高齢の糖尿病予備群では糖尿病のリスクは低い
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
平成28年の国民健康・栄養調査によれば、
- 糖尿病有病者 : 約1,000万人
- 糖尿病予備群 : 約1,000万人
と合わせて約2,000万人と推計されています。
糖尿病予備群とは、
健康人より血糖値が高く、
現状の生活習慣を続ければ糖尿病になる確立が高い人をいいます。
しかし、アメリカの研究グループは、
高齢の糖尿病予備群は糖尿病になりにくい
という研究結果を発表しました。
これは喜ばしいことなのでしょうか?
高齢の糖尿病予備群では糖尿病への移行が少ない
糖尿病予備群とは、
健康人より血糖値が高く、
「今の生活習慣を続ければ糖尿病になる確立が高い人」のこをいい、
治療をしないで放置すると10年後には、
- 60%が糖尿病に移行
- 糖尿病に移行する間に心筋梗塞などの心血管イベントが発生
すると言われています。
しかし(、朗報といって良いのか?)、
アマリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、
糖尿病予備群でも高齢者では糖尿病を発症するリスクは必ずしも高いとは言えない
との研究論文を発表しました。
February 8, 2021
Risk of Progression to Diabetes Among Older Adults With Prediabetes
英語では糖尿病予備群のことをPrediabetes(前糖尿病)というのですが、
- 高齢の糖尿病予備群が糖尿病を発症する確率は高くなく、
- 高齢者では糖尿病予備群は糖尿病を発症する高リスク者とは言えない、
というのです。
詳しく見る ⇒ JAMA Internal Medicine
研究グループは、
- 糖尿病でない高齢者 : 3,412人(平均年齢 75.6±5.2歳、女性 60%)
について、
- 5年間追跡調査
したのです。
その結果、
- 156人が糖尿病を発症
したのですが、
糖尿病予備群(HbA1c 5.7~6.4%)だった人では、
- 糖尿病(HbA1c 6.5%以上)に移行 ; 9%
- 糖尿病予備群から改善(HbA1c 5.7%未満):13%
であり、
空腹時血糖異常(100~125mg/dL)だった人では、
- 糖尿病(空腹時血糖値126mg/dL以上)に移行 : 8%
- 空腹時血糖値100mg/dL未満に改善 : 44%
であり、16%は死亡していた。
糖代謝が正常レベル(HbA1cが5.7%未満)だった人では、
- 17%が前糖尿病(HbA1c5.7~6.4%)
- 3%が糖尿病(HbA1c6.5%以上)を発症
だったというのです。
日本でも、糖尿病のリスクが高いとして糖尿病予備群が定義されているのですが、
研究グループは、
糖尿病予備群という定義付けは、
若年や中年成人の糖尿病リスクの評価では有用であるが、
高齢者には当てはまらない
とコメントしています。
さらに、
高齢者では一時的な軽度の高血糖が見られるが、糖尿病に進行するリスクは良く分かっていないとして、
医師は高齢の軽度高血糖群には健康的な生活習慣への改善や維持の指導と喫煙や高血圧、脂質異常症などのリスクに注意を向けるべきだと述べています。
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糖尿病予備群といわれたらならどうする?
平成28年「国民健康・栄養調査」では、
糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる者)と糖尿病予備群(糖尿病の可能性を否定できない者)は合計で約2,000万人おり、
年齢が高いほど、
糖尿病有病者数も糖尿病予備群数も増えているのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病患者数の状況(厚生労働省)
さらに、
糖尿病患者の4人に1人は治療を受けていない
ことがわかっています。
糖尿病予備群での治療者数は不明ですが、
健康診断で「血糖値が高い」との注意を受けても受診する人はごく僅かしかいないと思われます。
上にも書きましたように、
糖尿病予備群が治療をしないで放置すると10年後には、
- 60%が糖尿病に移行
- 糖尿病に移行する間に心筋梗塞などの心血管イベントが発生
すると言われています。
今回のアメリカの研究では、
高齢者の糖尿病予備群では糖尿病のリスクがそれほど高くない
という結果でしたが、
しかし、上に示した国内の糖尿病患者数と糖尿病予備群数は年代が高くなるにつれて増えているのです。
糖尿病予備群での治療とは、
- 食事療法
- 運動療法
なのです。
糖尿病予備群なら生活習慣を見直してみませんか?
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まとめ
糖尿病予備群では、そのままの生活習慣を続ければ10年後には60%が糖尿病になると言われています。
今回のアメリカの研究では、
高齢の糖尿病予備群では糖尿病のリスクは高くない
というものですが、
糖尿病予備群であれば生活習慣の見直しをすることをオススメします。
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