妊娠糖尿病:妊娠中は血糖値が上がりやすい仕組みになっている

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えします。

 

はじめに

妊娠尿病という病気の名前は知ってはいても、どんな病気なのかは知らない妊婦さんが多いのです。

妊娠糖尿病は胎児の成長を助ける仕組みのせいなのです。

しかし、妊娠糖尿病では胎児の異常や死亡が多いですから妊娠糖尿病には気を付けなければなりません。

 

妊娠糖尿病は血糖値が上がりやすい仕組みのせい

 

そのためには、妊娠糖尿病の仕組みを知っておくことが大事です。

妊婦の8人に1人がなるという妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は胎児への影響が心配です

あなたは、どうして妊娠糖尿病になるのかを知っていますか?

 

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妊娠中は妊娠糖尿病になりやすい

妊娠糖尿病とは、

妊娠中に発症した糖尿病ほどではない軽い糖代謝異常

のことです。

妊娠中に明らかな糖尿病と診断された場合には妊娠中の明らかな糖尿病

妊娠前に糖尿病と診断されている場合には糖尿病合併妊娠と分類されます。

 

妊娠糖尿病の診断

妊娠糖尿病の診断は、

  • 随時血値が200mg/dl以上 : いつも通り食事を摂った状態での血糖値を測定
  • 空腹時血糖が92mg/dl以上 : 朝食を食べないで血糖値を測定

の場合には妊娠糖尿病を疑い、

  • 75g空腹時経口ブドウ糖負荷テスト

が行われます。

空腹状態で75mgのブドウ糖を摂取し、

  • 1時間後の血糖値が 180mg/dl以上
  • 2時間後の血糖値が153mg/dl以上

これらの検査で、異常値が1つでも当てはまると「妊娠糖尿病」もしくは「妊娠中の明らかな糖尿病」として診断されるのです。

 

妊娠中は血糖値が上がりやすい仕組みになっている

通常の2型糖尿病の大きな原因は食べ過ぎや運動不足ですが、

妊娠中はホルモンの関係で誰でも血糖値が上がりやすいのです。

 

血糖(ブドウ糖)は私たちの身体活動のための主なエネルギー源で、

食事から吸収されたブドウ糖は血液によって体中に運ばれ、インスリンの働きで臓器に取り込まれエネルギーとして使われるのですが、

妊娠中の胎児もエネルギー源として血糖が必要なので、

妊娠中は血糖値が下がらないようにインスリンが効きにくい状態になるのです。

 

妊娠中の胎盤からは、

  • インスリン分解酵素 
  • hPL

などが分泌され、血糖値が下がりにくい状態にっているのです。

 

hPLとはhuman placental lactogenの略でヒト胎盤ラクトーゲンというホルモンです。

 

食事によって上がった血糖値はインスリンによって下げられますが、

hPLはインスリンの働きを妨害し、血糖値を下げないように働きます。

hPLの働きによってブドウ糖を確実に胎児に届け、胎児の体を成長させ、脳細胞をサポートするのです。

 

インスリンの分泌には個人差があり、インスリンの分泌が少ない妊婦ではhPLが働くと高血糖の状態が持続することになり、妊娠糖尿病と診断されやすくなります。

 


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妊娠糖尿病は胎児にも母体にも良くない

妊娠糖尿病は、胎仔の成長を維持するための結果だから、赤ちゃんの栄養になるのだから良いのでは?と思うかもしれませんが、

妊娠糖尿病のは胎児にも母体にも良くない影響を与えるのです。

 

胎児に与える影響としては、

  1. 巨大児
  2. 子宮内胎児死亡
  3. 先天奇形
  4. 新生児低血糖

 

高血糖の状態が続くと胎児はより成長し、巨大児になります。

分娩時に体重が4,000g以上あるときには巨大児とよばれ、

難産になりやすく、分娩時には新生児の体や脳を後遺症が出るほど傷めたり、

子宮内胎児死亡の原因になる場合もあるのです。

 

また、無事に分娩したとしても、

  • 新生児低血糖
  • 新生児高ビリルビン症
  • 多血症
  • 肥厚性心筋症

などのリスクも高いのです。

 

母体側に対しても、

  • 流産や早産
  • 妊娠高血圧症候群
  • 羊水過多症
  • 網膜や腎臓機能の異常
  • 微弱陣痛

などの危険があるのです。

 

妊娠糖尿病が心配だからといってダイエットをしたら胎児は育ちません。

妊娠したら血糖値をあまり上げずに、胎児の分のカロリーを摂る必要があります。

 

血糖値が急激に上がるような食べ方、

  • ドカ食い
  • 早食い

などを控え、

  • 同じカロリーでも分割して食べる

ようにすることが必要なのです。

 

母体の血糖値が上がれば胎児の血糖値も上がるのです。

  • 胎児に食べさせたい食品をゆっくりと分けて食べ、
  • 胎児に血糖維持の仕方を教える、

ことが妊娠中の食育なのです。

 


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まとめ

妊婦の8人に1人は妊娠糖尿病だといいます。

妊娠中は胎児の発育を助けるために妊娠中は血糖値が上がりやすい仕組みになっているのです。

妊娠糖尿病が心配だからと言ってダイエットなどをしてはいけません。

妊娠糖尿病を防ぐためには分けて食べる、ゆっくり食べることが大事なのです。

また、妊娠前の運動習慣は妊娠糖尿病を予防することが知られていますから、妊娠の計画がある人は運動に気を配ってください。

 

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