痩せ型の若い女性で糖尿病が増えている
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
糖尿病といえば、
中高年の男性で肥満の人
というイメージが強いのですが、
最近は20~30代のややせ型の女性でも増えている
そうなのです。
スリムな若い女性など糖尿病には無縁のように思うのですが、
どうして20~30代のややせ型の女性で糖尿病が増えているのでしょうか?
やせ型の若い女性で糖尿病が増えている理由
糖尿病は中高年の肥満の男性!やせているから大丈夫!
と思っていませんか?
痩せているから大丈夫と思っている女性はたくさんいると思いますが、
- 痩せている
- 若いから
- 女性だから
と安心してはいけないのです。
順天堂大学大学院医学研究科・スポートロジーセンターの研究グループは、
痩せている女性でも筋肉が少なかったり筋肉に脂肪がたまっていると糖尿病のリスクが上昇する
という研究論文を発表しています。
Characteristics of Glucose Metabolism in Underweight Japanese Women
詳しく見る ⇒ Journal of the Endocrine Society
痩せた女性では筋肉の量や質が低下している
痩せているというのは、
筋肉量が少ない
ということです。
血糖値の維持において筋肉は非常に重要な働きをしているのです。
血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌され血糖値を下げますが、
ヒトの体で血糖取り込むもっとも大きい臓器は筋肉なのです。
血糖コントロール全体に大きな影響をもたらしているのです。
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痩せた女性では7倍も耐糖能が異常値
研究グループは、
18~29歳の女性において、
- 痩せ型 : BMI が16.0~18.4
- 標準型 : BMI 18.5~23.0
を対象に、75g経口糖負荷試験で耐糖能を調べました。
経口糖負荷試験とはブドウ糖75gを飲んで、その後2時間後まで血糖値を測定するのですが、
2時間後に血糖値が140mg/dLまで下がっていれば耐糖能は正常と見なされます。
その結果、
痩せ型では標準型より耐糖能異常が7倍も高いことが分かったのです。
研究グループは、
やせ型の女性では標準型の女性に比べて、
- 体重が軽く筋肉量が少ない
- 身体活動量が少ない
- エネルギー摂取量が少ない
ことが原因だと推察しています。
糖尿病の予防は栄養と運動で筋肉を増やす
肥満の尺度であるBMI(体格指数)は、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出されます。
肥満度の基準は2016年に11年振りに改定されました。
- 低体重 : BMI 18.5以下
- 普通体重 : BMI 18.5~25
- 肥満 : BMI 25以上
なお、肥満は1~4度に分類されます
詳しく見る ⇒ 肥満の定義;厚生労働省
日本における成人の肥満の割合は約30%で、30年間の推移では成人男性の肥満が増え続けていますが、
女性ではBMIが18.5未満の痩せた女性の比率が先進諸国のなかでもっとも高く、
若年女性では痩せの比率が約20%と非常に高い割合を占めています。
今回のの研究で、
痩せた若年女性では耐糖能異常の比率が非常に高く糖尿病のリスクが高いことが明らかになったのですが、
痩せた若年女性では、
- 食事の量が少ない
- 運動量が少ない
という「エネルギー低回転型」であることから、
- 必要な食事量を摂る
- 運動をする
ということを守り骨格筋量を増やすことが糖尿病の予防になるのです。
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まとめ
若い痩せた女性の糖尿病が増えています。
若い痩せた女性では筋肉量が少ないため糖の取込みが減少するのです。
日本では痩せた若年女性の比率が先進国で最も高いのですが、
痩せすぎはエネルギー低回転型となり糖尿病のリスクを高めるのです。
ダイエットも重要でしょうが、健康が第一です。
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