清涼飲料水は女性の糖尿病のリスクを上げる
最近の暑さ、熱中症や脱水症にならないために水分の補給が大事です。
しかし、水分補給が大事だといって、清涼飲料水も飲み過ぎていませんか?
清涼飲料水は糖尿病のリスクを高めるのです。
特に、やや太り気味の30歳代、40歳代の女性は要注意です。
清涼飲料水は糖尿病のリスクを上げる
国立がん研究センターは、清涼飲料水と糖尿病発症の関係について大規模な疫学調査をおこなっています。
この調査は、1990年から10年間に亘り、岩手、秋田、長野、沖縄、東京に住む、40~59歳の男女約3万人を対象にした大がかりな調査です。
調査は、アンケート方式で、
- 食習慣を含む生活習慣
- 2型糖尿病の発症
について回答してもらい、10年追跡して行われたのです。
清涼飲料水を、
- コーラ・果汁飲料(果汁100%未満)
- 100%果汁ジュース
- 野菜ジュース
の3種類に分けて、
- ほとんど飲まない
- 週に2回以下
- 週に3~4回
- ほぼ毎日
の4群に分けて、調査開始後5年目、10年目における糖尿病の発症との関係を調べました。
糖尿病を発症したヒトは、
- 5年目 : 598人(男366人、女232人)
- 10年目 : 824人(男484人、女340人)
でした。
清涼飲料水の種類、および飲料頻度と糖尿病発症の関係を調べたところ、
コーラや果汁飲料(果汁100%未満)をたくさん飲む女性ほど糖尿病発症リスクが高いことが分かったのです。
コーラや果汁100%未満の果汁飲料をよく飲む女性は、ほとんど飲まない女性に比べて糖尿病発症が1.79倍だったのです。
100%果汁ジュースや野菜ジュースでは、ほぼ毎日飲んでも糖尿病の発症が高くなることはありませんでした。
また、男性ではこの傾向は見られなかったそうです。
女性の学歴、職業、BMI、閉経前後などの条件を加味して解析したところ、
- 学歴が高卒以上
- 職業は製造業などのブルーカラー
- BMIが25以上
- 閉経前
の女性で、
コーラ・果汁飲料(果汁100%未満)を飲む頻度が高いほど
糖尿病発症リスクが高かった
そうなのです。
- 清涼飲料水によるカロリーの過剰摂取が肥満を引き起こす
- 清涼飲料水の摂取は血糖とインスリン濃度を急激に上昇させ、耐糖能異常やインスリン抵抗性を引き起こす
- 清涼飲料水の甘味料・フルクトースはインスリン抵抗性との関連が強い内臓脂肪量増加との関連がある
として、清涼飲料水の多飲は肥満や糖尿病を引き起こす可能性があると述べているのです。
詳しく見る ⇒ 原著論文
脳梗塞のリスクも上昇する
さらにこの調査では、コーラやジュースなどの清涼飲料水をほぼ毎日飲む女性は、ほとんど飲まない女性と比べて脳梗塞になる危険性も1.8倍に上昇することが分かっています。
清涼飲料水には糖分(炭水化物)が多く含まれ、女性では脂質や炭水化物への代謝に影響を及ぼし、血糖や中性脂肪を上昇させ、その結果、動脈硬化を引き起こし、脳梗塞の発症が増加したと見られています。
この国内での調査では、男性では明らかな差は無かったとのですが、男性は女性に比べ体格が大きいため清涼飲料水1杯分の影響が女性よりも出にくかったのではおもわれますが、
海外では男性においても清涼飲料水の多飲が肥満や糖尿病を引き起こすことが報告されており、男性においても要注意です。
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海外の調査でも清涼飲料水は糖尿病のリスクを上げる
同じような成績は海外の研究でも報告されています。
イギリスのケンブリッジ大学の大規模な疫学調査では、 によるこの報告は、『BMJ』誌(オンライン版2015年7月21日号)に掲載された。
- 砂糖入り飲料
- 人工甘味料入り飲料(低カロリー清涼飲料)
- 果物ジュース(100%果汁)
の摂取と糖尿病発症の関連を調べています。
その結果、
- 砂糖入り飲料を1日あたり1杯多く飲むごとに2型糖尿病発症リスクが18%上昇する
- 人工甘味料入り飲料では、1日1杯ごとの相対リスクは25%上昇
- 果物ジュースではの相対リスク上昇は5%
と、砂糖入り飲料だけでなく、人工甘味料入り飲料でも多飲すると糖尿病発症のリスクが上昇するのです。
さらにこの報告では、
2010年からの10年間で、砂糖入り飲料による糖尿病の発症率は、
- 米国:11.0%(2,090万件)
- 英国:5.8%(260万件)
と推定していますが、これは凄い件数です。
結論では、
- 砂糖入り飲料の習慣的な摂取は肥満とは別に糖尿病の発症リスクを上げる
- 砂糖入り飲料の摂取量を減らせば、糖尿病の新規発症が抑制される可能性がある
- 人工甘味料入り飲料や果物ジュースに替えても糖尿病の予防にはつながらない
と指摘しているのです。
「果汁100%は体に良い」と考えてしまいそうですが、果汁にも果糖が豊富に含まれていることから飲み過ぎは糖尿病につながるのです。
特に、日本の果物は年々改良され“甘い”のが特徴ですから、果汁に限らず血糖値が高いヒトにとっては果物の摂りすぎには要注意なのです。
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清涼飲料水には隠れた砂糖が多い
「糖質ゼロ」だから、「カロリーゼロ」だから、
肥満や糖尿病に良いと思って選んでいるのであれば、ちょっと考え違いかも知れません。
甘みの元は、炭水化物に含まれる「糖質」や「糖類」なのですが、この糖質が清涼飲料水のカロリーになっているのです。
最近の清涼飲料水には、
- カロリーオフ
- カロリーゼロ
などいろいろな表記がありますが、同じようで実は違うのです。
カロリーゼロでもカロリーがある
カロリーについては、健康増進法という法律により詳しく規定されています。
飲料100mlあたりの表示基準
- カロリーが5kcal未満 : 「ノンカロリー」、「カロリーゼロ」
- カロリーが20kcal以下 : 「カロリー控えめ」、「カロリーオフ」
- 糖類(または糖質)が0.5g未満 : 「無糖」、「ノンシュガー」、「シュガーレス」
- 糖類(または糖質)が2.5g以下 : 「低糖」、「糖分控えめ」、「微糖」
この基準を満たせば、「カロリーゼロ」、「カロリーオフ」、「無糖」、「微糖」などの様々な表記が可能になるのです。
「カロリーオフ」や「糖質ゼロ」であっても、完全にゼロではないということだけはしっかりとを覚えておく必要があります。
詳しく見る ⇒ カロリーゼロは糖尿病に良くない
糖類ゼロでも糖質が含まれる
「糖類ゼロ」と表記されていても、「砂糖が入っていない」ということではありません。
炭水化物の「糖」には、
- 糖質
- 糖類
とがあり、
私達が一般的に「糖」、「砂糖」というのは「糖類」で糖質の一部なのです。
糖質には、
- 単糖類 (糖類)
- 二糖類 (糖類)
- 多糖類
- 糖アルコール
- 甘味料
があり、
通常私達が砂糖というのは糖類である、単糖類のブドウ糖や二糖類の砂糖を指しています。
糖類ゼロと表記されていても糖質は含んでいるのです
- 糖類ゼロ : 砂糖を使用していないが甘味料は使用している
- 糖質ゼロ : 砂糖、甘味料、でんぷんなど全ての糖質を使用していない
ですから、表示で選ぶなら「糖質ゼロ」を選ぶべきです。
糖質ゼロでも甘い
カロリーゼロ、糖質ゼロの清涼飲料水でも甘い。
それは、人工甘味料が使われているからです。
清涼飲料水に使われている人工甘味料は、
- アスパルテーム
- スクラロース
- アセスルファムカリウム
などの合成甘味料です。
中でも、アスパルテームが使われていることが多いのですが、アスパルテームは砂糖の100~200倍の甘みがあるとされる、天然には存在しない人工甘味料で世界中で使われているのですが、、、
ハーバード大学の研究チームは、
- アスパムテールを含む清涼飲料水は血液癌のリンパ腫や白血病のリスクを増大させる
- 可能性や、脳に変性を起こし発作や気分障害などの神経系障害を引き起こす
ということを報告しています。
詳しく見る ⇒ 人工甘味料は糖尿病の血糖値に良いのか?
カロリーゼロだから大丈夫!
果汁100%だから健康的!!
この考えは改める必要があります。
甘い飲み物を習慣化しないことが一番大事なことです
糖尿病の血糖値を上げるのは糖質だけ
糖尿病は血糖値が上がる病気です。
血糖値が高い状態が続くと、血管壁が次第に障害を受け、合併症が起こるのです。
糖尿病の三大合併症は、
- 糖尿病性神経障害
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
ですが、いずれも血管壁の障害に基づく疾患です。
血糖値を上げるのは炭水化物だけ
検診で、血糖値が高い、糖尿病の気がある、、、といわれたら、減量!が真っ先に思い浮かべます。
糖尿病でカロリー制限をしても血糖値はなかなか下がりません。
血糖値が高いのは、炭水化物のとりすぎです。
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維
なのです。
血糖値を上げるのは炭水化物だけなのです。
炭水化物の量をゼロにする必要はありません。
ご飯の量を半分に、パンの量を半分に、そして少なくした分を肉や魚を食べれば良いのです。
あなたの血糖値が高いのは、糖質の摂りすぎが原因なのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事療法は糖質制限がベスト
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