糖尿病の食事療法で間食はダメ?
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
糖尿病で食事のカロリー制限をしているヒトにとっては、
間食は食べて良いの?
間食はダメ?
非常に気になるところです。
カロリーが制限範囲を超えなければ間食をしても良いのでしょうか?
糖尿病なら間食はしない方がいい
糖尿病のカロリー制限による食事療法ではお腹が空きます。
食事制限をする前には自由に食べていたのですが、カロリー制限をすると、
以前の6割程度しか食べられない
というヒトが多いのです。
当然お腹が空きますよね。
- 昼まで待てない、、、、
- 夕食まで待てない、、
こんな時、制限カロリー以内なら間食をしても良いのでしょうか?
結論から言えば、「糖尿病なら間食はしてはいけない」のです。
間食による血糖のパターンを比較してみよう
食事による血糖のパターンを見てみましょう。
健康な人の血糖値のパターン
朝は夕食を食べてから10時間は経過しているはずですから、通常は血糖値は1日中で一番低くなっています。
食事を摂ると、炭水化物はブドウ糖に分解されて腸から吸収されますから血糖値が上がります。
この上昇は、「食後高血糖」とか、「グルコース・スパイク」とかいわれます。
この食事による血糖値の上昇は、インスリンの働きによってグルコースが組織や肝臓に取り込まれることによって2~3時間で低下し、昼食前には朝食前とほぼ同じレベルまで低下します。
昼食を摂ると、朝食の時と同じように食後高血糖になりますが、夕食前にはまた元のレベルまで戻るのです。
糖尿病や隠れ糖尿病の人の血糖値のパターン
糖尿病のヒトでは空腹時血糖値も高いのですが、隠れ糖尿病のヒトの血糖値は朝食前にはほぼ健康な人と同じレベルまで低下します。
朝食を摂ると食後血糖値が上昇しますが、健康の人に比べてインスリンの分泌が低かったり、インスリン抵抗性が高いので、血糖値の戻りが悪いのです。
10時頃になって、おやつを食べると、下がりきらない血糖値が上昇し、昼食時になっても下がりきらないのです。
そこで昼食を摂ると血糖値はさらに上昇します。
そして、3時のおやつを食べると血糖値はさらに上昇し、夕食によってもっと上昇するのです。
お腹が空いたと行って夜食を食べると、血糖値はさらに上昇することになるのです。
食事前には血糖値をきちんと下げておくことが必要なのですが、糖尿病や隠れ糖尿病で血糖値の低下が悪くなっている人が間食を摂るとこのように血糖値は上積みされどんどん上がってしまうのです。
糖尿病では食後血糖が下がらない
食後血糖値がなかなか下がらないのが糖尿病です
朝食前の空腹時血糖値はまあまあ健常人のレベルまで下がるが、食後血糖値の下がり方が悪いのが隠れ糖尿病です。
健康診断時には前の日の夕食を夜9時頃までには済ませる人が多いので、隠れ糖尿病のヒトでも翌日の健康診断時の空腹時血糖値健常人のレベルまで下がるので、隠れ糖尿病は通常の健康診断の血液検査では見つからないことが多いのです。
糖尿病や、検診で「やや血糖値が高い」といわれた「隠れ糖尿病の疑い」があるような、血糖コントロールが良くないひとは、食前血糖をしっかり下げておくために、間食をしないほうが良いのです。
間食の種類を選べば多少は許される?
糖尿病の食事療法で「カロリー制限」を実行しているヒトは間食をするとカロリーを摂取するのですから、その分だけ昼食や夕食のカロリー数を減らす必要があるので、どうしても空腹に耐えきれずに間食をした場合にはきちんとカロリー制限をする必要があります。
間食で問題になるのは血糖値の上昇です。
血糖値を上昇させるのは炭水化物だけです。
炭水化物は消化酵素に分解されてブドウ糖になり腸から吸収されて血糖を上げるのですが、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解され、ブドウ糖にはなりません。
血糖を上げるのは炭水化物で、蛋白質や脂肪をいくら食べても血糖は上昇しないのです。
ノンフライの野菜チィップスなどが最適
どうしても空腹に耐えきれずに間食をしたいときには、ノンフライの野菜チップスなどが最適です。
ノンフライですから脂肪分がなく、野菜ですから食物繊維でカロリーも少なく血糖値を上げることはありません。
糖尿病の食事療法でも、「顆路e制限」ではなく「糖質制限」をしている方であれば、ナッツやチーズ類なども大丈夫ですし、糖質を含まないもので有れば何を食べても大丈夫です。
注意する必要があるのが隠れ砂糖です。
- 清涼飲料水
- スポーツドリンク
- 果物
- ヨーグルト
などです。
特に、最近の果物は非常に甘くて美味しいのですが、それらは糖分です。
また、健康に良いと言ってヨーグルトを食べる人も多いのですが、無糖を選ぶことを忘れないでください。
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食物繊維を多く摂って空腹を抑える
間食をしたくなるのは空腹感を感じるからです。
空腹までは行かなくても、口寂しさを感じて何かを口にしてしまうのです。
食物繊維の多いものを食べる
水溶性食物繊維は消化管の中でゼリー状態になって膨らむので満腹感が得られやすいです。
また、ゼリー状になったて他の食物を包み込むことによって消化酵素による消化をゆっくりと抑え、腸内での移動スピードも遅くするため満腹感が自足し、いわゆる「腹持ちが良い」といわれる状態になるのです。
そして、食後血糖値のいわゆるグルコーススパイクを抑える働きもあるのです。
食物繊維は野菜に多く含まれています。
元プロレスラーのアントニオ猪木さんは山盛りのキャベツを毎食前に食べて糖尿病を克服をしています。
詳しく見る ⇒ アントニオ猪木が糖尿病を克服した方法を知っていますか?
キャベツダイエットで血糖値が下がるという本も出ています。
しかし、会社勤めをしているあなたには難しいことですよね、、、
そんな方に良いのが菊芋です。
イヌリンは糖尿病の血糖値を下げる
菊芋とは菊科のヒマワリ属の植物で、菊に似た花が咲き、根茎が芋状になることからキクイモといわれるのですが、イヌリンといわれる水溶性植物繊維を多く含んでいるのです。
菊芋に含まれる水溶性食物繊維であるイヌリンは、消化管内でゲル状になり、食物の消化吸収を抑え、食後血糖値の上昇を抑えることからアメリカでは古くから、「天然のインスリン」といわれているのです。
菊芋はネット販売で入手することも可能ですが、サプリメント状になったキクイモ・パウダーが便利です。
食物繊維が少ないと思ったときには手軽に摂ることができ便利です。
詳しく見る ⇒ 菊芋の効果
糖尿病の食事療法はカロリー制限より糖質制限
糖尿病の食事療法で「カロリー制限」をしている方は、間食は厳禁です。
糖質制限をしている方は、炭水化物を含まないもので有ればいくら間食をしても大丈夫です。
それは上にも書きましたように、
血糖値を上昇させるのは炭水化物だけだからです。
米国糖尿病学会でも2013年に従来のカロリー制限による糖尿病の食事療法は間違いだったとして、糖質制限の方向に舵を切ったのです。
日本糖尿病学会の食事療法は、依然として、
- 必要なだけのカロリーを摂る
- カロリーの60%は炭水化物から摂る
との方針ですが、糖質制限に切り替わるのも時間の問題だといわれています。
糖質制限が悪いといわれるのは、「糖質ゼロ」、「主食を食べない」などの極端な指導書が多いからです。
「糖質ゼロ」にする必要はありません。
「主食を食べない」ことでこれから何十年も過ごせるはずはありません。
- 朝食のパンを半分にする
- 夕食のご飯を半分にする
これだけで良いのです。
これが糖質制限なのです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病の食事療法は糖質制限がベター
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