糖尿病におけるEDの原因と治療
糖尿病ではED(勃起不全)になる確率が非常に高いのです。
糖尿病患者では健常者に比べED率が2~4倍も高いそうです。
糖尿病ではどうしてEDになるのか?
そしてその治療は?
実は、
糖尿病のEDはバイアグラなどの治療薬は効果がないともいわれているのです、、
陰茎が勃起する仕組み
糖尿病でどうしてEDになるのかを考える前に、
『陰茎はどうして勃起するのか』、を知る必要があります。
勃起の仕組みは簡単にいえば、「海綿体の筋肉とペニスの動脈が緩み、そこに大量の血液が流れ込むため」といえます。
その中で、重要な働きをしているのが
- NO(一酸化窒素)
- サイクリックGMP(サイクリックグアノシン1リン酸:c-GMP)
なのです。
性的な興奮(視覚、聴覚、触覚、など)や想像によって性感が刺激されると、脳幹の視床・視床下部の特定部位の働きが活発になります。
この性的興奮の情報は交感神経と副交感神経によって陰茎の神経に伝達されます。
これにより、陰茎の神経終末と内皮細胞からNOが分泌されます。
さらにNOはcGMPを産出させます。
cGMPは血管を拡張させるます。
血管拡張により陰茎海綿体に大量の血液が流れ込みます。
陰茎海綿体に血液が流れ込んで膨らむことにより陰茎静脈が圧迫され、陰茎海綿体にはますます血液が貯留し硬く勃起するのです。
勃起にはNOが必須なのですが、実際には血管を緩めて拡張させる役割はcGMPの働きによって起こります。
EDの直接の原因はcGMPの減少によるものが多く、EDにおける薬物療法では
- NO産出促進
- cGMP減少阻止
の作用がある薬物が使われます。
実際には、「ED治療薬はcGMPの分解を抑制する薬」で、正式名称は「PDE5阻害薬」で、バイアグラはPDE5阻害薬です。
PDE5というのは、cGMPを分解する酵素で、この酵素を阻害することによってcGMPの分解が阻害されて持続的な勃起が可能となるのです。
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糖尿病ではどうしてEDになるのか
厚生労働省委託事業によるMinds(マインズ)ガイドラインセンターの調査によると、
近年、日本人において性機能の低下が著しく、
- 70代では71% が中等度ないし完全EDで、
- 40代男性でも約20%がDE有病者
だということです。
また、企業従事者とその家族に対する調査でも、加齢によりEDの有病率の上昇がみられ、
慢性疾患のため通院中の患者4,609名を対象とした調査や、
2,084名の人間ドックのデータを解析した調査によっても同様の結果が得られ、
米国における同様の調査結果と比較すると日本人でのDE有病率は米国に比べ高いという結果が得られています。
さらに、EDを訴えて泌尿器科を受診した患者のうち17% が既知の糖尿病であり、空腹時血糖値を調べて5% で糖尿病が見いだされ、
12% に耐糖能異常が発見されたということで、実に34%が糖代謝異常だったとのことです。
海外の自己記入による調査では糖尿病患者の35~46%、直接面接調査では36~65%がEDを有しており、
わが国における調査でも糖尿病薬物療法中の患者の42~90%がEDだった報告されており、
糖尿病でのED有病率は非糖尿病と比べると2~4倍高い
そうです。
詳しく見る ⇒ 糖尿病ではEDが高率
糖尿病でなぜ勃起障害が多いのか
高血糖状態が続くと、血管障害で血液の流れが悪くなったり、神経障害が起こることはこのサイトでも何回もお話ししました。
糖尿病は、高血糖による血管の病気なのです。
糖尿病におけるDEの原因もこの二つが関わっていると考えられています。
- 血管障害による血流の流れが悪くなる
- 高血糖による神経障害
陰茎の内部には、陰茎海綿体というスポンジ状の組織があります。
上の勃起のメカニズムにも書きましたように、陰茎海綿体で性的刺激などを受けると、
- 自律神経の働きにより海綿体内部の動脈が拡がり、
- 多量の血液が送り込まれてることにより、
- スポンジが膨らむように膨脹が始まり
そして、勃起するのです。
それと同時に、海綿体の膨張によって海綿体内の血液の流出口にあたる静脈が圧迫されて血液の流出が阻害され、
海綿体にはますます血液が溜め込まれることになり膨脹した状態を維持します。これが陰茎の勃起なのです。
糖尿病の高血糖により、血管障害(血流障害)や神経障害がおこると、この一連の過程がスムーズに進まなくなり
- 全く勃起しない
- 勃起しても硬さが十分でない
- 勃起が長く続かない
などのED症状が現れるのです。
健康な男性でも加齢により血管障害や神経障害が進むことから、
少しずつ勃起能力が衰えていきますが、
糖尿病では高血糖による血管障害でこのスピードが加速され、
高頻度にそして高いレベルの勃起機能低下が起きるのです。
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糖尿病患者のED対策
1300万人とも言われますが、ED治療薬を服用している患者は100万人程度と言われています。
これは、EDは健康保険がきかない自由診療であること、日本人はナイーブで勃起不全という症状で医者の診療を受けたがらないこと、インターネットなどでもED治療薬が入手できるからだと言われています。
糖尿病患者におけるEDの発症頻度は、報告によっても異なりますが一般外来ベースでおおよそ23~35%位だと言われています。
しかし、糖尿病では重症のEDが合併しやすく、
ある大学病院での統計によると、
糖尿病患者の76%が重症勃起不全で、
その重症化には血糖コントロールに指標であるHbA1c、また年齢などの因子が関連していると報告されています。
糖尿病のEDでは薬が効きにくい
糖尿病性EDの治療に一番最初に用いられるのは、
- バイアグラ
- レビトラ
- シアリス
などに代表されるPDE5阻害剤です。
糖尿病患者におけるED治療薬の有効率は他の原因によるEDより低く、
バイアグラ(シルデナフィル)の有効性は56%
といわれています。
国内におけるバイアグラの認可量は50mgですが、糖尿病患者のEDでは100mgでなければ効果がないという症例報告が多いようです。
さらに、血糖コントロールの良い患者ほど、バイアグラの有効率が高いとの報告もあり、糖尿病性EDにおいても血糖管理が第一です。
糖尿病によるEDではバイアグラが効きにくいのです
糖尿病によるEDでも血糖管理が重要なのです
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