血糖値が高いなら糖尿病網膜症が進んでいます

製薬会社で20年以上、新薬の研究開発に携わった経験をもとに、科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えしています。
糖尿病治療では、日本糖尿病学会や厚生労働省も示しているように、食事療法と運動療法が基本です。

はじめに

今年9月、今後40年以内に、目が見えない人の数は世界中で3倍に増え、現在の3,600万人から2050年までに1億1,500万人に増加するとの研究論文が発表されました。

Magnitude, temporal trends, and projections of the global prevalence of blindness and distance and near vision impairment: a systematic review and meta-analysis

また、イギリスのラスキン大学の研究グループは、中程度から重度の視覚障害がある人は2億人以上いると推測され、2050年までに5億5,000万人以上に増加すると予測しています。

国内においても厚生労働省は、5年毎に視覚障害者数と聴覚言語障害者数の実態調査をおこなっていますが、

我が国における視覚障害者数は約164万人に達したが、

中途失明の原因の多くは、

  • 緑内障
  • 糖尿病網膜症

だったと報告しています。

糖尿病網膜症は血糖値が高いあなたでも進んでいます

さらに、

9月に厚労省が発表した「国民健康・栄養調査」の結果で、

  • 糖尿病が強く疑われる者 : 1,000 万人
  • 糖尿病の可能性を否定できない者 : 1,000 万人

であることが明らかになったのですが、

糖尿病患者の15.0~23.0%が糖尿病網膜症に罹患していることが分かっており、

糖尿病網膜症は糖尿病になる前の血糖値が高い段階から、目の健康にも注意が必要です。

血糖値がやや高いだけと思っている場合でも、糖尿病網膜症には注意が必要です。

糖尿病網膜症は失明の原因

糖尿病網膜症は、

  1. 糖尿病神経障害
  2. 糖尿病網膜症
  3. 糖尿病腎症

と、糖尿病の三大合併症の1つです。

グルコーススパイクは糖尿病合併症の原因

そして上にも書きましたように、

中途失明の原因では緑内障に続いて第2位を占めているのです。

糖尿病網膜症は自覚症状がない

糖尿病も自覚症状が乏しい病気ですが、糖尿病網膜症は自覚症状がないまま進行するので恐ろしいのです。

急激な視力低下で眼科を受診して糖尿病網膜症と診断され、

そこで初めて自分が糖尿病だと気づくことも稀ではありません。

糖尿病網膜症で自覚症状が出るのは網膜症がかなり進行してからなのです。

糖尿病網膜症の病状は、

  1. 無網膜症
  2. 単純網膜症
  3. 前増殖網膜症
  4. 増殖網膜症

の4段階に分けられます。

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無網膜症では、

眼底検査による網膜の検査でも異常は見つかりません。

単純網膜症は、

高血糖状態が10年くらい続くと発症するといわれていますが、高血糖の程度ではもっと早く単純網膜症にいたる場合もあります。

単純網膜症での眼底検査では点状の網膜内出血や毛細血管瘤(血管のコブ)が見られます。

前増殖網膜症では、

網膜の毛細血管の血流が低下し、毛細血管が消失し無血管野が確認されます。

この場合には、蛍光物質を投与して蛍光眼底造影検査を行う必要があります。

無網膜症~前増殖網膜症までの間では視覚に異常がでないため自覚症状で糖尿病網膜症に気づくことはほとんどありません。

糖尿病網膜症は高血糖による血管のダメージが原因

糖尿病網膜症は高血糖により網膜の血管が損傷を受けることが原因です。

高血糖が血管内皮を傷つける

増殖網膜症では急激な視力低下が起こり失明に至ります。

最終段階の、

増殖網膜症では、

毛細血管が広範囲に消失し網膜は酸素不足や栄養素不足になります。

それを補うために新たな血管(新生血管)が多数できるのですが弱い血管のため、

  • 血液成分が漏れ出し、
  • 網膜の表面にかさぶたのような増殖膜を作り、
  • 網膜と一緒にはがれて網膜剥離を引き起こしたり、
  • 血管が破れて眼内出血(硝子体出血)を引き起こしたり

することで、

急激な視力低下がおこり初めて糖尿病網膜症に気付くことも多いのです。

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そして、網膜剥離は失明を引き起こすのです。

糖尿病網膜症の予防は血糖コントロール

糖尿病網膜症の予防や、

無網膜症~前増殖網膜症までの治療は、

なんといっても血糖値のコントロール。特にグルコーススパイクともいわれる食後高血糖を抑えることです。

食後高血糖グルコーススパイク

厳格に血糖値をコントロールすることにより糖尿病網膜症の進行を抑制できることは多くの症例で証明されています。

グルコーススパイクは糖尿病ドミノをすすめる

最終段階の一歩手前である前増殖網膜症では、

失明にいたる増殖網膜症へ進行する恐れがあるため、レーザーにより無血管野の網膜細胞を焼くことによって新生血管の発生を防ぐ治療をおこなうこともあります。

もちろん、レーザー治療では視野が狭くなったり、暗いところでの視力低下があることは覚悟しなければなりません。

最終段階の増殖網膜症では、

網膜剥離を引き起こす原因となる増殖膜や、硝子体出血を引き起こす新生血管を取り除くための手術治療が必要となることも少なくありませんが、

最近は、

新生血管を作り出す手助けをすると考えられるVEGF(血管内皮増殖因子)を抑えるために、抗VEGF療法もおこなわれるようになりました。

抗VEGF療法は、VEGFの抗体を眼内に注射し、VEGFの働きをストップして新生血管が作られることを止め、網膜剥離を抑えるのです。

日本でも2014年に糖尿病黄斑浮腫に対する抗VEGF療法が保険適用になり、レーザー治療から治療が大きく変わりましたが、

まだまだ糖尿病網膜症で失明する人が多いのです。

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血糖値が高い人は糖尿病網膜症にも注意

血糖値が高い状態を放置しないことが、糖尿病網膜症を予防するうえでも大切です。

糖尿病性合併症が怖い

糖尿病患者の15.0~23.0%が糖尿病網膜症に罹患していることが分かっています。

糖尿病患者の4人から5人に一人が糖尿病網膜症で、

毎年3,000人の糖尿病患者が失明しているのです。

まとめ

糖尿病網膜症を予防するのは血糖を下げるだけ、それだけです。

血糖値を下げるには「スタンダード糖質制限食」です。

  • 朝食のパンを半分に
  • 夕食のご飯を半分に

そして魚や肉や野菜をたっぷり食べるのです。

糖尿病の食事療法は病人食ではなく健康食です。

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