糖尿病でも血糖コントロールと減量でガンのリスクは低下する
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。
糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、
糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。
今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えします。
はじめに
糖尿病や肥満ではがんになりやすいということはご存じですよね。
糖尿病ではがんのリスクが2倍になることから、
糖尿病はがん予備群とまでいわれているのです。
さらに、糖尿病の一歩手前の糖尿病予備群でもがんのリスクが高いのです。
以前にこのサイトでちょっとの減量で乳がんのリスクが下がるということをお伝えしましたが、
ウェーデンの研究グループは、
血糖コントロールが良好で肥満を解消したらガンのリスクが60%低下した
という研究結果を発表しました。
血糖コントロールが良く減量すればガンのリスクが60%低下
糖尿病や肥満ではガンのリスクが高いことは多くの疫学調査で明らかにされ、
糖尿病や肥満ではガンになりやすい
ということは科学的にも間違いのないことなのですが、
スウェーデンのヨーテボリ大学の研究グループは、
- 良好な血糖コントロール
- 健康的な体重
を維持すれば、ガンのリスクが60%も低下した
との研究結果を発表しました。
Association of Bariatric Surgery With Cancer Incidence in Patients With Obesity and Diabetes: Long-Term Results From the Swedish Obese Subjects Study
詳しく見る ⇒ Diabetes Care
研究グループは、
「スウェーデン肥満研究」の介入試験のデータやガン統計などのデータを用い、
- 肥満症を治療した糖尿病患者 : 393人
- 肥満症で糖尿病患者 : 308人
についてガン発症について比較したのです。
その結果、
両グループでの「ガン発症」は、
- 肥満症を治療したグループ : 17% (68人)
- 肥満症を治療しなかったグループ : 24% (74人)
と、肥満症を治療したグループではガン発症のリスクが37%低下したのです
さらに「血糖コントロール」と「ガンの発症」の関係を調べたところ、
- 良好な血糖コントロールを10年間維持 : 12% (102人中12人)
- 血糖のコントロールが不充分 : 22% (335人中75人)
であり、
肥満症を治療し血糖コントロールも良好の人ではガン発症が60%低下した
ということが明らかになったのです。
研究グループは、
糖尿病ではガンのリスクが高く、肥満は喫煙よりもガンのリスクが高いが、
糖尿病や肥満であってもガンを予防することが可能であることが分かったと述べています。
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糖尿病でガンになりやすい理由は不明
何回も述べているように、
糖尿病ではガンになりやすい
ということは科学的にも間違いのないことなのですが、
どうして糖尿病ではガンになりやすいことの理由は判明していないのです。
国立がん研究センターの予防研究グループでは、
- インスリンの増加
- IGF-1の増加
が、腫瘍細胞の増殖を刺激してがん化に関与するのではないかと推察しています。
少し難しいのですが、
糖尿病ではインスリン抵抗性が高くなりインスリンの働きが悪くなるため、
インスリンがたくさん分泌されて血中インスリン濃度が高くなります。
血中のインスリン濃度が高くなると、
インスリン様増殖因子-1といわれるIGF-1の活性を上昇させ、
IGF-1が細胞のガン化やガンの増殖を促進するのではないかというのです。
女性では、
インスリンは肝臓での女性ホルモンを増加させる作用があることから子宮内膜ガンのリスクが高くなるのではないかと推察されているのです。
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まとめ
日本では「2人に1人がガンで死亡する」といわれていますが、
「6人に1人が糖尿病か糖尿病予備群」で「4人に1人が肥満」だといわれています。
糖尿病ではガンのリスクが2倍になると言われているのですが、
- 体重を減らす
- 血糖コントロール
この二つでガンのリスクは大幅に低下するのです。
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