倹約遺伝子は肥満や糖尿病になりやすい

肥満が気になるあなたは「倹約遺伝子」という言葉を聞いたことがありますか?

日本人には倹約遺伝子を持つヒトが多いのですが、

肥満気味のあなたも倹約遺伝子を持っているのかも知れません。

倹約遺伝子を持っている人は肥満や糖尿病になりやすい体質なのです。

  • 倹約遺伝子とは何なのでしょう?
  • 倹約遺伝子を持っていたらどうすれば良いのでしょう?

肥満気味であれば是非とも知っておいてください。

 

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倹約遺伝子とは?

現代人の遺伝的な特性は今から約7万年前に作られた地言われています。

縄文時代からまだ1万6,500年~3,000年程度しか経過していまっせんので、7年万年前とは全く予想もつかいない時代です。

現在の人類はおよそ20万年前にアフリカに住んでいた「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれる単一の母親の子孫だといわれており、約6万年前から人類の分散が全世界へと広まったといわれています。

 

そんな時代ですから、飢餓は当たり前の時代で、狩猟で得た獣肉や木の実などを全ては消費せず体内に脂肪として蓄積し、飢餓に備える体質をもった人のみが生き残れたのです。

このような、飢餓に強い、少ないエネルギーで生存できる遺伝子が受け継がれ、この遺伝子を持ったヒトだけが飢餓を乗り越えて生き延びることができたのです。

 

その遺伝子を受け継いだ人のみが飢餓の時代に生き残ることができたのです。

この、少ないエネルギー消費量で生き残れる体質を維持する遺伝子が「倹約遺伝子」と言われるものなのです。

 


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日本人は倹約遺伝子を持つ人が多い

倹約遺伝子は、「食物が足りない飢餓の状態でも生きていける少ないエネルギーで生きていける遺伝子」です。

農耕民族であった日本人を含めた東アジア人は、狩猟民族であった西洋人に比べて倹約遺伝子を持つ人の割合が多いのです。

 

農耕民族では作物の収穫は年1回で天候不順な年には作物が育たず食料が手に入らないことも多く、狩猟により年間を通して食料が手に入った狩猟民族に比べ、農耕民族では飢餓がより深刻だったことから倹約遺伝子を持つヒトが多いのです。

倹約遺伝子は、これまでに何十種類以上も報告されていますが、日本人は欧米人に比べて倹約遺伝子を2、3倍も高頻度で持っていることが遺伝子解析で明らかになっています。

 

しかし、現代は一部の国や地域を除けば「飽食の時代」で食料は有り余っています。

飢餓の時代では、消費エネルギーを抑えてエネルギーを脂肪として溜め込むように働いた倹約遺伝子は飽食の時代でもせっせとエネルギーを溜め込もうと働き、その結果、体脂肪を増やし肥満へと導いてしまうのです。

 

飢餓の時代でも生き残れるようにと発達した倹約遺伝子は、飽食の時代では過剰に脂肪をため込み、肥満や糖尿病の原因になるやっかいな存在なのです。

人間の遺伝子が新しい環境に適応するように変化するためには10万年くらいの年月がかかるといわれているのですが、縄文時代からまだおよそ1万6,500年~3,000年くらいしか経過していないので、倹約遺伝子が飽食の時代に適応するまでは想像を絶する時間が必要なのです。

 

日本人は肥満しやすい

食物が足りなくても少ないエネルギー消費量で生き残れるための倹約遺伝子ですが、飽食の時代には、過剰に脂肪をため込む存在に変わってしまったのです。

特に倹約遺伝子の多い日本人は、脂肪を摂りすぎたり、運動が不足したりすると途端に肥満になってしまいます。

しかも、日本人の肥満は、脂肪が皮下に蓄積される欧米人の肥満とは異なり、内臓部分に脂肪が蓄積され、これが生活習慣病の原因となっているのです。 

内蔵脂肪型肥満皮下脂肪型肥満

従来は米や野菜中心だった日本人の食生活が動物性脂肪をたくさん摂る欧米型食生活に変化すると、倹約遺伝子によって内臓脂肪型の肥満になり、

生活習慣病を発症しやすくなってしまうのです。

 


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アジア人と西洋人の糖尿病は異なる

全世界で糖尿病患者数が増えていますが、欧米の白人では4%から約6%に増えたのに対し、アジア系人種では4%から8%に増え、アジア系人種での糖尿病患者の増加が深刻な問題になっています。

特に、インド、中国、日本などにおける糖尿病患者が急増しているのです。

世界糖尿病人口が急増

アジア系人種は糖尿病になりやすい

肥満の割合は、アジア系人種では17%ですが、白人では25%と、アジア系人種での肥満率は白人に比べて低いのですが、アジア系米国人は白人に比べ30%~50%も糖尿病になりやすいといわれ、アジア系人種は白人よりも糖尿病になりやすいことが判明しています。

これは、アジア系人種は白人より倹約遺伝子を持っている比率が高いからだといわれています。

飢餓時代を生きのびるための倹約遺伝子だったのですが、飽食の現代では仇となり、少しのエネルギー過多や運動不足でも内臓脂肪が蓄積し、内臓脂肪からは体の代謝機能に悪影響する多くの因子やホルモンが分泌されるため、糖尿病や動脈硬化の進行が加速してしまうのです。

 

日本人の糖尿病は白人とは異なる

日本人の糖尿病患者ではインスリン分泌障害が多くみられるなど白人の糖尿病患者とは病態が異なることが明らかにされている。

関西電力病院院長の清野 裕氏は、2009年1月の第12回日本病態栄養学会で「日本人はなぜ糖尿病になりやすいか?~治療戦略も含めて~」と題して講演を行っているが、日本人と白人の糖尿病の相違を明らかにしている。

 

糖尿病の病態としては、

  1. インスリンの分泌障害によるインスリン不足
  2. インスリン抵抗性によるインスリンの作用障害

により、血液中のブドウ糖の組織への取込みが悪くなることから血中のブドウ糖濃度が上昇するのが糖尿病なのです。

 

白人の糖尿病患者の大部分ではインスリン抵抗性が認められるが、日本人の糖尿病患者ではインスリン抵抗性がそれほど高くなくても糖尿病を発症することが多いといいます。

 

日本人の糖尿病患者ではインスリン抵抗性が高い

さらに、

日本人のインスリン分泌能は白人の半分に過ぎなのだというのです。

 

白人ではインスリンが十分に分泌されるので、血中の余分なブドウ糖は速やかに脂肪組織に貯蔵されるので高度な肥満になりやすいが、

日本人ではインスリン分泌量が少ないので血中ブドウ糖を脂肪組織に貯蔵できず、肥満にはなりにくいが糖尿病を発症しやすく、日本人では小太りの糖尿病患者が多いのだそうです

 

日本人の糖尿病患者ではインスリン分泌が少ない

清野氏は、この相違は数千年にもわたる生活様式や食生活の違いにあるとし、

「穀類中心の食生活を送ってきた日本人では少量のインスリンしか必要としなかった」ことが背景にあると述べています。

 

糖尿病は意志の弱いヒトがなる?

米国のジョンズ・ホプキンズ大学のJi Won R. Lee氏らの研究グループは、

アジア人は欧米人に比べ、痩せている人でも2型糖尿病を発症する危険性が高い

と報告している。

これは、アジア系米国人約1万1千人を含む約23万人を対象とした追跡調査で明らかになったのであるが、アジア系では白人に比べ、2型糖尿病の発症率が30~50%高いといいます。

 詳しく見る ⇒ Diabetes Care, February 2011 vol. 34 no. 2 353-357

 

糖尿病は食べ過ぎと運動不足が原因

さらに、

  • アジア系では白人やアフリカ系に比べ体重が少ないが、腹部脂肪の割合が高い
  • アジア系の人では、運動不足の傾向がある

ことも明らかになり、Ji Won R. Lee氏は、

  • 体重や内臓脂肪は、1日に運動する時間を少しでも増やすことで減らすことが可能
  • 健康的食事とエネルギー摂取に関心をもって習慣的に運動を行えば糖尿病の危険性は低下する

と述べています。

日本人は倹約遺伝子を持つヒトが多く、太りやすい。

やせの大食いといって、たくさん食べても太らない人と、あまり食べなくても太る人がいますが、少ししか食べないのに太る人は倹約遺伝子ヒトだともいえます。

いくら食べても太れない人について、この原因が最近の研究によって明らかになってきました。
 マウスでの研究の結果、いくら食べても太らないネズミは浪費遺伝子を持っていることが分かりました。この逆が倹約遺伝子であるのは言うまでもありません。
 浪費遺伝子の場合は逆に基礎代謝が200kcal増加するので、太れません。このような太れない体質の人が体重を増やしたいときは、運動をして筋肉をつけるのがよいのです。
 ちなみにこの浪費遺伝子を持つ人は日本人の16%だといいます。ケーキやステーキをバイキングで腹いっぱい食べても、体表から熱として捨てているらしいと聞いたことがあります。

 

 

アメリカ・テキサス州サン・アントニオで興味深い調査があります。

サン・アントニオはメキシコに近いことからメキシコから移住してきた人が多いのですが、これらメキシコから移住してきたヒトの学歴と糖尿病の有病率を調べたところ、

  • 貧しい人に糖尿病患者が多い
  • 学歴が高く収入の多い人には糖尿病患者は少ない

ことが分かったそうです。

 

高学歴で高収入の人々は自分の健康の関心を持ち、運動をしたり、食べすぎないように、ライフスタイルに気配りをしているからだと結論されています。

しかし、これは少し屈辱的な報告ですよね。 学歴が低いヒトは動物的で自制心がないと言うことでしょうか、、、、。

糖尿病は食事管理をすれば必ず脱却できます。 あなたも、意志を強くして頑張ってみてください。

  詳しく見る ⇒ 糖尿病でおすすめの食事療法

 

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