製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
乳酸菌というと、直ぐにヨーグルトやヤクルトを思い浮かべるでしょう。
乳酸菌などのプロバイオティクスは腸内環境を整えることで知られていますが、糖尿病との関係についても研究されています。
順天堂大学では、糖尿病患者を対象に、乳酸菌(シロタ株)を含むプロバイオティクス飲料を使った研究が行われています。
糖尿病と乳酸菌にはどのような関係があるのでしょうか。
プロバイオティクスとは?
私たちの腸内には多くの腸内細菌が存在し、腸内細菌叢(腸内フローラ)を形成しています。
プロバイオティクスとは、健康に良い働きをする生きた微生物や、それらを含む食品などを指します。
具体的には、
・ブルガリア菌
・LG21乳酸菌
・1073R-1乳酸菌
・シロタ株
・ロイテリ菌
など、主に「乳酸菌」や「ビフィズス」などです。
糖尿病患者におけるヤクルトの健康効果とは?
順天堂大学の研究グループは、プロバイオティクス飲料が糖尿病患者にもたらす効果について研究しました。
研究に使われたのは、乳酸菌シロタ株を含むプロバイオティクス飲料(ヤクルト)です。
研究では糖尿病患者70人を対象に、
・プロバイオティクス飲料を飲むグループ
・飲まないグループ
に分けて比較しました。
プロバイオティクス飲料には、400億個のシロタ株が含まれていました。
そして16週間継続したところ、プロバイオティクス飲料を飲んだグループでは、
・腸内の善玉菌が増加
・血中への腸内細菌の移行を抑制
することが確認されました。
研究グループは、プロバイオティクスの継続摂取によって腸内環境を改善することが、腸管バリア機能を強化し、慢性炎症を抑える可能性を示しています。
なぜ腸内細菌が糖尿病と関係するのか?
この研究グループは、それ以前の研究で、日本人の糖尿病患者では、
・腸内フローラのバランスが乱れている
・腸内細菌が血液中へ移行しやすくなっている
ことを報告しています。
腸内細菌が血液中へ移行すると、慢性炎症につながる可能性があります。
糖尿病では、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が大きな問題になりますが、このインスリン抵抗性には慢性炎症が関係していることが知られています。
そこで、腸内環境を整えるプロバイオティクスと糖尿病との関係が注目されているのです。
ヨーグルトでも血糖値に対する効果の研究が進んでいる
乳酸菌と糖尿病の研究は、ヤクルトなどのプロバイオティクス飲料だけではありません。
2026年には、明治や千葉大学などの研究グループが、糖尿病ではない成人303人を対象に、ヨーグルトを84日間継続して食べる研究を行いました。
その結果、平均血糖値などの血糖指標が改善し、腸内細菌叢にも変化がみられました。
さらに現在は、糖尿病患者40人を対象に、ヨーグルトを食べるグループと食べないグループに分け、FreeStyleリブレ2で血糖変動を調べる臨床研究も進められています。
👉 ヨーグルトで血糖値が改善?明治の研究で分かった腸内細菌との関係
乳酸菌と腸内環境についてもっと知りたい方へ
ヨーグルトと糖尿病予防、腸内細菌、プロバイオティクスの関係についてはこちらでも紹介しています。
まとめ
順天堂大学が糖尿病患者を対象に行った研究では、シロタ株を含むプロバイオティクス飲料を16週間継続して摂取することで、
・腸内の善玉菌が増加
・血中への腸内細菌の移行を抑制
することが確認されました。
そして2026年には、ヨーグルトの継続摂取と血糖値、腸内細菌との関係について新しい研究結果も発表されています。
ヨーグルトやヤクルトなどに含まれる乳酸菌と腸内環境が、糖尿病とどのように関係しているのか、研究が進められています。
最終更新日:2026年9月








