糖尿病の疑いを指摘されても受診しない人が2/3もいる
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝へします。
はじめに
厚生労働省によればわが国の糖尿病の患者は、
「糖尿病が強く疑われる人」は820万人
「糖尿病の可能性を否定できない人」は1,050万人
と推計されています。
「糖尿病が強く疑われる人」とは、
HbA1cが6.1%以上か現在糖尿病の治療を受けている人で、
「糖尿病の可能性を否定できない人」とは、
HbA1cが5.6%~6.1%の人です。
健康診断で、HbA1cが6.1%以上や5.6%~6.1%であれば、
「病院で糖尿病の検査を受けて下さい」
と注意されるのですが、
糖尿病と指摘されて受診をすすめられても1/3程度しか受診していない
というのです。
「糖尿病の可能性を否定できない」糖尿病予備軍でも食生活や運動に気を付ければ糖尿病を避けられるのです。
糖尿病の検査を受診しない人が2/3もいる
日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイドラインでは、
血糖値の指標であるHbA1cの正常値は4.6〜6.2%としています。
健康診断でHbA1cが6.1%以上であれば「医療機関で糖尿病の検査を受けて下さい」と注意されるのですが、
受診を薦められたにもかかわらず受診しない人が非常に多いというのです。
東京大学などの研究グループは、
健康診断などにおいて糖尿病と指摘された人が実際に医療機関を受診するかどうかを調べたのです。
詳しく見る ⇒ 東京大学プレスリリース
この結果は世界的科学雑誌であるDiabetes Careにも掲載されました。
A machine learning-based predictive model to identify patients who failed
to attend a follow-up visit for diabetes care after recommendations from a
national screening program
詳しく見る ⇒ 原著論文・Diabetes Care
この研究は、東京大学医学部附属病院の山口聡子特任准教授らのグループが行ったもので、5月7日のNHKニュースでも紹介されました。
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研究グループは、
医療統計データベース会社に登録された、
糖尿病の診断基準に該当する1万人余りを対象に、
AIを用いて、
6ヵ月以内に受診するかどうか
を分析したのです。
分析に際しては、
過去に医療機関を受診した頻度
服用している薬の種類
などの4つの項目を用いたと言うことです。
その結果、
糖尿病と指摘され医療機関の受診を勧められても、
実際に受診するのは3分の1程度にとどまる
ということが明らかになったのです。
受診しない人では、
- 過去1年間に医療機関を受診した頻度が少ない
- HbA1cの値が低い
- 脂質異常に関する薬を服用していない
- 高血圧の薬を服用していない
ということと関連が強かったそうです。
研究グループは、
少ない項目だけで予測できるので効率よく受診できる仕組みを作ることに役立つと考えてられるとコメントしています。
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まとめ
HbA1cが5.6%~6.1%の人は「糖尿病の可能性を否定できない人」として糖尿病予備軍とよばれます。
糖尿病予備軍は、今のままの生活を続けると糖尿病になるといわれる人達で、
1,050万人もいると言われています。
健康診断でHbA1cが5.6%~6.1%であれば「医療機関で糖尿病の検査を受けて下さい」といわれますが、
「医療機関で糖尿病の検査を受けて下さい」と言われたら必ず糖尿病の検査を受けて下さい。
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