製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
食事をすると血糖値は上昇します。
特に、ご飯やパンなどの炭水化物を食べた後に血糖値が大きく上昇する「食後高血糖」は、糖尿病や糖尿病予備群の人では注意したい問題です。
では、食後血糖の上昇をできるだけ小さくするにはどうすればよいのでしょうか。
野菜を先に食べる「ベジファースト」や大豆を先に食べる「大豆ファースト」はよく知られていますが、もう一つ簡単な方法があります。
食事の最初にヨーグルトを食べる「ヨーグルトファースト」です。
実際に、ヨーグルトを白米より先に食べることで食後血糖の上昇が抑えられたという試験があります。
さらに日本人303人を対象にヨーグルトを毎日食べてもらい、持続血糖測定器(CGM)で血糖値の変化を調べた研究も発表されました。
ヨーグルトと血糖値について、最新の研究も含めて見てみましょう。
グルコーススパイクともいわれる食後高血糖は健康診断では見つからないのですが、糖尿病の予防や治療では非常に重要な意味を持ちます。グルコーススパイクについては是非知っておいてください。👉健康診断では分からないグルコーススパイクとは?
食後高血糖を抑える「ヨーグルトファースト」
食後高血糖を抑える方法としては、
- 炭水化物を食べ過ぎない
- 食物繊維の多い食品を食べる
- 野菜やタンパク質を炭水化物より先に食べる
などがあります。
そして、食事の最初にヨーグルトを食べることでも、食後血糖の上昇を抑えられる可能性があります。
白米の前にヨーグルトを食べると血糖値の上昇が小さかった
大人のダイエット研究所が行った試験では、健康な20~40代の男女を対象に、食べる食品や順番を変えて食後血糖値を調べました。
- 白米だけを食べる
- サラダを食べてから白米を食べる
- 白米を食べてからヨーグルトを食べる
- ヨーグルトを食べてから白米を食べる
という食べ方を比較したところ、白米だけを食べた場合に比べて、ヨーグルトと白米を組み合わせた場合には食後血糖値の上昇が小さくなりました。
なかでも注目したいのが、白米より先にヨーグルトを食べた場合です。
このグラフを見ると、白米だけを食べた場合に比べて、ヨーグルトを組み合わせた場合には食後の血糖値が低く推移しています。
つまり、ヨーグルトは「食後のデザート」として食べるだけでなく、炭水化物より先に食べるという食べ方も考えられるのです。
ヨーグルトファーストはベジファーストより食後高血糖を抑えた
さらに、この試験では、
- サラダを先に食べる「ベジファースト」
- ヨーグルトを先に食べる「ヨーグルトファースト」
も比較しています。
ヨーグルトファーストでも食後血糖値の上昇が抑えられ、食後2時間の血糖値はベジファーストより低い結果となりました。
ただし、この試験は参加人数が少なく、健康な成人を対象にした試験です。
「糖尿病の人ならヨーグルトを先に食べれば必ず血糖値が下がる」とまで言える研究ではありません。
それでも、食事の順番によって食後血糖の上がり方が変わることを考えるうえでは興味深い結果です。
なぜヨーグルトを先に食べると血糖値が上がりにくいのか?
ヨーグルトにはタンパク質や脂質が含まれています。
炭水化物だけを食べる場合と比べて、タンパク質や脂質を一緒に摂ることで、食後血糖の上昇が緩やかになることがあります。
そのため、白米やパンだけを食べるよりも、ヨーグルトを組み合わせる、さらに先に食べることで食後血糖の上昇が抑えられた可能性があります。
ただし、ヨーグルトなら何でも同じというわけではありません。
糖尿病や血糖値が気になる人なら、砂糖を多く加えたヨーグルトよりも、無糖のプレーンヨーグルトを選ぶ方がよいでしょう。
ヨーグルトそのものの効果を期待しているのに、砂糖や甘いソースをたくさん加えて糖質を増やしてしまっては意味がありません。
2026年の研究でもヨーグルトと血糖値の関係を調査
ヨーグルトと血糖値については、その後も研究が続いています。
2026年に『The Journal of Nutrition』に発表された日本の研究では、糖尿病と診断されていない成人303人が、毎朝200gのプレーンヨーグルトを84日間食べました。
この研究では、FreeStyle Libreによる持続血糖測定(CGM)を使って血糖値の変化を調べています。
その結果、研究期間の後半には平均血糖値が開始時より約4mg/dL低下し、血糖変動を示す指標にも改善がみられました。
参考:Associations between Yogurt Consumption, Gut Microbiota Composition, and Glucose Dynamics
ただし、この研究にはヨーグルトを食べない対照群がありません。
そのため、血糖値の変化がすべてヨーグルトによるものだったと断定することはできません。
それでも、303人をCGMで長期間追跡した研究で、毎日のヨーグルト摂取と血糖動態の改善が関連していたことは注目できます。
また、この研究では腸内細菌の変化も調べられています。
ヨーグルトと腸内環境については別の記事で詳しく紹介しています。
食後高血糖を防ぐならヨーグルトだけに頼らない
ヨーグルトファーストは簡単に試せる食べ方ですが、ヨーグルトを食べれば大量のご飯やパンを食べても血糖値が上がらなくなるわけではありません。
食後血糖に最も大きく影響するのは、やはり食事全体、とくに炭水化物の量です。
ですから、
- 炭水化物を食べ過ぎない
- 野菜やタンパク質を組み合わせる
- 食べる順番を工夫する
- 夜遅くまでダラダラ食べ続けない
といった食べ方の一つとして、ヨーグルトファーストを取り入れるのがよいでしょう。
特にパンだけで済ませてしまいがちな朝食なら、最初に無糖ヨーグルトを食べてからパンを食べるという方法は取り入れやすいと思います。
また、「何を食べるか」だけでなく「何時まで食べるか」も血糖管理や体重管理を考えるうえで大切です。
⇒ 8時間ダイエットは本当に痩せる?16時間断食と糖尿病への効果
まとめ
食後高血糖を抑える方法というと、ベジファーストや糖質制限などがよく知られています。
しかし、ヨーグルトを食事の最初に食べる「ヨーグルトファースト」でも、食後血糖の上昇を抑えられる可能性があります。
さらに2026年には、日本人303人を対象とした研究で、毎日ヨーグルトを食べた期間に平均血糖値や血糖変動の改善がみられました。
もちろん、ヨーグルトだけで糖尿病を治したり、食後高血糖を完全に防いだりできるわけではありません。
大切なのは、
・食べる物
・食べる量
・食べる順番
・食べる時間
を組み合わせてTotalに考えることです。
ヨーグルトを取り入れるなら、まずは無糖のプレーンヨーグルトを食事の最初に食べる。
毎日の食事で実践しやすい食後高血糖対策の一つだと思います。
ヨーグルトを習慣的に食べる人では、糖尿病の発症リスクが低いという研究もあります。
最終更新日:2026年9月











