今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本です。
食事療法と運動療法で血糖値がコントロールできないときにはじめて薬物療法が開始されるのです。
日本糖尿病学会では糖尿病の食事療法としてカロリー制限を推奨しています。
しかし、最近は糖質制限が注目されています。
糖尿病の食事療法では、
- カロリー制限が効果があるのでしょうか?
- 糖質制限が効果があるのでしょうか?
カロリー制限と糖質制限の効果について考えてみませんか?
糖尿病の食事療法のカロリー制限とは
日本糖尿病学会では糖尿病の食事療法として「カロリー制限」を推奨しています。
カロリー制限とはその字のごとく、摂取するカロリーを制限する食事法です。
糖尿病と診断されると、教育入院といって、
- 糖尿病とはどんな病気か?
- 糖尿病を放置するとどうなるか?
- 糖尿病の治療法は?
ということを勉強するのです、同時に食事療法についての講義や実践もおこなわれます。
社団法人・日本栄養士会では、「糖尿病栄養食事指導マニュアル」にて、
糖尿病の食事療法であるカロリー制限を詳しく説明しています。
詳しく見る ⇒ 糖尿病栄養食事指導マニュアル
カロリー制限とは、
自分に合ったエネルギー量を栄養のバランス良く摂取する
ということで、
合併症を防ぐために血糖値を、
- HbA1cでは7.0%未満
- 空腹時血糖値 130mg/dl未満
- 食後2時間血糖値 180mg/dl未満
を目標としています。
カロリー制限をやってみる
カロリー制限では、
- 自分に見合った摂取エネルギー量はどの位か?
を知る必要があります。
摂取エネルギー量は、
- その人の体のサイズ
- その人の身体活動レベル
で異なるため、摂取エネルギーの計算では、
摂取エネルギー = 標準体重x活動レベル
で計算するのですが、
身体活動レベルは、
- 低い(座って過ごすデスクワーク) : 25~30kcal
- 中程度(座り中心だが軽い運動もする): 30~35kcal
- 高い(肉体労働や激しい運動をする) : 35kcal~
具体的には、
< 年齢:30歳 の男性 身長170cm 体重67kg 職業:事務職 >
標準体重 1.7×1.7×22 = 63.5 ≒ 64kg
摂取エネルギー量は、
64kg × 32.58kcal = 792 ≒ 1,800kcal
さて、摂取カロリーが出たところで、
成人におけるエネルギー比率により、
- 蛋白質を体重1kgあたり1~1.2g摂る
- 総エネルギー量の60%を炭水化物で摂る
- 残りは脂質から摂る
として、
食品1単位(80kcal)あたりとして食品交換表を用いて食べる食材を決めるのです、、、、
慣れればなんとかやっていけますが、自宅での食事ならまだしも、外食や宴会での食事もこの食品交換表で計算し、
- 摂取エネルギーの範囲に収める
- 総エネルギーの60%を炭水化物から摂る
を守る必要があるのです、、、、、、。
説明するだけでも困難で、これを356日、毎日の3食で実践するのは非常に困難です。
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糖尿病の食事療法の糖質制限とは
では、最近話題になっている糖質制限とはどんな食事法なのでしょうか?
糖質制限食を国内で最も早く提唱したのは、京都にある高雄病院の江部康二医師です。
詳しく読む ⇒ 関西で糖尿病の名医がいる高雄病院
江部医師の提唱する糖質制限は非常にシンプルです。
- プチ糖質制限食 : 夕食だけ炭水化物を食べない
- スタンダード糖質制限食 : 朝、夕食は炭水化物を食べない
- スーパー糖質制限食 : 3食とも炭水化物を食べない
たったこれだけなのです。
カロリーについては、一般的な標準摂取カロリーの範囲で、
- 男性なら : 1,600~2,400 kcal
- 女性なら : 1,200~1,800 kcal
とします。
炭水化物を食べないについては、
- 白米
- 麺類
- パン
の主食となるものを食べないようにし、
糖質の多い、
- 根菜類(いも、人参など)
- ケーキや甘い炭酸飲料
も控えるようにした方が良いでしょう。
注意点としては、
白米やパンなどカロリーは蛋白質や脂質で補う
ということです。
具体的には、
ご飯を食べない代わりにステーキの肉を大きくする
というようなことです。
糖質制限は非常にシンプルで、炭水化物の量を減らすだけです。
具体的にはご飯を減らしてステーキを大きくすることです。
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カロリー制限では血糖値は下がらない
糖尿病の食事療法として糖質制限の有効性は広く認識され、
アメリカの糖尿病学会では糖尿病の食事療法として糖質制限を推奨しています。
しかし、
日本糖尿病学会は2013年に、
糖質制限食は現時点では根拠が不足している
として従来のカロリー制限食を支持する立場を改めて明らかにしています。
食べ物が消化されれば、炭水化物は腸管から吸収されて血糖(ブドウ糖)に変わりますが、蛋白質や脂質は血糖値を上げません。
蛋白質や脂質は消化されてもブドウ糖にならないからです。
糖質1gは、体重が64kgの人の血糖値を約3mg上昇させます。
白米茶碗1杯(150g、252kcal)には、55.3gの糖質が含まれていますから血糖値を166mgも上昇させます。
日本糖尿病学会が推奨するカロリー制限では総カロリーの60%は炭水化物から摂るように指示していますから、
1,600kcalを炭水化物で摂ると白米を4.3杯、
血糖値を711mgも上げてしまうことになるのです、、、、。
日本糖尿病学会の理事長は糖質制限を推奨
日本糖尿病学会は、糖質制限を承認していないのですが、
日本糖尿病学会の理事長である門脇孝氏は、
糖質制限には反対ではない、糖質量40%の緩やかな糖質制限は推奨できる
と述べているのです。
詳しく見る ⇒ 理事長は糖質制限を推奨
さらに、門脇氏は2015年まで東京大学医学部附属病院の院長を務めていたのですが、
東京大学医学部附属病院では40%の糖質制限を実践している
というのです、、、、。
さらには、
門脇氏自らも糖質制限を実践している
と述べているのです、、、、、。
糖尿病の食事療法では、
- カロリー制限が良いのか?
- 糖質制限が良いのか?
もう明らかだと思います。
糖質制限で気を付けなければならないのは、
- 糖質ゼロなどの無理な糖質制限をしない
- 糖質を減らした分だけ蛋白質を多く摂る
ということを忘れないでください。
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