糖尿病の患者数が世界的に増加しています。
糖尿病の患者比率を見ると、男性の糖尿病患者数が女性より多いのです。
男性は女性より糖尿病になりやすいのです。
どうして男性は女性より糖尿病になりやすいのでしょうか?
糖尿病は男性に多い
世界でも糖尿病の患者数が爆発的に増えています。
国際糖尿病連合の発表では、2015年には世界の糖尿病の患者数が前年より2,830万人増加し、4億1,500万人に達したそうです。
日本における糖尿病患者数も、2015年には720万人と、世界ランキングでは2014年よりひとつ上がって9位になっています。
厚生労働省の平成26年(2014年)「国民健康・栄養調査」によると、
日本人の成人における糖尿病有病者比率は、
- 男性 : 15.5%
- 女性 : 9.8%
で、2006年以降、微増の傾向にあります。
しかし、、、
糖尿病の有病率は男性が女性より高いのです。
糖尿病は男女ともに、50歳を超えると増えはじめ、70歳以上では男性の4人に1人(22.3%)、女性の6人に1人(17.0%)が糖尿病だといわれます。
年齢別でも、どの年代でも男性は女性より糖尿病の比率が高いのです、、、。
どうして糖尿病は男性で有病率が高いのか?
男性は暴飲暴食をするからなのでしょうか、、、
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男性は女性より糖尿病になりやすい
日本活習慣病予防協会は、女性より男性のほうが多い理由として、
- 男性は肥満傾向にある
- 女性はやせ傾向にある
ことが関係しているのではと指摘しています。
また、
- 男女の性ホルモンの違いが糖尿病の発病に大きく関わっている
ことも分かっているのですが、
昨年、カナダの研究グループが、
- PTENといわれる蛋白質が関与していることを明らかにしています。
カナダのマクマスター大学の研究グループは、
肥満男性は肥満女性よりも糖尿病になり易いといわれているとして、性差に関連する筋肉中の蛋白質を精査し、筋肉中のPTENと呼ばれる蛋白質が男女で異なることを発見したのです。
Sex differences in skeletal muscle Phosphatase and tensin homolog deleted on chromosome 10 (PTEN) levels: A cross-sectional study
Scientific Reports 5, Article number: 9154 (2015)
原著論文 ⇒ http://www.nature.com/articles/srep09154
PTENの活性が高いときは、
- インスリンの筋肉に対するシグナリングが阻害され、
- その結果糖の摂り込みが低下する
ことから、PTNEの活性が高いと、インスリン抵抗性が増加し、型糖尿病の発症に繋がるのですが、女性ではPTENの活性を抑制しインスリンによる筋肉への糖の取り込みを維持させる作用が働いていることは判明したのです。
PTENとは、Phospahtase and Tensin Homologue Deleted on Chromosome 10 の略で、発がんなどにも関与する蛋白質ですが、PTEN の欠乏はインスリン感受性の亢進や糖尿病の発症を抑制する作用がある可能性がその後の研究でも明らかになっています。
糖尿病発症の主な要因は、
- 遺伝的体質
- 生活習慣
- 肥満
- 加齢
などなのですが、女性ではPTENの作用により、組織の糖取込みが促進され、男性よりは肥満しない傾向にあるのです。
ちなみに、30歳以上の日本人では、男性のBMIは年々増加して23以上ですが、女性のBMIは横ばいであるか減少中でやや減少傾向にあり23以下です。
肥満の相違が男女における糖尿病の発症に大きく関与していると考えられます。
女性も安心してはいられない
しかし、女性も安心してはいられません。
女性ホルモンの分泌が減る更年期以降には、糖尿病リスクが高まるという調査結果もありますし、上に示したように、女性でも男性よりは有病率は低いものの、60歳以降には糖尿病の有病率が急増しているのです。
糖尿病の予防や治療は、
- 食事療法
- 運動療法
です。
やや血糖値が高いだけだと安心していてはいけません。
そのままにすれば確実に糖尿病に移行します。
糖尿病の食事療法は健康食、長寿食です。
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