製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
厚生労働省の患者調査によると、50~79歳の2型糖尿病者では、53%が高血圧を併発していることが明らかになっていますが、年齢を限らない調査でも、糖尿病患者の40~60%が高血圧だといわれているのです。
くわしく見る ⇒ 糖尿病と高血圧の関係をご存じですか?
糖尿病の人は糖尿病でない人に比較して2倍も高血圧になりやすいのです。
糖尿病は症状のない病気ですが、糖尿病が進行すると、
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
などの糖尿病合併症が発生します。
しかし、高血圧の治療を受けた糖尿病患者では心血管疾患などあらゆる合併症による死亡リスクが低下するという研究結果が発表されました。
糖尿病のあなたは高血圧の治療もしていますか?
糖尿病で高血圧を併発すると死亡率が上がるのですが、高血圧を治療すると死亡率が下がるのです。
糖尿病に併発した高血圧を治療すると死亡率が下がる
アイルランド国立大学の研究グループは、高血圧の治療を受けている糖尿病患者では、脳卒中、心筋梗塞など全死亡のリスクが低下するという研究論文を発表しました。
Effects of Blood Pressure Lowering on Clinical Outcomes According to Baseline Blood Pressure and Cardiovascular Risk in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus
血圧値を130/80mmHg以下に抑えるような治療を受けている糖尿病患者では心疾患などによる死亡率が低下したというのです。
この研究は、20ヵ国の215ヵ所の医療機関で糖尿病の治療を受けている1万1,000人の糖尿病患者を4年間にわたり追跡調査し、高血圧の治療を受けている糖尿病患者と受けていない患者での糖尿病合併症の発症を調べたのです。
4年間の追跡期間中に、
- 糖尿病腎症
- 糖尿病網膜症
- 心臓発作
- 脳卒中
など、
- 糖尿病合併症 : 966件
- 糖尿病合併症による死亡 : 837件
が発生しました。
しかし、高血圧の治療を受けていた糖尿病患者では、
- 死亡率 : 14%低下
- 合併症 : 9%減少
していることが明らかになったのです。
これらの糖尿病患者では血圧を130/80mmHg以上にする治療を受けていたのです。
糖尿病では3人に1人が高血圧を併発する
上に書きましたように、国内の糖尿病患者では、
- 糖尿病患者の約40〜60%が高血圧を合併
- 高血圧の人はそうでない人に比べ糖尿病になるリスクが2〜3倍高くなる
ことが知られています。
アメリカの調査でも、糖尿病患者の3人に1人が高血圧も発症していることが明らかになっています。
糖尿病患者が高血圧を併発する理由
糖尿病では高血圧を併発しやすいことは、
にも書いたのですが、糖尿病患者が高血圧を併発しやすい3大理由は、
- インスリン感受性の低下
糖尿病ではインスリンの作用が弱くなることからインスリン抵抗性が上がったというのですが、そのためにインスリンが過剰に分泌されることになります。過剰なインスリンによって交感神経を刺激され血圧が上がるのです。 - 肥満
糖尿病でも高血圧でも原因の一つに肥満があります。肥満になると、インスリンの働きを抑えるホルモンが分泌され、これによってインスリン抵抗性が上がり血圧も上昇するのです。 - 腎機能の低下
糖尿病で腎臓の毛細血管が障害され、腎機能が低下すると腎臓からのナトリウム排泄が低下し体内の水分量が増えて血圧が上昇するのです。
であることが分かっています。
高血圧が進行すると血圧の上昇により、
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
などが発生することはご存じと思いますが、糖尿病でも血管が傷害されるために合併症として、
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
などが発生するのです、、、
まとめ
糖尿病では高血圧を併発しやすいことは多くの疫学研究で明らかになっていますし、糖尿病では高血圧を併発しやすい理由も明らかになっているのです。
そして、糖尿病でも高血圧でも病態が進行すれば心血管疾患による死亡リスクが急激に上昇します。
しかし今回の研究で明らかになったように、糖尿病でも高血圧の治療をおこなえば心血管疾患による死亡リスクは大幅に減少するのです。







