60分以上の昼寝は糖尿病になりやすい
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
食後には眠くなります。
食後に眠くなるのは血液が胃や腸に集まり、脳の血液が不足するからだと言われていますが、
最近の研究で、
脳のオレキシンというホルモンが減少するからだと言うことが分かってきました。
そして、オレキシンが不足すると糖尿病や肥満、うつなどを引き起こすことが分かってきました。
食後に異常に眠いのは糖尿病の初期症状でもあるのですが、
食後に眠いといって長い時間の昼寝はいけません。
東京大学の研究グループは、
60分以上の昼寝は糖尿病のリスクを高める
ことを明らかにしました。
食後の昼寝は短めにしてください。
60分以上の昼寝は糖尿病のリスクを高める
食後には眠くなるのは、
消化のために血液が胃や腸に集まり脳の血液が不足するから
だと言われていますが、
最近の研究で、
脳のオレキシンというホルモンが減少するからだと言うことが分かってきました。
オレキシンの不足は、肥満や糖尿病の原因になり、食後眠いは糖尿病の初期症状 だといわれています。
しかし、
食後に眠いからといって、食後の昼寝が長すぎると糖尿病のリスクが高まるという研究報告もあるのです。
この研究報告を発表したのは、東京大学の研究グループで、2016年の欧州糖尿病学会で発表されました。
食後の仮眠は非常に気持ちが良く、健康に効果的だという報告も数多いのですが、
1日に60分以上の昼寝をすると糖尿病の発症リスクが高まる
ことが、複数の研究を解析した結果、明らかになったというのです。
60分以上の昼寝は糖尿病のリスクを45%上げる
研究グループは、
過去に発表された研究報告から、昼寝と糖尿病に関して一定の基準を満たす21件の研究を抽出解析したのです。
この21件の研究報告はアジアやアメリカで行われた研究で、対象者は30万7,237人にのぼります。
この対象者のデーターを解析したのですが、
その結果、
- 60分以上の昼寝は全く昼寝をしていない人に比べて2型糖尿病の発症リスクが45%上昇する
ということが判明したのです。
さらに、
昼寝の長さと糖尿病やメタボリックシンドロームとの関係について調べたところ、
- 昼寝時間が40分以内であれば2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクは上がらない
- 40分を超えると2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクが上昇
- 60分以上になると2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクの上昇は統計学的に有意
昼寝の時間の長さと2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクとの間には、J字型カーブがの関係があったとのことで、
短時間の昼寝は2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクとを下げるようです。
研究グループは、
昼寝の長さが糖尿病やメタボリックシンドロームの発症にどのように関連しているのか不明だとしながらも、
- 昼寝の時間が長い人は夜間の睡眠で閉塞性睡眠時無呼吸などがあり充分な睡眠が取れていない可能性がある
- 閉塞性睡眠時無呼吸は、代謝機能の異常や心血管疾患の発症といったリスクを高めることが知られている
と述べ、
長時間昼寝をする人は、もともと体調が悪く糖尿病を発症しやすい要因を持っている可能性もあるとしています。
さらに、
- 30分以内の昼寝で注意力や運動能力が上がる
という研究報告も多く、
短時間の昼寝は体内時計のリズムの乱れを改善し代謝機能の異常を修正することができるかもしれない、述べています。
昼寝時間は2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクへ影響しない40分以内にして下さい
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寝不足や不眠は糖尿病の原因
東京大学の研究グループは、
長時間昼寝をする人は、もともと体調が悪く熟睡できず、糖尿病を発症しやすい要因を持っている可能性もある
としていますが、
睡眠不足や不眠は糖尿病の原因でもあり、特に、不眠の女性は糖尿病のリスクが高いことも報告されています。
しかし大事なことは、睡眠不足と不眠とは違い、また、万人に共通の一定基準はないと言うことです。
- 睡眠不足と不眠との判別は非常に難しい
- 8時間寝なければ体調が悪い人もいれば4時間で大丈夫という人もいる
のです。
睡眠不足は血糖値に影響する
睡眠不足とは、何らかの理由で睡眠時間が短くなり、充分な睡眠時間を確保できなかったことを指します。
適正な睡眠時間は個人によって異なるのですが、
通常は睡眠時間が8時間のヒトを4時間しか寝かせないと、
- 起床時の血糖値が8時間睡眠の時よりも高い
- インスリン抵抗性が高くなった
という実験結果もあり、
睡眠時間は血糖値やインスリン抵抗性に影響を及ぼしているのです。
糖尿病患者の40%不眠の問題を抱えている
不眠とは、不眠症、あるいは睡眠障害と言われ、4つのタイプに分けられます。
- 入眠障害 : なかなか寝付けない
- 中途覚醒 : 睡眠中に何回も目覚めてしまう
- 熟睡障害 : 充分寝たはずなのに寝た気がしない
- 早朝覚醒 : 朝早く目が覚めてしまう
の4つです。
そして、糖尿病患者の40%では不眠の問題を抱えていると言われています。
糖尿病患者では、
- 睡眠障害(不眠症)
- うつ病
が非常に多いのです。
糖尿病の直接的原因は不眠ではありませんが、不眠を治すことによって糖尿病が改善する例が学術的にもたくさん報告されています。
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糖尿病とうつ病との関係についても、うつ病で不足しているセロトニンは睡眠ホルモンと言われるメラトニンの原料でもあり、糖尿病の人はうつ病になりやすく、うつ病の人は糖尿病を併発しやすいことがたくさん報告されています。
昼食後の仮眠(昼寝)は非常に気持ちの良いもので、午後からの仕事の活力になります。
しかし、40分以上の昼寝は糖尿病のリスクを高めるので注意してください。
長時間の昼寝が必要な人は、夜間の睡眠に問題があるのかも知れません。
糖尿病を防ぐには、長時間の睡眠ではなく、質の高い睡眠を取る必要があります。
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