運動療法というとジョギングやジム通いを思い浮かべる人も多いでしょう。

糖尿病の運動療法に特別な運動は必要ありません軽い運動でも効果があるのです。

#筆者は20年以上にわたって糖尿病治療の研究開発を行っていた 医学博士のけんぞう です。 今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

運動が健康に良いことは分かっているけど、運動する時間がない、、、

運動をすれば血糖値は下がるけどジムに行く時間が無い、、

こんな風に考えていませんか?

運動療法で糖尿病の治療薬が不要になります

糖尿病の運動療法といっても、

  • ジムに行く
  • 毎朝ジョギングをする

なんて、めんどうなことをやる必要はないのです。

  • 歩いたり
  • 階段を昇ったり

こんな日常の中の軽い運動でも充分効果があるのです。

実際に私もフリースタイルリブレで測定し、食後20分の散歩で血糖値が改善することを確認しました。

運動で食後高血糖が下がった【実測結果】

糖尿病には軽い運動でも効果がある

糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です。しかし、運動療法といっても、ジムに行ったり、プールに行ったり、ジョギングをしたりといった、特別のことをする必要はないのです。

最近の研究では、日常生活の中の軽い運動でも健康効果が得られることが分かっています。アメリカのワシントン大学の研究グループは、日常の生活のなかで当たり前のように行っている程度の身体活動(physical activity)が、乳がん、大腸がん、糖尿病、虚血性心疾患(狭心症、急性心筋梗塞など)、脳梗塞などの予防に役立っているということを発表しました。

Physical activity and risk of breast cancer, colon cancer, diabetes, ischemic heart disease, and ischemic stroke events: systematic review and dose-response meta-analysis for the Global Burden of Disease Study 2013.
Conclusions
In conclusion, the findings of this study showed that a higher level of total physical activity is strongly associated with a lower risk of breast cancer, colon cancer, diabetes, ischemic heart disease, and ischemic stroke, with most health gains occurring at a total activity level of 3,000-4,000 MET minutes/week. Results suggest that total physical activity needs to be several times higher than the recommended minimum level of 600 MET minutes/week for larger reductions in the risk of these diseases.

くわしく読む ⇒ 原著論文(British Medical Journal)

研究グループは、1980年以降に発表された174件の研究報告を解析し、通勤、家事、仕事などに伴う活動量(身体活動量)と、疾患のリスクの関係を調べたのです。その結果、以下のことが明らかになりました。

  1. 通勤や家事などの日常生活の中の身体活動量でも疾患リスクは減少する
  2. さらに運動量を増やしても疾患リスクの減少は多くはない

糖尿病や食後高血糖の改善では「続けられること」が重要です。

運動が血糖値を下げる仕組みについては 運動は食後高血糖を下げる で詳しく解説しています。

対象者を運動量から、不活発(1週間当たりの総身体活動量が600MET分/週未満)と非常に活発(8,000MET分/週以上)に分類して各疾患の罹患率を調べた結果、非常に活発な人は不活発な人に比べて、糖尿病リスクは28%低いということが分かったのです。

最も健康に対する効果が大きかった身体活動量は3,000~4,000MET分/週であり、それ以上に身体活動量を増やしても疾患のリスク減少巾は小さくなったということです。

軽い運動で糖尿病のリスクが減少

軽い運動は糖尿病だけでなくがんや心臓病にも効果があります

4,000MET分/週まで直線的に減少しているのがお分かりだと思います。また、600MET分/週程度の身体活動量の人でも、全く体を動かさないと自己申告してた人に比べて2%リスクが低く、軽い運動でも効果が見られるのです。

健康維持には軽い運動でも効果がある

METとは、Metabolic Equivalentの略で、運動強度を示す単位です。イスなどに座って新聞を読んだりテレビを見たりしている時を1METとし、さまざまな運動量をそれと比較して数字化しています。

  • 買い物に出掛けたり犬の散歩などは、3METs
  • 庭掃除や洗車も3METs
  • 階段の上り下りは6METs

程度であり、水泳は6METs、ジョギングは7METsです。

買い物や犬の散歩などの軽い運動でも糖尿病の予防に効果があります

厚生労働省による、「運動所要量・運動指針」では、健康を維持するための目標となる基準値として、

  • 身体活動量 : 週23METs・時
  • 運動量 : 週4METs・時

としています。具体的には、

  • 強度が3METs以上の運動を1日当たり約60分を毎日おこなう
  • 自転車や早歩きを週に60分おこなう

ということになります。日常の活動性を高めれば、運動は週に2回程度でも効果があるのでが、お薦めは「下半身の運動」です。私たちの筋肉の70%は下半身にあるのです。

ですから、「バーベル上げ」や「腕立て伏せ」のような運動よりも、「軽いジョギング」や「早歩き」などでも充分に効果が期待できるのです

まとめ

糖尿病の予防や糖尿病治療の運動療法だからといって身構える必要はないのです。

繰り返しになりますが、わざわざジムに行ったり、週末にマラソンや水泳などをしなくても、

  • 通勤時にはできるだけ歩く
  • 駅や会社ではできるだけ階段を使う
  • 買い物には自動車はなく自転車で行く

など、こんな軽い運動でも糖尿病を始め多くの病気の予防に効果があるのです。

座っている時間が長いと糖尿病のリスクが高いというお話しをしましたが、極端な話、立っているだけでも糖尿病のリスクが低下するのです。

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最終更新日:2026年月  初掲載日:2017年3月