糖尿病の合併症で失明する人が増えている
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病の合併症により失明するヒトが増えています
糖尿病性網膜症で失明する人は毎年3,000人もいます
視力が低下して回復しない方も含めればその数倍の人が視力の低下に陥っています
糖尿病網膜症は治療方法がありませんが予防は簡単です
糖尿病網膜症で失明するヒトが増えている
バイエル薬品株式会社と参天製薬株式会社は、
2型糖尿病患者における糖尿病網膜症の予防に関する実態調査
の結果を発表しました。
詳しく見る ⇒ バイエル薬品プレスリリース
日本糖尿病学会の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」では、糖尿病網膜症については、
- 診断確定時に眼科を受診させ、糖尿病網膜症の有無を評価すべきである
- 少なくとも年1回の定期受診が望ましく、リスクの高い例ではより短い間隔での眼科受診が勧められる
と勧告しているのですが、
詳しく見る ⇒ 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013
今回のアンケート調査では、
定期的な眼科受診が全く守られていない
ことが明らかになったのです。
Q:糖尿病と診断されてから眼科を受診しましたか?
の質問に対しては、
- 1年以上たってから受診した :60%
- 受診していない : 23.9%
との回答だったのです、、、。
受診しなかった理由としては、
48.5%の人が、「糖尿病治療医から眼科を受診するように言われなかったから」と答えています。
これは、医師の責任でもあるのでしょうが、あなた自身のことなのです。
失明してもだれも保証はしてくれません。
糖尿病なら糖尿病網膜症で失明する可能性もある
ということをしっかり頭に入れておいてください。
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糖尿病網膜症は成人の失明原因の第1位
日本国内でには、障害が1級の全視覚障害者数30万5,800人いるといわれています。
生後に視力を失う中途失明率は0.14%ぐらいだといわれており、
2,000人に3人くらいが視力障害に陥るのですが、成人における失明の原因は糖尿病性網膜症が第1位を占めています。
さらに、最近の糖尿病患者数の増加に伴って今後さらに増える者と予想されているのです。
上で紹介しました調査でも、
Q: どのくらいの頻度で眼科を受診していますか?
との質問には、
現在は受診していないは22.3%、一度も眼科にかかっていない人を合わせると46.2%の糖尿病患者が1年以上も眼科検診を受けていないのが現状です。
また、糖尿病だと診断されたにも関わらず、治療をしている人は60%にすぎず、糖尿病合併症による失明者は今後さらに増えると思われるのです。
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糖尿病網膜症は糖尿病合併症の1つ
糖尿病網膜症は、糖尿病三大合併症の1つです。
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病医網膜症
- 糖尿病腎症
糖尿病の高血糖では、血中のブドウ糖濃度が高くなり、血液は粘度が高くなりドロドロとして流れが悪くなります。
さらに、血液の流れが悪くなると同時に、高血糖は血管壁を傷害し、血管壁は弾力を失い、もろく、破れやすくなります。
特に、網膜の血管は非常に細く、障害を受けやすく、血管がつまったり出血したりしやすくなります。
糖尿病性網膜症は、下の図に示したように、
- 血液の流れが悪くなる
網膜には栄養を補給する多くの血管が走行していますが、高血糖状態が長く続くと血流が悪くなり網膜への酸素や栄養補給が悪くなり、
血管も流れが滞るなどのために血管の壁が膨らんだ動脈瘤ができたり、血栓で血管が詰まったりします。 - 網膜への栄養補給のために、新たな血管が作られます。
- 新生血管は、急ごしらえのため非常に脆く、ちょっとしたことで出血を起こし、出血により失明に繋がるのです
糖尿病網膜症は上に示した流れにより3期の病期に分けられます
- 初期 : 単純網膜症
毛細血管にコブ(毛細血管瘤)ができたり、点状出血、斑状出血などの限局性出血、血管からしみだした血漿成分の蛋白や脂質が
白斑として沈着(硬性白斑)し他状態 - 中期 : 前増殖網膜症
毛細血管の血栓による閉塞が起こり軟性白斑が生じます。新生血管、高度の静脈変形なども加わります - 末期 : 増殖網膜症
硝子体に増殖性変化が拡大する時期で、脆い新生血管が、硝子体内へ増殖し、硝子体出血や網膜剥離の原因になります
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糖尿病の合併症による失明を防ぐには
糖尿病網膜症を防ぐことはそんなに難しいことではありません。
- 高血糖を改善する
- 定期的な眼科検診を受ける
これだけです。
自覚症状が出てからでは治療の範囲が限られてしまうため、
糖尿病だと診断された人は、目に関する自覚症状がなくても定期的に眼科を受診し、目の健康状態を定期的に調べる必要があります。
眼底検査の受診間隔の目安は、
- 正常~単純網膜症の初期 : 年に1回
- 単純網膜症の中期以降 : 3~6ヵ月に1回
- 前増殖網膜症以降 : 1~2ヵ月に1回
最も重要なのは高血糖の改善
糖尿病網膜症で失明した多くの人が、
自覚症状がなかった
と答えています。
突然の眼内出血により失明にいたる人が多いのです。
それを防ぐには定期的な眼科検診も重要なのですが、高血糖を改善しない限りは糖尿病網膜症の進行はストップしないのです。
糖尿病の食事療法と聞くと、「病人食」を思い浮かべますが、
糖尿病の食事療法は、「健康食」であり「長寿食」なのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事療法は糖質制限がベスト
いろいろな食事療法が提案されていますが、
- 朝食のパンを半分にする
- 夕食のご飯を半分にする
これだけで高血糖は大幅に改善され、糖尿病体質から脱却できるのです。
糖尿病を治せるのはあなたの食事療法だけです
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