糖尿病のEDではバイアグラが効かない
糖尿病患者ではED(勃起不全)の罹患率が非常に高いことを知っていますか?
糖尿病患者では健常者に比べED率が2~4倍も高いのです。
糖尿病とED、無関係のように思う方も多いでしょうが、
糖尿病とEDは密接な関係にあり、EDは糖尿病の合併症といっても良いような関係にあるのです。
そしてなによりも気になるのは、
糖尿病患者のEDではバイアグラがあまり効かない
というのです、、。
糖尿病ではED(勃起不全)が多い
日本人男性では近年、性機能の低下が著しいのだそうです。
1998年の白井將文らの調査(日本臨床60:200-,2002)によると、
成人男性の4人に1人が、
- 勃起が十分でなく時々性交ができない(中等度ED)
- 勃起しないため常に性交ができない(完全ED)
というED症状だったそうです。
さらに、
- たまにできない(軽度ED)
という人まで入れると、ED有病者数はもっと増え、
日本人成人男性のなんと81%が何らかのDEに対する懸念を持っている
との報告もあります。
ED治療薬のレビトラを販売するバイエル薬品によると、
同社のED電話相談窓口であるEDトークダイヤルに電話をかけてきた男性を年代別に見ると、
50代、60代以上が全体の約6割を超えており、
中高年でDEの悩みを抱えている割合が増えているそうです。
糖尿病ではEDが多い
糖尿病患者ではEDの罹病率が高いことが知られています。
糖尿病には1型と2型があり、日本人の糖尿病の95%は2型糖尿病ですが、糖尿病の型および糖尿病の罹患年数とEDの関係を調べた東京女子医大・高橋らの報告(ED Practics 03 Vol.12 No.3 202)によると、
糖尿病の1型2型にかかわらず、
53歳~90歳の糖尿病患者では過去5年間の間に
「勃起不充分」、「勃起不全」だった患者は46%~62%で、
非糖尿病者の24%に比べて倍以上の比率で、
罹病期間が長くなれば、「勃起不充分」、「勃起不全」の率が増加したそうです。
糖尿病患者では健常者よりもED率が2倍
同様な報告は臨床の現場でも確認されています。
泌尿器科に、EDの症状で来院した患者の17% が糖尿病で、
他の患者についても空腹時血糖値を調べたところ、さらに5%が糖尿病で、12% に耐糖能異常が見つかったことから、
ED症状で来院した患者の34%が糖代謝異常だったとの報告があります。
海外の糖尿病患者の調査では、自己記入による調査では35~46%が、直接面接調査では36~65%がED症状があると答えたという。同様な国内国の聞き取り調査でも糖尿病患者の42~90%がED症状を訴えたと報告されています。
糖尿病でのED罹患率は非糖尿病より2~4倍も高い
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糖尿病とEDの関係
糖尿病になるとどうしてEDが増えるのでしょう?
糖尿病はこれまでも何回も書いてきましたように、高血糖による血管の病気なのです。
糖尿病 = 血管障害
糖尿病患者でのDEにも、血管障害が関与していると考えられていますが、詳しく理解するためには、どうして勃起するのかを知る必要があります。
勃起の仕組み
陰茎の内部には、スポンジ状の陰茎海綿体という組織があります。
下の図は、陰茎を輪切りにしたものですが、陰茎の中には2本の陰茎海綿体と、1本の尿道海綿体があります。
性的な刺激を受けると、陰茎海綿体の中の陰茎動脈が拡張し、大量の血液が陰茎海綿体に流れ込みます。
このことによって、スポンジ状の陰茎海綿体は膨らみ、陰茎静脈を圧迫して血液の流出を抑えてしまうのです。
これにより、陰茎海綿体の中にはさらに血液が貯留し、陰茎海綿体はさらに硬くなり、これが勃起なのです。
勃起するためには
糖尿病とEDの関係を知るために、もう少し理解してください。
勃起するためには、陰茎動脈の拡張が必須です。
勃起するためには陰茎海綿体に血液が流れ込まなければなりません。
陰茎動脈に血液を送り込むためには陰茎動脈が拡張する必要があります。
- 性的な興奮
- 陰茎の神経終末と内皮細胞からNOが分泌
- NOはcGMPを産生させます。
- cGMPは血管を拡張
と、
この過程が重要なのです。
陰茎動脈の拡張により陰茎海綿体に大量の血液が流れ込むためには血管を緩めて拡張させるcGMPが必要なのです。(cGMP:サイクリックGMP)
勃起において重要な働きをしているのは、
- NO(一酸化窒素)
- サイクリックGMP(サイクリックグアノシン1リン酸:c-GMP)
なのです。
糖尿病性EDでは血管障害と神経障害が原因か
多くの調査によって、糖尿病患者ではEDが高頻度で起こることが分かっていますが、まだ明確になってはいませんが、高血糖に引き起こされる、「血管障害」、「神経障害」だと推定されています。
糖尿病の高血糖により、血管障害(血流障害)や神経障害がおこると、この勃起に必要な一連の過程がスムーズに進まなくなり
- 全く勃起しない
- 勃起しても硬さが十分でない
- 勃起が長く続かない
などのED症状が現れるのです。
健康な男性でも加齢にともなって血管障害や神経障害が進みますので少しずつ勃起力は衰えます。
しかし、糖尿病患者では持続的高血糖が血管障害や神経障害を急速に進行させるために、高頻度で、高いレベルで、ED(勃起不全)がみられるのです。
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ED(勃起障害)の治療
EDの大きな原因はcGMPの減少によるものが多く、EDにおける薬物療法では
- NO産出促進
- cGMP減少阻止
の作用がある薬物が使われます。
実際には、「ED治療薬はcGMPの分解を抑制する薬」で、正式名称は「PDE5阻害薬」で、バイアグラはPDE5阻害薬です。
商品名 | 一般名 | 作用 | 販売会社 |
持続時間 (服用) |
用量 |
バイアグラ | シルデナフィル | PDE5阻害 | ファイザー |
4時間 (1時間前) |
50mg |
レビトラ | バルデナフィル | PDE5阻害 | バイエル |
4時間 (1時間前) |
20mg |
シアリス | タダラフィル | PDE5阻害 | イライリリー |
36時間 (3時間前) |
20mg |
PDE5というのは、cGMPを分解する酵素で、この酵素を阻害することによってcGMPの分解が阻害されために、陰茎動脈の拡張が長時間維持されることから持続的な勃起が可能となるのです。
糖尿病EDではバイアグラが効きにくい
1,300万人とも言われますが、治療を受けているED患者は10%の100万人程度ではないかと推察されています。
その理由は、
- EDだと言って診察を受けるのは恥ずかしい
- インターネットでは安く購入出来る
などのと思われますが、実際にはインターネットでは非常に多くの個人輸入代行会社が宣伝を出しており、非常に簡単に購入出来るからです。
しかし、
糖尿病患者がインターネットでED治療薬を購入して服用することは非常に危険です。
ED治療薬は血管を拡張させる薬で。あり、糖尿病に併発しやすい動脈硬化、狭心症、心臓血管障害などの疾患がありそれらの治療薬を服用している場合には、バイアグラの処方は禁忌とされています
糖尿病のEDでは薬が効きにくい
糖尿病のEDにけるED治療薬の有効率は他の原因によるEDより低く、
糖尿病EDにおけるバイアグラの有効性は50%
といわれています(ホワイトハンズ大学の資料による)。
国内におけるバイアグラの認可量は50mgですが、糖尿病患者のEDでは100mgでなければ効果がないという多くの症例報告もだされています。
さらには、
血糖コントロールの良い糖尿病患者ほど、バイアグラの有効率が高いとの報告もあり、糖尿病EDにおいても血糖管理が第一の療法なのです。
糖尿病では個人輸入によるED治療薬の服用は危険
糖尿病のEDでも血糖管理が第一です
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