫煙率が低下しているのに対し、女性は40代・50代が横ばいで推移している傾向がある。
1990年代から2000年代前半にかけて20代で喫煙を始めた女性が、その後も喫煙を続けていることも考えられる。
日本の喫煙率はグラフで見ると非常に下がってきてはいるのですが、
2012年のデータでは、
- 日本 20.7%
- 英国 20%、
- カナダ 16.1%、
- 米国 14.2%
と先進諸外国より高く、
男性だけの比較では、
- 日本男性 34.1%
- 英国男性 22%
- カナダ男性 18.7%
- 米国男性 15.9%
と、日本人男性の喫煙率は非常に高かったそうです。
禁煙すれば寿命が延びる
上の論文で紹介しましたように、
禁煙しても糖尿病のリスクがなくなるまで10年かかる
のですが、そうであれば少しでも早く禁煙に踏み切るべきです。
糖尿病のリスクをできるだけ早く下げるためには、禁煙は早ければ早いほど効果が出るのですが、同時に寿命も延びるのです。
英国の研究報告では、
25~34歳で禁煙すると、喫煙により失う寿命10年分を取り戻せる可能性がある
としています。
35~44歳で禁煙すれば9年、45~54歳だと6年、55~64歳だと3年の寿命を取り戻せるのです。
日本の研究でも、禁煙は35歳までにおこなうのが望ましいと報告されています。
怖いのは副流煙
これを読んでおられる貴方には家族が居られると思います。
家庭内での喫煙はなかなか難しく、換気扇の下、ベランダで、、などと喫煙場所を制限されていると思いますが、それでも副流煙が怖いのです。
タバコを吸っている貴方は、「フィルターを通した煙」を吸い込んでいるのですが、周囲の家族は「フィルターを通さない煙」を吸い込んでいるのです。
タバコの煙には、4,000種類以上の物質が含まれているといわれていますが、
- 200種類以上の有害物質
- 50種類以上の発癌物質
が含まれているといわれています。
日本のタバコフィルター技術は非常に優れており、これらの有害物質や発癌物質を取り除いているのですが、
貴方の家族は有害物質や発癌物質を含んだ煙を吸っているのです
タバコの害は本人よりも副流煙を吸っている周りの家族が被っているのです。
血糖値が高いといわれたら禁煙に踏み切ってください
家族のためにも、、、
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