糖尿病と不眠の関係を解明|大阪市立大
臨床の経験はないのですが20年にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
夜あまり眠れないと感じているあなた、
あまり知られていないですが、糖尿病と不眠症には強い関係があります。
糖尿病患者の40%は不眠に悩まされているのです。
そして、早朝血圧上昇を介して血管障害を起こすことが分かっているのです。
あなたはいかがですか?
糖尿病と不眠症の関係が分かった
糖尿病患者では、健康な人に比べて約2倍も不眠が見られるのですが、具体的には糖尿病の高血糖と睡眠障害との関連は明らかではなかったのです。
また、糖尿病の肥満患者では、睡眠時無呼吸症候群もしばしば見られるのですが、どうしてなのかは不明だったのです、、、。
大阪市立大学の稲葉教授らの研究チームは、
糖尿病患者の血糖コントロールの悪化は、
- 睡眠の質を悪くする
- 不眠を引き起こす
- 睡眠障害は早朝高血圧を起こす
- 早朝高血圧は心血管障害の原因になる
ことを明らかにしたのです。
詳細はこちら ⇒ 大阪市立大学プレスリリース
糖尿病患者では眠りの質が悪い
研究チームは、2型糖尿病患者の睡眠の質を脳波計で測定したところ、高血糖(HbA1c増悪)は、が、睡眠の質を決定する睡眠第1相の時間短縮、さらに、脳を休息させる深睡眠である徐波睡眠の短縮と関連することを明らかにしたのです。
睡眠には、レム睡眠とノン・レム睡眠という二つの質の違う睡眠があります。
- レム睡眠 : からだの眠り (睡眠の80%)
- ノン・レム睡眠 : 脳の眠り (睡眠の20%)
ノン・レム睡眠は入眠後直ぐの睡眠第1相といわれる時間帯に多いのですが、
血糖コントロールの悪い糖尿病患者では、
- 睡眠の質を決定するノン・レム睡眠の多い睡眠第1相の時間が短縮
- 脳を休息させるノン・レム睡眠の持続時間の短縮
が起きていることが明らかになったのです。
糖尿病患者では眠りの質が悪い
睡眠の質の低下は動脈硬化を引き起こす
さらに、睡眠の質の増悪は動脈硬化指標であり、心血管イベントリスク因子である頸動脈の内膜中膜肥厚度と関連することも分かりました。
すなわち、
深い睡眠が障害されるほど動脈硬化指標が増加するのです。
- 心血管、脳血管の障害は早朝に起こることが多い
- 就寝時に血圧は低いが、早朝に血圧は急上昇する
ことは今までに分かっており、
早朝の血圧上昇が脳出血などの発症に密接に関係していると考えられるのですが、
睡眠の質の悪化は早朝血圧上昇を介して血管障害を起こす
ということで、血糖コントロールの悪化は、不眠だけで無く、毛血管障害の危険も高まるのです。
研究グループでは、糖尿病患者では不眠治療も重要であるとしています。
糖尿病患者への積極的な睡眠障害に対する治療は、不眠によるQOL増悪を改善するだけでなく、交感神経活動の低下により夜間・早朝血圧改善による動脈硬化進展予防や、血糖コントロール改善を目的とする治療として位置づけられます。睡眠導入薬の進歩や新規薬剤の投入により、不眠治療が臨床の場で安全かつ効率よく行えるようになったことに加え、不眠治療に対する認識を変えることができる研究であるといえます。
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糖尿病患者の不眠治療
糖尿病患者ではウツや不眠が多いことは良く知られています。
特に、不眠の女性は糖尿病のリスクが高いともいわれています。
しかし大事なことは、睡眠不足と不眠とは違うということです。
睡眠不足と不眠との判別は非常に難しく、1日8時間寝なければ体調が悪いというヒトもいますが、4時間でも大丈夫という人も多いのです。
しかし、毎日8時間の睡眠を取っているヒトを4時間しか寝かせないで、起床時に血糖値を測定してみると、8時間の睡眠を取ったときよりも血糖値が上がり、インスリン抵抗性が高まっていたという実験結果があります。
さらに、不眠症の評価尺度(PSQI)が悪化に伴って、ヘモグロビンA1cの値が2%ずつ悪くなるという報告もあり、不眠の重症度と糖尿病の重症度は確実に相関するというのが現時点では科学的にも証明されています。
糖尿病の直接的原因は不眠ではありませんが、不眠を治すことによって糖尿病も改善するということは事実のようです。
大阪市立大学の稲葉先生の研究グループでも、
糖尿病患者に睡眠障害治療を行うと、血糖値が改善した
と述べています。
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不眠の改善は生活習慣の見直しから
不眠、眠れないと思うと直ぐに“睡眠薬”を思い浮かべますが、睡眠薬は最後の手段。
睡眠薬に頼る前にまずは生活習慣を見直してみてください。
- 睡眠時間は人それぞれで8時間必要はウソ
- 就寝前の刺激物を避ける
- 寝る前の自分なりのリラックス法を考える
- 就寝時刻にこだわらず、眠くなるまで寝ない
- 起床は毎日同じ時刻に起床すること
- 光の利用は良い睡眠を招く
- 規則正しい3度の食事と適度な運動習慣
- 昼寝は15時より前に20~30分間の短時間
- 眠りが浅いと感じたら、早寝では無く遅寝にする
特に大事なことは、
最適な睡眠時間はヒトによって異なる
ということです。
睡眠時間は人それぞれで、年齢によっても変わるのです。
活動量が多く、代謝も激しい若い人では8時間の睡眠が必要ですが、歳をとったヒトでは消費エネルギーも低下し、6時間でも充分だといわれています。
自分にとって毎日日中に調子よく過ごせるための睡眠時間がどの程度かを知ることが重要です。
体と脳がそこまで睡眠を必要としていないのに、“眠らなければならない”と決めつけてしまうことが睡眠のトラブルの原因になるのです。
睡眠時間は人それぞれでことなります
最適睡眠時間は誰でもが8時間というのは間違いです
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