レジスタントスターチで糖尿病の血糖値が下がる
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
目次
はじめに
レジスタントスターチをご存じですか?
糖尿病で血糖値が高いあなたにはレジスタントスターチがお薦めなのです。
レジスタントスターチは消化されにくい炭水化物ですから、
レジスタントスターチは血糖値を上げにくい炭水化物なのです。
一番簡単なレジスタントスタートは冷えたご飯です。
冷えたご飯があったならレンジでチンせずにそのまま食べてください。
血糖値が気になるなら、できるだけレジスタントスターチの多い食品を摂ってください。
レジスタントスターチとは何か
レジスタントスターチは英語では、resistant starchと書きます。
resistant とは抵抗する、対抗するとかの意味で、starchはデンプン(殿粉)です。
レジスタントスターチとは、日本語では「抵抗性のデンプン」、つまり消化に抵抗性があるということで、「消化されにくいデンプン」、「難消化性デンプン」ということで、レジスタントスターチは、人間の小腸では消化することができないデンプンなのです。
デンプンは炭水化物の1種類です。
炭水化物の組成は、糖質と食物繊維です。
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維
糖質には、成り立っている糖の個数で単糖類、二糖類、多糖類などに分けられます。
[糖質の種類]
単糖類 = ◆ (糖が1個) ブドウ糖、果糖など
二糖類 = ◆・・・◆ ( 2~20個) 砂糖、乳糖など
多糖類 = ◆◆・・・◆ (21個以上) デンプン、オリゴ糖
デンプンは、糖が20個以上つながった炭水化物なのです。
レジスタントスターチは血糖値を上げない
デンプンは糖が20個以上つながった炭水化物で、摂取すると、アミラーゼなどの消化酵素で分解され、最終的にブドウ糖となり、小腸から吸収されて血流に入り血糖となって全身に運ばれます。
ですから、食事で炭水化物を摂取すれば、血糖値が上昇します。
この食後血糖値の上昇は通常のヒトであれば2時間程度で下がるのですが、隠れ糖尿病のヒトでは下がりにくく、糖尿病のヒトでは数時間経過しても下がらないのです。
しかし、レジスタントスターチは消化酵素によって分解されにくく、ブドウ糖になりませんので、食後の血糖値はほとんど上昇しないのです。
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レジスタントスターチは糖尿病に良い
レジスタントスターチには様々なメリットがあります。
欧州ではレジスタントスターチを14%以上含む食品について「食後の血糖応答が小さい」と表示しても良いと認められているのですが、欧州に限らず、近年、世界各国の多くの公的健康機関が、胃腸の健康のためにレジスタントスターチを摂取するよう推奨しているのです。
レジスタントスターチのダイエット効果
炭水化物であるデンプンのカロリー数は1g当たり4kcalです。
しかし、レジスタントスターチは小腸でほとんど消化されず、大腸の腸内細菌で発酵されるので、カロリー数はデンプンの約半分の2kcalです。
インターネットでレジスタントスターチの効果を検索すると一番多く出てくるのがダイエット関連の効果です。通常の半分のカロリーしかないのですから、食べても太らないというわけで、若い女性などには人気があるのです。
さらに、レジスタントスターチは小腸でおだやかに消化され、大腸ではさらにおだやかに発酵分解されるので腸内をゆっくりと通過するため、朝食に食べると昼食の間、昼食に食べると夕食までの間の空腹感を抑えるセカンドミール効果があり、食事量を抑えられるのです。
レジスタントスターチは血糖値を上げない
上にも書きましたように、通常、デンプンを摂取すると唾液や小腸で消化酵素によってグルコースに分解され、血液へ取り込まれるため血糖値が上がるのですが、レジスタントスターチは消化酵素によって分解されにくいため、血糖が余り上がらないのです。
また、食後血糖値が上昇しないため、インスリンレベルも低く抑えることができる。
さらに、次に述べるように、レジスタントスターチは大腸の腸内細菌により短鎖脂肪酸となり、空腹時血糖の維持管理に関与するインクレチン効果も期待できるのです。
インクレチン効果とは、レジスタントスターチが大腸内で分解されてできた短鎖脂肪酸が腸内のL細胞に働きかけGLP1というホルモンの分泌を促進させるのですが、
GLP1には、
- インスリンの分泌を促進させる
- 血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制する
- 膵臓のインスリン分泌細胞を増やす
などの作用が認められています。
レジスタントスターチは腸内の善玉菌を増やす
レジスタントスターチは腸内細菌によって発酵分解されて、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸などの有機酸に変えられます。
酢酸、プロピオン酸などの有機酸は、腸内を弱酸性に維持する効果があり悪玉菌が活動しにくく、善玉菌が活躍しやすい環境にします。
これらの有機酸は大腸内で大腸の粘膜を保護し、大腸から吸収されても健康維持に役立っています。
レジスタントスターチによって作られた有機酸は、
- 大腸癌予防
- 大腸炎予防
- 中性脂肪やコレステロールの上昇抑制
- インスリン抵抗性の改善
など、全身の健康維持に非常に有益な働きをしているのです。
また、レジスタントスターチは食物繊維として働きますので便量し、を増やし、便秘の解消にも役立っています。
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レジスタントスターを多く含む食品
レジスタントスターチはどんな食品に含まれているのでしょうか?
レジスタントスターチは、穀類や豆類に多く含まれます。
加工食品では、パスタ、コーンフレークなどのデンプンを含む食品にも含まれます。
食品 レジスタントスターチ含有量 (食品100gあたり)
- ライ麦パン(全粒粉) 3.2 g
- トルティーヤ(とうもろこし) 3.0 g
- コーンフレーク 3.2 g
- テトチップス 3.5 g
- バナナ 4.0 g
- パスタ(小麦、調理済) 1.1 g
- 白米(長粒種、調理済) 1.2 g
冷やご飯が一番手軽
一番手軽なのは冷えたデンプンです。
- 冷やご飯
- ポテトサラダ
などには多くのレジスタントスターチが含まれます。
ご飯やジャガイモには多くのデンプンが含まれますが、“冷やす”によって、デンプンがレジスタントスターチに変わるのです。
温かいご飯と冷えたご飯を食べたときには食後血糖値の上昇が異なるのです。
詳しく見る ⇒ レジスタントスターチで血糖値が下がる
そのほか、冷やしてレジスタントスターチが増える食品は、
- 赤飯
- 寿司
- 煮豆
- カボチャ
などです。
“冷やして”ということですが、食べるときに冷えている必要はありません。
調理時に温かかったものを、冷蔵庫などで冷やせばOK、その後に室温に戻しても大丈夫です。
ただし、レンジでチン、したら元に戻ってしまいますのでご注意ください。
レジスタントスターチをたくさん含む米
冷えたご飯は嫌!という方には、レジスタントスターチをたくさん含むという米もあるようです。
「スリムヒカリ」という品種は、レジスタントスターチをたくさん含むという品種のようで、人工的に作られたり添加したものではなく天然の品種のようです。
ダイエット指向の人や糖尿病の方で、「糖尿病や体重が気になるが温かいご飯が食べたい」という方には良いかも知れません。
ただし、通常のお米と異なり冷めると硬くなるそうです。
レジスタントスターチと糖質制限との組合せが最強
ご飯や麺類を食べたいけど血糖値が気になる、、、
という方にはレジスタントスターチは非常に有効な食品ですね。
糖尿病の血糖値を下げるには、
炭水化物の制限
が必須です。
その理由は、どなたでも理解出来るはずです。
血糖値を上げるのは炭水化物だけ
だからです。
三大栄養素が分解されると、
- 炭水化物 → 糖
- 蛋白質 → アミノ酸
- 脂肪 → 脂肪酸、グリセリン
このことは小学生で習ったのですが、忘れてしまっています。
- 蛋白質や脂肪をいくら食べても血糖値は上がりません
- 血糖値を上げたくなければ炭水化物を減らす必要がある
ということなのです。
炭水化物を「ゼロ」にする必要はありません。
- 朝食のパンを半分にする
- 夕食のご飯を半分にする
これだけでも、あなたの血糖値は大きく変わるのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事法は糖質制限がベスト
糖尿病は薬では治りません。
血糖値を下げることはできますが薬を止めればまた上がります、、、
糖尿病を治せるのはあなたの食事療法だけなのです。
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