飲酒量は糖尿病のリスクを上げるのか?

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

糖尿病なら飲むお酒に注意が要ります。

糖尿病ならどんなお酒をどの位飲んで良いのか?

はもうご存じだと思います。

醸造酒である、

  • 日本酒
  • ワイン

などには糖質が含まれているため、血糖値を上げるからです。

 

しかし、

酒の飲み過ぎは糖尿病のリスクを上げる

という研究報告もあり、飲酒は糖尿病の原因でもあるようなのです。

 

お酒が大好きで毎晩の晩酌が楽しみな私にとっては大問題です。

 

飲み過ぎは全ての健康にマイナスなのはわかりますが、

どの位の飲酒量は糖尿病のリスクを上げるのでしょうか?

文献を探してみました。

 

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飲酒量と糖尿病のリスクの関係

国立がん研究センターでは、

生活習慣と、がん、糖尿病、脳卒中・心筋梗塞などの疾患との関連についての研究を行っています。

  • 平成2年から、岩手県、秋田県、長野県、沖縄県の4地域における、
  • 40~59歳の男女計4万人について、
  • 10年間の追跡調査をおこない、

 

飲酒と2型糖尿病の発症

についての研究結果を、

世界的な糖尿病の専門誌Diabetic Medicineに発表しています。

 

Alcohol consumption and other risk factors for self-reported diabetes among middle-aged Japanese: a population-based prospective study in the JPHC study cohort I.

 

詳しく見る ⇒ コチラ

 

この研究では、

追跡調査開始時に、

  • 糖尿病ではない
  • 心疾患や慢性肝疾患ではない

という、

  • 28,893人(男性12,913人、女性15,980人)

について、

  • 10年間の追跡調査

を行ったのです。

 

10年間の追跡期間中に、

  • 1,183人(男性703人,女性480人)が糖尿病を発症

したのですが、

 

アルコール摂取量と糖尿病のリスクの関係を調べたところ、

男性において、

1日あたりの純アルコールが23g以上では糖尿病のリスクが有意に上がる

という結果が得られたのです。

 

女性では飲酒者が少なかったため飲酒量と糖尿病のリスクとの関係は見られなかったとしています。

 

飲酒は糖尿病の原因にも書きましたが、

純アルコールXgが含まれるアルコール飲料の容量(ml)を知るためには、

   X÷アルコール飲料の度数(%)×100=容量(ml)

の計算式で算出できますが、

 

純アルコール23gは、

  • ビールロング缶 1本
  • 日本酒 1合

に相当します。

 

毎日、ビールのロング缶を1本飲むと糖尿病のリスクが上がる、、、

ちょっと(かなり)ショックです。

 


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やせ型で飲酒量が多いと糖尿病のリスクが上がる

飲酒量の他の生活習慣と糖尿病のリスクについては、

男女ともに、

  • 年齢
  • BMI
  • 糖尿病の家族歴
  • 高血圧の既往
  • 過去の喫煙(現在20本/日以上の喫煙)

が糖尿病リスクと関連していることが明らかになったということです。

 

  1. 歳をとると糖尿病のリスクが上がる
  2. 肥満では糖尿病のリスクが上がる
  3. 家族に糖尿病がいれば糖尿病のリスクが上がる
  4. 高血圧では糖尿病のリスクが上がる
  5. 飲酒量が多いと糖尿病のリスクが上がる
  6. タバコを吸うと糖尿病のリスクが上がる

ということです。

 

さらに、

飲酒と肥満(BMI)について詳しく分析したところ、

BMI 22以下の男性では、

飲酒量が増えるにつれて糖尿病のリスクが上がる

という結果が得られたと報告しています。

 

BMI22とは標準体重の男性ですが、

BMI22以下の男性では、

  • 飲酒量が日本酒1~2合では、糖尿病リスクが1.9倍に上がる
  • 飲酒量が日本酒2合以上では、糖尿病リスクが2.9倍に上がる

だというのです。

 

 

BMIが22以上の男性では、

飲酒量と糖尿病のリスクには関連は認められなかったそうですが、

BMI22より大きい人では飲酒による糖尿病のリスクが低いわけではないとしています。

 


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飲酒は糖尿病のリスクを上げる

飲酒は糖尿病のリスクを上げる、

という報告とは反対に、

 

デンマーク大学の研究グループは、

アルコールはインスリン抵抗性を下げて血糖コントロールを改善するため、

週3~4回の飲酒は糖尿病のリスクを下げる

との研究論文を発表しています。

 

Drinking a few times a week linked to lower diabetes risk

詳しく見る ⇒ BBCニュース

 

しかし、

国立がん研究センターの研究グループは、

日本人のやせ型の男性は飲酒により糖尿病のリスクが上がることが明らかになり、

やせ型の日本人男性では、インスリンの分泌能力が低いために太れない人も多く、

飲酒によるインスリン感受性の改善というメリットよりも、

飲酒によるインスリン分泌量の低下というデメリットの方が強調されるのではないかと推論しています。

 

長期間の飲酒はインスリンの分泌量を低下させることも報告されています。

さらに、

長期間に亘る飲酒量の増加は、

  1. アルコール性肝炎によるインスリン抵抗性
  2. アルコール性膵炎によるインスリン分泌量減少

などをも引き起こして糖尿病のリスクを上げる結果になるのです。

 

国立がん研究センターの研究グループは、

飲酒と総死亡の関連を調べた研究結果からも、

日本酒1日1合以上の飲酒は控えたほうが良い

とコメントしています。

 

私にとってはトホホ、、、です。

 

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