肉の食べ過ぎは糖尿病のリスクが上がる
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
炭水化物などの糖質の摂りすぎは糖尿病のリスクを上げることは誰でも知っていますよね。
でも、糖尿病の原因は炭水化物の摂り過ぎだけではないのです。
肉の食べ過ぎも糖尿病のリスクを上げ、
肉の食べ過ぎは死亡リスクをも高めるのです。
ご飯などの炭水化物は血糖値を上げて糖尿病のリスクを高めるけど、
肉は血糖を上げないからいくら食べても大丈夫と思っていた方は要注意です。
肉の食べ過ぎは糖尿病や死亡のリスクを上げる
糖尿病を防ぐには、
ご飯を減らしておかずや野菜を沢山食べましょう
ご飯より野菜を先に食べましょう
とよくいわれますが、
肉は血糖値を上げないから安心だと思っていませんか?
しかし安心してはいけません。
肉を食べ過ぎると糖尿病リスクが上昇する
Meat, Dietary Heme Iron, and Risk of Type 2 Diabetes Mellitus: The Singapore Chinese Health Study
ことも明らかになっているのです。
詳しく見る ⇒ 原著論文
この研究はシンガポールのデューク国立大学の研究グループがおこなったもので、
シンガポール在住の45~74歳の成人6万3,000人を対象に、
食生活と糖尿病など疾患の発生を11年間にわたって追跡調査した結果、明らかになりました。
その結果は、
赤身肉や加工肉を多く食べた人は肉食が少ない人より糖尿病発症リスクが23%上昇した
というのです。
赤身肉や加工肉などには、
- ヘム鉄
- 飽和脂肪酸
が多いこと、
- 調理できる糖化最終産物(AGE)
などが、
インスリン分泌やインスリン感受性に悪影響をもたらすから
だと考えられてるとしています。
ヘム鉄は酸化ストレスや炎症を引き起こしてインスリン感受性を低下させることが報告されていますし、
ヘム鉄の過剰摂取はインスリンを分泌する膵臓のβ細胞にダメージを与えるのです。
糖化最終産物とは蛋白質と糖が結合したもので、肉や揚げ物の茶色の焼き色の部分の成分で、糖尿病の原因になるのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病ならAGEが多い食品を避けてください
一方、研究グループは、
赤身肉を魚介類や植物性食品に置き換えると糖尿病リスクは低下した
ということも報告しています。
アジ、イワシ、サンマ、サバなどに多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸といわれる糖尿病に良い脂肪がインスリン感受性やインスリン分泌を改善するのです。
なお、近々ご説明しますが、
「赤身肉の食べ過ぎるで糖尿病リスクが上昇する」ということは日本人を対象としたJPHC研究でも報告されています。
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肉の食べ過ぎは死亡リスクを高める
世界保健機構(WHO)は、赤身肉の多量摂取は健康に有害でありがんリスクが関連すると警告していますが、
国立がん研究センター の予防研究グループは、
肉類の摂取量が多い死亡リスクや心疾患による死亡リスクが上昇する
Association between meat intake and mortality due to all-cause and major causes of death in a Japanese population
という結果が得られたと発表しています。
詳しく見る ⇒ 原著論文(PLOS ONE)
研究グループは、
日本人で45~74歳の男女8万7,507人を14年間追跡調査したのですが、
- 肉類総量
- 赤身肉(牛・豚)
- 加工肉(ハム・ソーセージなど)
- 鶏肉
の1日当たりの摂取量で4グループに分け死亡リスクを比較したのです。
その結果、
男性の肉類と赤身肉の摂取量が多いグループで総死亡リスクが上昇することが分かったのです。
女性では、肉の摂取量と死亡リスクに関連は見られず、脳血管疾患による死亡リスクが低下する傾向が見られたそうです。
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まとめ
食生活の欧米化により、1970年から2006年の36年間で日本人の肉類の摂取量が2倍に増加したと言われています。
赤身肉には、蛋白質、鉄、亜鉛、ビタミンBなどの体に不可欠な栄養素がたくさん含まれ、
老化によるフレイルやサルコペニアを防ぐために赤身の肉を食べることが薦められるのですが、
食べ過ぎに注意が必要です。
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