寝る前に夕食を食べると糖尿病や肥満のリスクが高くなる
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えします。
はじめに
夕食は寝る何時間前に食べていますか?
寝る前には食べ物を食べないようにしていますか?
寝る前に食べると糖尿病や肥満になりやすいといわれているのですが、
先進国ではファストフードやジャンクフードなどの加工食品の消費が多く、
1/3の人は就寝に近い時間に夕食や間食を食べているといわれていますが、
アメリカの研究グループは、
夜遅い時間にはインスリン分泌が低下し血糖値が上がりやすく、
就寝時間に近い夕食は糖尿病のリスクが高くなる、
という研究結果を報告をしています。
寝る前に食べると糖尿病や肥満のリスクが高い
夕食は寝る何時間前に食べていますか?
寝る前に夕食を食べると糖尿病や肥満のリスクが高くなるということには科学的根拠があるのです。
米国のマサチューセッツ総合病院の研究グループは、
寝る時間に近い夜遅い時間に夕食を食べると、
睡眠に関与しているメラトニンの分泌が増えており、
血糖値を下げるインスリンの分泌が抑制されて、
血糖値が上昇しやすくなる。
という研究成果を発表しました。
Interplay of Dinner Timing and MTNR1B Type 2 Diabetes Risk Variant on Glucose Tolerance and Insulin Secretion: A Randomized Crossover Trial
詳しく見る ⇒ Diabetes Care
メラトニンは睡眠に関するホルモンで、夜になるとメラトニンの分泌が増えて眠くなるのですが、
最近の研究で、
メラトニンはインスリン分泌やインスリン抵抗性に関与していることが明らかになっているのですが、
研究グループは、
メラトニンと血糖コントロールの関係を調べるために臨床試験を実施したのです。
成人845人を対象に、
- 1日目と2日目は : 早めの時間に夕食を食べる
- 3日目は : 遅めの時間に夕食を食べる
というクロスオーバー試験を行ったのです。
また、早い時間と遅い時間に糖負荷試験もおこない比較しました。
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遅めの夕食では血糖値が高くなる
その結果、
- 夜遅い時間にはメラトニン値が3.5倍に上昇している
- 夕食が遅いと血糖値を下げるインスリンの値が低下して血糖値が上昇しやすい
ということが分かったのです。
さらに、
MTNR1Bの遺伝子変異をもつ人では夕食が遅いと特に血糖値が高くなる
ということも判明したのです。
MTNR1Bの遺伝子変異というのはメラトニン受容体に変異がある人ですが、
この変異はおよそ半分の人がもっているといわれているのですが、
この変異がある人では夕食が遅いと特に糖尿病のリスクが上昇しやすいというのです。
研究グループは、
糖尿病の人では、
- 就寝前の2~3時間前までに夕食を済ませ、
- 就寝前は食物を食べない方が良い
とアドバイスしています。
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寝る前の食事で1ヵ月で体重が3kg増加する
寝る前に食事をすると確実に肥満に進行します。
寝る前に食事をすると、1ヵ月の体重増加は平均は2.6kgだといわれています。
脂肪細胞にはBMAL1といわれる蛋白質があるのですが、
BMAL1には、
脂肪細胞に脂肪を溜めこむ
という働きがあるのですが、
BMAL1の量は22時~3時頃が最も多くなる
ことから、
22時~3時頃に食事をすると脂肪が蓄積されやすくなるのです。
さらに、食べてすぐ寝ると摂取したカロリーは消費されることなく体に蓄積されるのです。
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まとめ
寝る前に食事をすると糖尿病や肥満のリスクが高くなるということには科学的根拠があるのです。
しかしどうしても仕事が遅くなって夕食が摂れないときもあるでしょう。
このようなときには、
血糖値を上げやすいご飯などの炭水化物は避け、
脂肪分の少ないものを食べるようにしてください。
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