糖尿病でも適度な運動は認知症のリスクを下げる
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
世界の認知症患者数は5,000万人ともいわれ、
国内においても2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人で、
65歳以上の高齢者6人に1人が認知症だといわれています。
さらに、
糖尿病患者では認知症のリスクが高く、
など糖尿病は認知症と密接な関係にあるのです。
しかし、
糖尿病でも認知症のリスクを下げる方法があるのです。
適度の運動は糖尿病患者の認知症リスクを下げる
認知症の誘発には様々な要因が関与していると考えられています。
これまでの疫学研究から、
認知症では身体活動が低下することが分かっていましたが、
認知症になったことにより身体活動低下するのではないかと考えられていたのですが、
国立がん研究センターの研究グループは、
総身体活動量が少ないと認知症のリスクが増加する
という、「身体活動量の低下は認知症のリスクファクターである」という研究論文を発表しました。
総身体活動量が少ないと認知症のリスクが増加し、男性では余暇MVPAが多いと認知症リスクが低下する
Association Between Physical Activity and Risk of Disabling Dementia in Japan
詳しく見る ⇒ JAMA Netw Open
詳しく見る ⇒ 国立がん研究センター
研究グループは、
生活習慣とがん、糖尿病などとの関係を調べる目的で実施されているJPHC研究に参加した、
50~79歳の4万3,896人の男女を、
10数年にわたって「身体活動と認知症について」追跡調査したのです。
身体活動を、
- 低強度 : 散歩などのゆっくりとした歩行などの身体活動
- 中・強度 : 低と強の中間の身体活動
- 高強度 : ランニングなどの激しい身体活動
に分けました。
中・強度身体活動とは具体的には、
- 活発なウォーキング
- 軽めの筋力トレーニング
- 心拍数や呼吸数が上がり、うっすら汗ばむ
くらいの強度の身体活動で、
中・高強度身体活動は英語ではmoderate-to-vigorous physical activity(MVPA)ともいわれます。
追跡期間中に、
4万3,896人のうちの5,010人が認知症と診断されたのですが、
運動量との認知症の関係を調べてところ、
- 総身体活動量
- 総MVPA
- 余暇MVPA
が多い人ほど認知症のリスクが低下する
ということが明らかになったのです。
男女ともに、
身体活動量が多いほど、あるいはMVPAが多いほど、認知症リスクが低下することが明らかになったのですが、
さらに、
男性においては余暇におけるMVPAが多いことが認知症のリスク低下と関連していることが分かったそうです。
余暇MVPAとは仕事などでの身体活動以外の、休日の散歩やゴルフ、テニスなどです。
WHO(世界保健機関)による運動ガイドラインでも、
MVPAを1日に60分以上行うこと
を推奨しているのです。
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糖尿病でも認知症にならない7つの守ること
糖尿病で血糖コントロールが悪いと認知症のリスクが高く、
認知機能障害や記憶力低下などのリスクも高いといわれていますが、
オランドのマーストリヒト大などの研究グループは、
8万7,856人を平均9年間追跡して調査し、
糖尿病では認知症のリスクが88%高いが、
7つの健康目標を達成すれば認知症リスクを低下できる
と報告しています。
Association of Type 2 Diabetes, According to the Number of Risk Factors Within Target Range, With Structural Brain Abnormalities, Cognitive Performance, and Risk of Dementia
詳しく見る ⇒ Diabetes Care
認知症リスクを低下できる7つの健康目標とは、
- 禁煙する
- HbAc1を7%未満にする
- 血圧を130/90mmHg以内に保つ
- 健康な体重の維持(BMI20~25)
- 蛋白尿を出さない
- 週150分以上の運動や身体活動
- 健康的な食生活(米国心臓学会の食事ガイドラインを守る)
というもので、
5つ以上を満たせば認知症のリスクが1.32倍に抑えられ、
達成項目が1つ増えるごとに認知症リスクが20%低下したそうあのです。
目標の達成数が多いほど、脳の異常を示す白質病変が少なく脳の容積も大きかったと報告しています。
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まとめ
糖尿病では脳が萎縮して認知症になることなどが明らかになっており、高血糖は認知症のリスクを上げることは間違いの無いことなのです。
以前に、認知症にならない18の方法の1つは糖尿病にならないことをご紹介しましたが、
糖尿病の人が、認知症を予防するために、
- 血糖値のコントロール
- 健康的な食事
- 運動や身体活動
は必須項目のようです。
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