糖尿病の人工膵臓を名古屋大学が開発に成功

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。

 

はじめに

先日は、糖尿病の治療用ワクチンの開発に大阪大学が成功したという情報をお知らせしたところ、多くの方に興味を持っていただいたようです。

今日の話題は、名古屋大学が糖尿病患者のための人工膵臓の開発に成功したというお話しです。

糖尿病が進むと膵臓の機能はどんどん衰えてインスリンを分泌できなくなってしまいます。

そのため、糖尿病患者は毎日数回もインスリンを注射をしなければならないのです。

膵臓の再生医療も研究が進められていますが、実用化には時間がかかりそうで、

名古屋大学が開発に成功したという人工膵臓に大きな期待が寄せられます。

 

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名古屋大学が人工膵臓の開発に成功

名古屋大学は6月17日に、

環境医学研究所の研究グループが、

自律的にインスリンを放出する人工膵臓デバイスを開発し、

糖尿病治療に向けた性能アップに成功し、糖尿病合併症の原因となる血糖日内変動に対する有効性を明らかにした。

と発表しました。

 

くわしく読む ⇒ 名古屋大学プレスリリース

 

またこの研究成果は世界的な科学雑誌であるCommunications Biologyにも掲載されました。

Hollow fiber-combined glucose-responsive gel technology as an in vivo electronicsfree insulin delivery system 

 

原文を読む ⇒ Communications Biology

 


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名古屋大学の糖尿病のための人工膵臓とは

糖尿病のための人工膵臓というのは、

糖尿病患者の血糖値を自動的に感知し、

  • 血糖値が上がったらポンプでインスリンを注入
  • 血糖値が下がったらインスリンの注入を止める

というものですね。

 

世界中で開発研究されていますが、

  1. 腹部に貼り付けるタイプ
  2. 腹腔に埋め込むタイプ

という2つのタイプがあります。

 

 

 

名古屋大学の人工膵臓はポンプなどの機械的装置がない体内埋込みタイプのようですが、

タンパク質も利用していないと言うことから炎症や免疫反応を起こしにくい装置のようです。

 

ポンプを使わずにどのようにしてインスリンを注入するのかというと、

やや難しくなるのですが、すごく簡単に説明しますと、

 

フェニルボロン酸という糖に反応する物質とインスリンが入ったシリコンチューブを用いています。

糖の濃度が低い場合には、フェニルボロン酸の表面にはスキン膜が作られ、

糖の濃度が高い場合はスキン層は消失するため、

シリコンチューブからインスリンが放出されたり、止まったりするというのです。

 

これまでの研究では、マウスとラットを使った実験で良い成績を得ており、

血糖値の日内変動に対する効果も確認されたということです。

 


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まとめ

糖尿病が進んでしまうとインスリン投与が余儀なくされます。

最近のインスリン投与は疼痛除去も利便性も大幅に改善されたものの、

一生涯、毎日1、2回インスリンを投与しなければならないのは苦痛なもの、

早期の人工膵臓お開発が望まれるのです。

 

開発中の人工膵臓は1型糖尿病を対象にしたものが多いのですが、

名古屋大学では、

2 型糖尿病も含めたインスリン療法の早期導入が促進され、糖尿病治療戦略が大きく変化する可能性がある

としており、2型糖尿病の患者にとっても朗報なのです。

 

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