妊娠糖尿病でも母乳授乳が糖尿病のリスクを下げる

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

妊娠糖尿病をご存じですか?

妊娠糖尿病は妊娠中に初めて見つけられた糖代謝異常で、

妊娠中に明らかに糖尿病だと診断された人や、

糖尿病合併妊娠という妊娠前から糖尿病だった人は、妊娠糖尿病ではありません

 

妊娠糖尿病になると、

  • 母体では : 妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産、網膜症、腎症
  • 胎児では : 流産、形態異常、巨大児、心肥大、黄疸、胎児死亡

など、母体も胎児も大きな影響を受けるのです。

妊娠糖尿病では胎児への影響が心配なのです。

 

妊娠糖尿病は、全妊婦の12%が該当するといわれています。

妊婦の8人に1人が妊娠糖尿病といわれ、診断されていない妊娠糖尿病患者、隠れ妊娠糖尿病を含めるともっと多いというのです。

 

妊娠糖尿病になると将来的に糖尿病になってしまうリスクは、母親でも赤ちゃんでも非常に高いのですが、

妊娠糖尿病でも母乳授乳をすれば糖尿病のリスクが低下する

という論文が発表されました。

 

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どうして妊娠糖尿病になるのか?

全妊婦の12%が妊娠糖尿病とはかなりの割合です、

さらに、

最近は妊娠糖尿病が増えているのです。

 

一般の2型糖尿病の原因は、

食べ過ぎ

運動不足

がおおきな原因だといわれています。

 

妊娠糖尿病でも食べ過ぎや運動不足も影響はするのですが、

妊娠糖尿病の場合は通常の糖尿病とは少し異なるのです。

 

胎児の成長に伴い、エネルギー消費量が増えるのですが、

それと共に胎盤からインスリンの作用を抑える抗インスリンホルモンや、インスリンを破壊する酵素などが産生されるため、母体ではインスリンの効果が出にくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなるのです。

 

そして、

妊娠前からインスリン分泌量が少ない人やインスリン抵抗性が高い人では、血糖値が上昇し、妊娠糖尿病になりやすいのです。

 


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妊娠糖尿病になると糖尿病になりやすい

妊娠糖尿病になると将来的に糖尿病になる可能性は高まるといわれています。

さらに、

妊娠糖尿病になると夫婦とも糖尿病になるリスクが高まるといわれています。

  • 妊娠糖尿病になった女性はその後の糖尿病リスクが14.7倍
  • 妊娠糖尿病と妊娠高血圧を併発するとその後の糖尿病のリスクが36.9倍

さらに、

  • 妊娠糖尿病の女性の夫の糖尿病のリスクは1.2~1.8倍

と、

妊娠中に糖尿病になると、将来的に糖尿病になってしまう可能性が非常に高いのです。

 

妊娠糖尿病の治療は、

妊娠中では基本的に、

  1. 食事療法
  2. 運動療法

で改善を図ります。

基本的には通常の2型糖尿病の食事療法と同じで、

白米やパンなどの炭水化物の食べ過ぎを控えたり、玄米や全粒粉パンなどに変えることが有効です。

   詳しく見る ⇒ 食後高血糖を抑えるにはGI値の高い食べ物

 

また、食事回数を5~6回に増やすことも有効ですので、

主治医の指示にしたがってください。

 

運動療法も流産の危険やお腹が大きいことなどから激しい運動は避けるべきで、

ウォーキングや散歩、ストレッチなどに留めるのが無難です。

 


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母乳授乳は糖尿病のリスクを下げる

妊娠糖尿病は、

  • 母体への影響
  • 胎児への影響

があるだけでなく、

将来的に糖尿病になる可能性が高い

のですが、

それは、

妊婦だけでなく

胎児も将来的に糖尿病になるリスクが高いのです。

 

妊娠糖尿病を防ぐには、

  1. 食事療法
  2. 運動療法

が基本ですが、

 

以前にご紹介した、「妊娠糖尿病は食事療法より授乳」という記事を憶えておられるでしょうか?

最近は、母乳の授乳をする女性が少なくなっているのですが、

母乳授乳は妊娠糖尿病を予防する

最も良い方法なのです。

 

哺乳授乳が生来の糖尿病を予防する

妊娠糖尿病になると、

妊婦だけでなく胎児も将来的に糖尿病になるリスクが高い

のですが、

 

中国の研究グループは、

 

母乳授乳が妊娠糖尿病女性の2型糖尿病リスクを低減する

Lactation Lowers Risk of T2DM After Gestational Diabetes

Compared to no lactation, long-term lactation of more than 1 to 3 months not linked to T2DM risk

 

という論文を発表しました。

 

   詳しく読む ⇒ 原著論文

 

母乳の授乳は糖尿病のリスクを低減する

 

この研究は中国の浙江大学の研究グループがおこなったもので、

妊娠糖尿病になった女性を対象に、

母乳授乳の2型糖尿病リスクへの影響

についての研究論文を網羅的に解析したのです。

 

その結果、

母乳授乳をおこなった女性では産後の糖尿病のリスクが有意に低下した

ということが判明したのです。

 

さらに、

産後1~3ヵ月以上の母乳授乳は糖尿病リスク低下とは関連しない

ことも明らかになったというのです。

 

すなわち、

産後1~3カ月以内の短期間の母乳授乳が糖尿病のリスクの低下と関連している

というのです。

 

研究グループは、

母乳授乳の期間と糖尿病リスクの低下の関連についてはさらに調査する必要があるが、

妊娠糖尿病の女性では母乳授乳をおこなうと糖尿病のリスクが低減する可能性が明らかになったとしています。

 

最近はスタイルが崩れるなどの理由で母乳の授乳をする女性が減っているのですが、

母乳は赤ちゃんの免疫力を高めるなど栄養素以外にも大きな意味があるのです。

さらに今日ご紹介したように、

母乳授乳は糖尿病になるリスクを低減するのです。

それも貴女だけでなく赤ちゃんについても同じなのです。

母乳の授乳は3ヵ月という短期間でも有効だというのです。

 

貴女も母乳授乳をしてみたらいかがでしょうか?

 

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