製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
大豆はタンパク質や食物繊維、イソフラボンなどを含み、糖尿病との関係について多くの研究が行われています。
国立がん研究センターは、
肥満や閉経後の女性では大豆製品の摂取量が多いほど糖尿病発症リスクが低い
との研究成果を発表しています。
この記事では、大豆と女性の糖尿病リスクについて紹介します。
大豆と糖尿病の研究は増えている
大豆は「畑の肉」と呼ばれ、
・タンパク質
・不飽和脂肪酸
・食物繊維
など健康に良い成分を多く含む食品ですが、
大豆と糖尿病との関係については多くの研究がなされていますが、
大豆の摂取と糖尿病や心血管疾患との関係を調べたシステマティックレビュー・メタ解析では、
大豆の摂取量が多い人では少ない人に比べて糖尿病のリスクが17%低い
という結果が報告されています。
日本人約6万人を5年間追跡した研究
国立がん研究センターの研究グループも大豆食品の摂取と糖尿病発症との関連を調べています。
健康な40~69歳の男女約6万人を追跡調査したのですが、
5年間の追跡期間中に、
- 男性:634人
- 女性:480人
が糖尿病を発症したのです。
肥満女性では大豆を多く摂ると糖尿病のリスクが低い
研究グループは女性をBMI値によって、
・非肥満:BMI 25未満
・肥満 :BMI 25以上
に分けて解析おこなったのですが、
「肥満女性で大豆の摂取が多い群」で糖尿病の発症リスクが低い
という結果が得られたのです。
閉経後女性でも大豆をたくさん摂ると糖尿病のリスクが低い
さらに、
・閉経前の女性
・閉経後の女性
に分けて調べました。
その結果、
閉経後女性では大豆の摂取が多いと糖尿病のリスクが低い
という結果が得られたのです。
これらの結果をまとめると、
| 大豆やイソフラボンの摂取量と糖尿病のリスクとの関係 | |
|---|---|
| 対象 | 結果 |
| 男性 | 関連なし |
| 非肥満女性 | 関連なし |
| 肥満女性 | 大豆の摂取が多い群で糖尿病のリスク低下 |
| 閉経前女性 | 関連なし |
| 閉経後女性 | 大豆の摂取が多い群で糖尿病のリスク低下 |
ということがわかったのです。
肥満や閉経後の女性で糖尿病のリスクが下がった理由
研究グループは、その理由は確定できないとしながらも、
可能性として「大豆に含まれるイソフラボン」を上げています。
イソフラボンは「植物性エストロゲン」とも呼ばれ、女性ホルモンのエストロゲンと似た構造や作用をもっています。
エストロゲンは生殖機能のほかにも、糖代謝、脂肪組織、脂質代謝などにも関係しているのです。
閉経後にはエストロゲンが急激に低下するため、イソフラボンの効果が表れやすかった可能性があるとしています。
また、肥満ではインスリン抵抗性によりインスリンの効果が減少するのですが、イソフラボンはインスリン抵抗性を改善したのではないかと推察しています。
まとめ
大豆製品を多く摂っている肥満女性や閉経後女性では糖尿病発症リスクが低いという結果が得られましたが、
日本人は古来から、大豆を、
・豆腐
・味噌
・醤油
・納豆
などとして食べてきました。
大豆は栄養素に富むだけでなく、
食物繊維が多くGI値も低いことから大豆は糖尿病に良い食べ物とされてきましたが、腹持ちが良いことから「大豆ダイエット」とも人気があり、
食後高血糖を抑えることから「大豆ファースト」として血糖管理に利用している人も多いようです。








