製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
「マンジャロとウゴービ、結局どっちが痩せるの?」
どちらも体重を減少させる効果が注目されている注射薬ですが、実際に比較すると、どれほど違うのでしょうか。
両者を直接比較した論文が発表されました。
今回は、実際にマンジャロとウゴービ体重が何kg減少したのか、体重減少を達成した人にはどのような違いがあったのか、詳しくご紹介します。
マンジャロとウゴービとはどんな薬なのか?
痩身効果があるとして話題になっている2つの薬について簡単に説明しましょう。
・マンジャロ(成分名はチルゼパチド) :糖尿病治療薬(注射薬)
・ウゴービ (成分名はセマグルチド) :肥満症治療薬(注射薬)
#以下このサイトでは、皆様が分かりやすいようにと商品名で説明いいたします。
SNSなどでも大きな話題になっているマンジャロは実は糖尿病糖尿病の治療薬なのです。
減量効果があるとして使われていますが、適応外使用の自由診療で使用されているようですが、
厚生労働省は、適応外使用による健康被害のリスク、副作用被害救済制度の対象外となる可能性、および個人間売買の危険性を指摘し、適正使用を呼びかけているのです。
👉 糖尿病学会や医師会もGLP-1ダイエットに警告
一方、
ウゴービは肥満症治療薬として承認されている薬で、食事療法や運動療法で十分な効果が得られない肥満症に適用されますが、
・BMIが35以上
・BMIが27以上で高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などの肥満に関連する健康障害を2つ以上有する
・適切な食事療法・運動療法を6か月以上行っても十分な効果が得られない
・一定期間、管理栄養士による定期的な栄養指導を受けている
・専門医の常勤や栄養指導体制が整った、指定の施設基準を満たす医療機関である
ことなど、患者にも医療機関にも厳しい制限が設けられています。
👉GLP-1痩せ薬は保険適用される?マンジャロ・ウゴービ・ゼップバウンドを解説
#適応外使用:国から承認された医薬品や医療機器を、承認された「効能・効果」や「用法・用量」の範囲外で使用すること
#自由診療 :公的な医療保険が適用されず、費用を全額(10割)自己負担する診療のこと
マンジャロとウゴービで体重は何kg減少したのか?
今回紹介する研究では、マンジャロとウゴービの体重減少を直接比較した、10件の研究(対象者の合計41,381人)のデータを分析したのです。
その結果、
10件の試験では、マンジャロとウゴービでの体重減少量に差が認められ、
- マンジャロ: 体重減少量は 約6.6~22.9kg
- ウゴービ : 体重減少量は 約3.1~18.1kg
ということで、
マンジャロはウゴービより、平均4.43kg多く体重を減少させたことが明らかになりました。
|
比較項目 |
原著の結果 |
|---|---|
|
チルゼパチドの体重減少量 |
6.6~22.9kg |
|
セマグルチドの体重減少量 |
3.1~18.1kg |
|
2剤を比較した平均差 |
4.43kg |
8件の研究を統合した結果、チルゼパチドの方がセマグルチドよりも、体重が平均4.43kg多く減少しました。
この差は統計学的に有意でした(95%信頼区間:3.30~5.56kg、p<0.00001)
研究の主要評価項目は、治療開始前の体重から何%減少したかを示す「体重減少率」です。
10件の研究を統合した結果、チルゼパチドの方が体重減少率も平均4.28ポイント大きいという結果でした。
95%信頼区間は3.28~5.28ポイントで、統計学的に有意な差が認められました。
体重の10%、15%、20%以上減少した人にも違いがあった
体重が何kg減少したかだけでなく、「もとの体重からどれだけ減少したか」も重要な指標です。
7件の研究では、一定以上の体重減少を達成した人の割合も比較されました。
| 体重減少の達成基準 | チルゼパチドの結果 |
|---|---|
| 5%以上 | セマグルチドとの間に統計学的に有意な差なし |
| 10%以上 | 達成する割合が1.43倍 |
| 15%以上 | 達成する割合が1.85倍 |
| 20%以上 | 達成する割合が2.03倍 |
10%以上、15%以上、20%以上の体重減少を達成した人の割合は、いずれもチルゼパチドの方が高いという結果でした。
今回の研究では、体重減少率もマンジャロチルゼパチドの方が平均4.28ポイント大きいという結果でした。
さらに、もとの体重から10%以上、15%以上、20%以上減少した人の割合を比較すると、いずれもチルゼパチドの方が高い結果でした。
一方、5%以上の体重減少を達成した人の割合には、統計学的に明確な差は認められませんでした。
つまり、今回の研究では、特に大幅な体重減少を達成した人の割合に違いが見られたのです。
糖尿病患者だけを比較すると、どうだった?
2型糖尿病患者に限定した分析でも、チルゼパチドの方が体重減少量で上回りました。
体重減少量の平均差は4.00kgで、95%信頼区間は3.27~4.73kgでした。
体重減少率についても、チルゼパチドの方が平均4.24ポイント大きいという結果でした。
また、HbA1cの変化を報告した5件の研究を統合すると、チルゼパチドの方がHbA1cが平均0.29ポイント多く低下しました。
この研究には、糖尿病のある人とない人が含まれています。
そこで、2型糖尿病患者に限定した分析結果も確認しておきましょう。
2型糖尿病患者だけを比較した場合も、マンジャロチルゼパチドの方が体重が平均約4.0kg多く減少しました。
また、血糖コントロールの指標であるHbA1cについても、マンジャロチルゼパチドの方が平均0.29ポイント多く低下しました。
体重だけでなく、血糖コントロールにも差が認められたという結果です。
安全性
「副作用による治療中止に有意差はなかった」「重篤な有害事象はチルゼパチドの方で多かった」という結果は、原著論文の第3.3.4節に実際に記載されていました。
安全性を報告した3件の研究の統合結果は、次のとおりです。
|
評価項目 |
チルゼパチド |
セマグルチド |
比較結果 |
|---|---|---|---|
|
有害事象による治療中止 |
7.2% |
5.5% |
統計学的に有意な差なし |
|
重篤な有害事象 |
5.7% |
2.9% |
チルゼパチドの方が有意に高い |
重篤な有害事象のリスク比は1.83、p=0.007でした。
まとめ:最新研究で分かった「4.4kgの差」
2026年に発表された研究では、マンジャロの成分であるチルゼパチドと、ウゴービの成分であるセマグルチドを直接比較した結果、
マンジャロチルゼパチドの方が体重が平均4.43kg多く減少し、体重の10%以上、15%以上、20%以上の減少を達成した人の割合も、チルゼパチドの方が高い結果でした。
ただし、体重減少効果だけで薬の適否は決まりません。副作用や治療目的も含めて判断する必要があります。
糖尿病の治療や体重管理では、食事や運動など、日々の生活習慣を見直すことも大切です。
当サイトでは、食事を取る時間を一定の範囲に収める「8時間ダイエット」についても紹介していますが、
糖尿病治療中の人が長時間の断食を行うと、使用中の薬によっては低血糖などの危険があるため、自己判断では始めず、まずは主治医に相談してください。
参考文献
Paccola GP, et al. Comparative Efficacy of Tirzepatide Versus Semaglutide for Weight Loss in Adults With Overweight or Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis of Head-to-Head Studies. Clinical Obesity. 2026.
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製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。
はじめに
「マンジャロとウゴービ、結局どっちが痩せるの?」
痩身に興味を持っている人には大きな疑問ではないでしょうか。
どちらも大きな減量効果が話題になっている注射薬ですが、実際に比べてみると、どれほど違うのでしょうか。
両者を直接比較した最新の研究では、
体重の減り方だけでなく、大幅な減量に成功した人の割合についても、興味深い結果が示されています。
今回は、その研究成績を詳しく紹介します。
マンジャロとウゴービ、最新研究では平均4.43kgの差!
今回の研究は、マンジャロ(成分名:チルゼパチド)とウーゴーボ(成分名:セマグルチド)を直接比較した10件の研究、計41,381人のデータをまとめて分析したものです。
過体重または肥満の成人について24週間以上追跡調査した研究が選ばれています。
その結果、チルゼパチドのほうが、セマグルチドよりも大きな体重減少と関連していました。
- 体重減少量の差:平均4.43kg
- 体重減少率の差:平均4.28ポイント
つまり、チルゼパチドを使用したグループでは、セマグルチドを使用したグループより、平均で約4.4kg多く体重が減っていたのです。
ここでいう「4.43kg」は、マンジャロを使えば4.43kg痩せるという意味ではありません。2つの薬を比較したときの、体重減少量の平均的な差です。
実際には何kg痩せた?研究ごとの減量幅を比較
では、それぞれの薬を使った人は、実際にどれくらい痩せていたのでしょうか。
今回のレビューに含まれた研究では、体重減少量は次の範囲でした。
- チルゼパチド:平均6.6~22.9kg減
- セマグルチド:平均3.1~18.1kg減
体重減少率で見ると、次の結果です。
- チルゼパチド:平均5.3~22.1%減
- セマグルチド:平均2.7~17.1%減
どちらも大きな減量が報告されていますが、研究によって結果にはかなり幅があります。
使用量、使用期間、対象者の体重や糖尿病の有無などが異なるため、この数字をそのまま自分の減量予想に当てはめることはできません。
なお、今回比較されたのは薬の「成分」です。チルゼパチドは糖尿病治療薬のマンジャロと肥満症治療薬のゼップバウンド、セマグルチドは糖尿病治療薬のオゼンピックと肥満症治療薬のウゴービなどに使われています。
したがって、今回の4.43kgという差は、日本で販売されているマンジャロとウゴービを、特定の用量で一対一に比較した数字ではありません。
「体重の20%以上減った人」には、どれほど差があった?
今回の研究では、何kg痩せたかだけでなく、「体重の何%以上を減らせた人がどれくらいいたか」も比較しています。
その結果、チルゼパチドのグループでは、セマグルチドのグループと比べて、次の減量目標に到達する割合が高くなっていました。
- 体重の10%以上減:到達割合が約1.43倍
- 体重の15%以上減:到達割合が約1.85倍
- 体重の20%以上減:到達割合が約2.03倍
特に注目したいのが、体重の20%以上という大幅な減量です。
例えば体重100kgの人なら、20%減は20kgの減量に相当します。今回の分析では、その水準に到達する割合が、チルゼパチドのグループで約2倍でした。
一方、体重の5%以上減という目標では、両グループの間に統計的に有意な差は認められませんでした。
「少し痩せる」だけでなく、「大幅に痩せる」という点でも、違いが報告されたわけです。
糖尿病の人を対象にした研究では、どうだった?
今回のレビューには、糖尿病の人を対象とした研究も含まれています。
糖尿病患者だけを対象とした研究をまとめた解析では、チルゼパチドのほうが、セマグルチドより平均4.00kg多く体重が減っていました。
また、HbA1cの低下幅も、チルゼパチドのほうが平均0.29ポイント大きいという結果でした。
糖尿病の人を対象とした研究でも、体重減少量に差が見られたことになります。
ただし、今回の記事で紹介した減量幅のすべてが、糖尿病患者だけの結果というわけではありません。糖尿病のない人を含む研究も統合されています。
なぜ体重の減り方に違いが出るの?
マンジャロの成分であるチルゼパチドと、ウゴービの成分であるセマグルチドは、働きかけるホルモンの仕組みに違いがあります。
セマグルチドは、GLP-1というホルモンの受容体に働きかけます。
一方、チルゼパチドはGLP-1に加え、GIPという別のホルモンの受容体にも働きかけます。
どちらも食欲や満腹感などに関係しますが、チルゼパチドは2種類の受容体に作用する点が特徴です。
研究者たちは、こうした作用の違いが、体重減少量の差に関係している可能性を挙げています。
ただし、今回のレビューは減量結果を比較したものであり、作用の違いだけで4.43kgの差をすべて説明できたわけではありません。
一方、薬を使わずに痩せた人の方法が気になる方には、むめいさんのダイエットを紹介した記事もあります。
「よく痩せる薬」だからこそ、安易な使用には注意!
今回の研究では、チルゼパチドのほうが大きな体重減少と関連していました。しかし、「より多く痩せた」という結果だけで、使用する薬を選べるわけではありません。
マンジャロは日本では2型糖尿病の治療薬です。同じ成分を使ったゼップバウンドや、セマグルチドを使ったウゴービは、定められた条件に該当する肥満症の治療に用いられます。
今回のレビューでは、チルゼパチドのグループで重篤な有害事象のリスクが高いという結果も報告されました。ただし、含まれた研究には違いがあり、個々の人の安全性をこの比較だけで判断することはできません。
また、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状が起こることがあります。自己判断で使用したり、SNSなどで入手したりすることは避け、治療が必要な場合は医師に相談してください。
マンジャロの使用をめぐる問題については、次の報道も参考になります。
まとめ:最新研究で分かった「4.4kgの差」
2026年の最新レビューでは、チルゼパチドとセマグルチドを直接比較した10研究、計41,381人のデータが分析されました。
結果は、チルゼパチドのほうが平均4.43kg多く体重が減少。体重減少率でも平均4.28ポイントの差が報告されました。
さらに、体重の20%以上という大幅な減量に到達する割合は、チルゼパチドのグループで約2倍でした。
ただし、これは研究全体をまとめた平均的な結果です。薬の用量や使用期間、体質によって、実際の減量幅は異なります。
そして、痩せる方法は薬だけではありません。
食事をとる時間を1日8時間以内に収める「8時間ダイエット(16時間断食)」という方法もあります。薬を使わないダイエットに興味がある方は、こちらも参考にしてください。
なお、糖尿病の治療中、とくにインスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使っている人は、食事を抜くことで低血糖を起こす場合があります。食事時間を大きく変える前に主治医に相談してください。
参考文献
Paccola GP, et al. Comparative Efficacy of Tirzepatide Versus Semaglutide for Weight Loss in Adults With Overweight or Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis of Head-to-Head Studies. Clinical Obesity. 2026.
▶ 原著論文・全文







