糖尿病診療ガイドラインの改定で糖尿病の食事療法が変わるのか?

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

Amazonで本を検索していたら、

日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン 2019」が見つかりました。

出たのか!

見落としていた!!

 

 

と焦ったのですが、「購入予約」であり未だ出版されていないようです。

 

糖尿病診療ガイドライン 」は日本における日本糖尿病学会が出版する糖尿病診療の指針を示したガイドラインで、

2019年には3年振りに改訂される予定でしたが、

5月の糖尿病学会では発行が突如に延期となってしまったのです。

仙台の学会会場では「発行は夏頃に延期」とも聞きましたが、学会のホームページ を見ても未だ通知はありません。

 

 

 

さらに、

日本独特の糖尿病の食事療法におけるカロリー制限も見直されるのではないかと思われるのですが、

日本糖尿病学会では何がもめているのでしょう?

 

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糖尿病診療ガイド ラインの改訂が延期されている

2018年11月には日本糖尿病学会の主催で、

食事療法に関するシンポジウム

が5年ぶりに開催され、

 

「糖尿病診療ガイドライン2019」策定に関して、

糖尿病診療ガイドライン策定委員会委員長である羽田 勝計氏や荒木 栄一氏らを中心に、

「糖尿病における食事療法の現状と課題」が話し合われたのです。

 

そして、2019年5月の日本糖尿病学会では3年ぶりにの「糖尿病診療ガイドライン」が改訂されると思われたのですが、

突然に延期されてしまっているのです。

 

糖尿病の食事療法においては、

  • 糖質制限の流行
  • 高齢者の低栄養によるフレイル・サルコペニア

が大きな問題となっており、

一刻も早く糖尿病いおける食事療法の見直しが迫られているというのにどうしたことなのでしょうか?。

 


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診療ガイドラインの改定ではカロリー制限が見直される?

 

 

糖尿病診療ガイドラインにおける食事療法では、

2型糖尿病の食事療法の目標は、総エネルギ摂取量の適正化を図ることによって全身における良好な代謝状態を維持することにある

として「カロリー制限」が推奨されているのです。

 

 

そして、

BMI22を目標とした標準体重を求めてカロリー摂取量を算出するのです。

 

具体的には、

総カロリー摂取量 = 標準体重 x 身体活動量

として、

 

身体活動量(kcal/kg)の区分は、

  • 軽い労作(デスクワークが被う職業など): 25~30
  • 普通の労作(立ち仕事が多い職業など) : 30~35 
  • 重い労作(力仕事が多い職業など)   : 35~ 

 

 

一方、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」の2020年版の改定案を確定しており、全国で医療関係者への内容説明や研修会がおこなわれています。

 

詳しく見る ⇒ 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書

 

そこで、

  • 40歳男性
  • 身長 170cm

をモデルとして、

  • 厚生労働省 :「日本人の食事摂取基準(2020年版)案」
  • 日本糖尿病学会 : 糖尿病診療ガイドライン

におけるカロリー摂取量を比較してみると、

 

身体活動量  厚生労働省  日本糖尿病学会
低い 2,300kcal 1,589~1,907kcal
普通 2,700kcal 1,907~2,225kcal
重い 3,050kcal 2,225kcal~

 

となり、

日本糖尿病学会の推奨する摂取カロリーは厚生労働省の推奨基準よりも極めて低いのです。

 

具体的には、

日本糖尿病学会の「重い労作者」での推奨摂取カロリーは2,225kcalで、

厚生労働省の「低い労作者」での推奨摂取カロリーである2,300kcalよりも低いのです。

 

厚生労働省では、

糖尿病患者と正常者でお総エネルギー消費量には有意な差はなく、

糖尿病で高血糖者のエネルギー必要量は、健康人とほぼ同じと考えて良い

との見解を示しているのです。

 

血糖値が高い人や糖尿病患者での教育入院では、

カロリー制限を厳しく指導されるのですが、どうやらこれは変わるようです。

 


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診療ガイドラインではカロリー制限から糖質制限に

糖尿病診療ガイドラインの改定でのもう一つの焦点は「糖質制限」です。

 

現在の糖尿病診療ガイドラインでは、

炭水化物の摂取量は摂取カロリー量の50~60%の範囲

とし、炭水化物の推奨摂取量は多めなのです。

 

米国の糖尿病学会でも1971年の食事療法勧告では「カロリー制限」を推奨したのですが、

カロリー制限食では予測した減量効果が得られなかったとして、

2013年には食事療法に関するガイドラインを改訂し、

糖質制限食を含めた複数の食事療法に変更し、

 

  1. 糖質制限食
  2. 地中海食
  3. ベジタリアン食
  4. 低脂質食
  5. DASH(Dietary Approache to Stop Hypertension)食
    米国国立衛生研究所により開発された高血圧予防・改善の食事療法

を糖尿病の食事療法として推奨しているのです。

 

日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドラインでは、

  • 過体重や肥満の患者では摂取カロリーの調整で減量できるので食事や運動を含めた生活スタイル全般を見直す

とし、

  • 糖尿病患者に理想的な炭水化物の摂取量に関しては確証がない

ているのですが、何らかの改定がなされるものと思われます。

 

まとめ

日本糖尿病学会は3年振りに糖尿病診療ガイドラインの改訂作業をおこなっており、

5月には発表されるものと思われましたが未だ動きはありません。

 

現在の糖尿病診療ガイドラインにおける糖尿病の食事療法では、

カロリー制限を推奨していますが何らかの変更がおこなわれるものと思われます。

 

さらに米国などでは糖質制限食も推奨され、糖尿病の食事療法は糖質制限がベストとの考えも多いことから、糖質制限においてもなんらかの見直しがおこなわれると思います。

 

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