超加工食品は糖尿病のリスクを上げる

製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。

はじめに

「超加工食品」という言葉を聞く機会が増えてきました。

超加工食品は、私たちの身近なところに数多くあります。最近では、超加工食品と肥満や糖尿病などとの関係について、さまざまな研究が行われています。

このサイトでも先日、植物由来の超加工食品と肥満との関係について紹介しました。

今回は、超加工食品と糖尿病の関係について、これまでに分かっていることと、2026年10月に発表された最新研究を紹介します。

超加工食品とはどんな食品?

超加工食品(UPF:Ultra-Processed Food)とは、工業的に作られた、加工度の非常に高い食品のことです。

食品を加工の程度によって分類する「NOVA分類」では、食品を4つのグループに分けています。超加工食品は、その中で最も加工度の高い食品です。

抽出・精製された原材料に、着色料、香料、乳化剤、保存料などを加えて作られた食品が含まれます。

安く、便利で、おいしく、保存しやすいという特徴があり、現在では私たちの食生活に深く入り込んでいます。

以前の記事では、植物由来の食品であっても、超加工食品を多く食べる人ではBMIや腹囲が増加するリスクが高くなるという研究を紹介しています。

👉 植物由来の超加工食品と肥満についてはこちら

超加工食品を多く食べる人では糖尿病のリスクも高い

超加工食品と2型糖尿病との関係は、これまでに世界各国で調べられてきました。

2025年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、超加工食品の摂取量が多いほど、糖尿病を発症するリスクが高くなることが報告されています。

超加工食品の摂取量が10%増えるごとに、糖尿病を発症するリスクは13%高くなっていました。

また、糖尿病の人を対象とした研究では、超加工食品の摂取量が多いことと、微小血管疾患、心血管疾患、慢性腎臓病、死亡などとの関連も報告されています。

超加工食品と糖尿病については、以前にも別の研究を紹介しています。

👉 超加工食品の食べ過ぎは糖尿病のリスクを上げる

では、超加工食品を食べたとき、私たちの体の中では何が起きているのでしょうか。

2026年10月に発表された研究では、実際に超加工食品と非超加工食品を食べてもらい、その後の体の反応を詳しく調べています。

超加工食品を食べるとインスリンの反応が大きくなる

この研究には健康な成人57人が参加し、このうち32人が食後の代謝を調べる試験を完了しました。

参加者は別々の日に、超加工食品と非超加工食品の食事をそれぞれ食べました。

この研究の大きな特徴は、2つの食事の栄養条件をできるだけ同じにして比較したことです。

どちらも約300kcalで、食事の重量、カロリー、エネルギー密度、炭水化物、脂質、たんぱく質、利用可能炭水化物、GI・GL、食物繊維、ナトリウム、水分などがそろえられ、その差は1.6%以内でした。

食後3時間にわたって血糖値を測定したところ、超加工食品と非超加工食品の間で、血糖値の全体的な反応には差がありませんでした。

ところが、インスリンの反応には違いがありました。

食後3時間のインスリン分泌量は、超加工食品を食べたときの方が多くなりました。

調べた項目 結果
食後3時間の血糖値の反応 差なし
食後3時間のインスリン分泌量 超加工食品で多い

時間ごとにみても、食後40~120分では、超加工食品を食べたときの方がインスリン値が高くなっていました。

インスリンは膵臓から分泌され、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませることで、血糖値を下げる働きをするホルモンです。

今回の研究では、血糖値の全体的な反応には差がなかったにもかかわらず、超加工食品を食べたときには、より大きなインスリン反応が起きていました。

研究者らは、食品を加工することで生じる物理的な構造の変化が、栄養素の利用され方や消化の速さ、その後の代謝反応に影響している可能性について考察しています。

また著者らは、今回みられた血糖値とインスリン反応の違いについて、相対的なインスリン感受性の低下と一致する結果だと考察しています。

👉 糖尿病の食事について詳しく見る

まとめ

超加工食品は、特別な食品ではなく、私たちが日常的に利用しているさまざまな食品の中にあります。

超加工食品かどうかは、カロリーや糖質の数字だけを見ても分かりません。食品を購入するときには、栄養成分表示だけでなく、原材料表示を見ることも、超加工食品を見分ける一つの方法です。

家庭ではあまり使わない原材料や添加物が数多く並んでいる食品ばかりに偏らず、肉、魚、卵、野菜、果物、豆類など、素材に近い食品を毎日の食事のベースにすることができます。

超加工食品をすべて避けるのではなく、毎日の食事が超加工食品に偏っていないかを見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。

👉 【体重と血糖値が気になる人へ】肥満と糖尿病の基礎知識

参考文献

Hutelin Z, et al. Metabolic and neural responses to ultraprocessed foods: a randomized, controlled, crossover study. Nature Metabolism. 2026.

Association between higher consumption of ultra-processed foods and risk of diabetes and its complications: A systematic review & updated meta-analysis. 2025.