母乳授乳は妊娠糖尿病を予防する

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

妊娠糖尿病は妊娠中に高血糖になる症状で、

妊婦の10%が妊娠糖尿病になるといわれていますから他人事では済まされません。

妊娠糖尿病は母体の血糖値が上がるのですが、妊娠糖尿病は胎児への影響が大きいのです。

  1. 流産
  2. 胎児の形態異常
  3. 巨大児

だけではなく、分娩後も過体重や肥満のリスクが高まるのです。

そして、

妊娠糖尿病の女性は分娩後に糖尿病になるリスクが7倍位以上も高いといわれています。

妊娠糖尿病を防ぐには、

  • 食事
  • 運動

に気を配る必要がありますが、

母乳授乳は妊娠糖尿病やその後の糖尿病のリスクを低下させる

というのです。

 

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妊娠糖尿病が増えている

妊娠糖尿病とは、

妊娠中に初めて糖尿病になることです。

 

妊娠前から糖尿病だった女性が妊娠した場合には、

糖尿病合併妊娠

といわれ妊娠糖尿病には含まれません。

 詳しく読む ⇒ 日本糖尿病学会

 

全妊婦の12%が妊娠糖尿病だといわれ、妊婦の8人に1人が妊娠糖尿病なのです。

さらに、

医療施設によって検査の方法にバラツキがあり、実際には妊娠糖尿病でも妊娠糖尿病だと診断されていない「隠れ妊娠糖尿病」が多いと言われています。

 

 

これは日本だけでなく、

国際糖尿病連盟は DIF Diabetes Atlas 2015 において、

東南アジアでは、全出生数の4分の1が妊娠糖尿病の影響を受けており、適切な管理がされない場合には、閉塞性分娩などの合併症が起きる可能性があり、長期的に母子の2型糖尿病が進行するリスクが高まる

と警告しています。

 

妊娠糖尿病では、

  • 流産
  • 形態異常
  • 巨大児
  • 胎児死亡

など胎児に重大な悪影響を与えることが明らかになっていますが、

最近では米国内分泌学会で、胎児の脳に影響を与えているとの報告もされています。

 


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妊娠糖尿病の経過

さらに、

妊娠糖尿病では、胎児の異常や死亡が多いなど胎児に悪影響を与えるだけでなく、

妊婦が分娩後に糖尿病になる確率が非常に高い

のです。

 

日本糖尿病・妊娠学会では、妊娠糖尿病だった妊婦のその後の糖代謝異常の割合を産後の糖尿病発症率が掲載されています。

 

  1. 産後1年以内に糖尿病になる割合 :  20.6~38%
  2. 産後5~15年以内に糖尿病になる割合 :  17~63%
  3. 40歳頃にメタボリックシンドロームを発症する確率 :  27.2%

と述べています。

 

妊娠中に糖尿病になると、

将来、糖尿病になる確率が正常妊婦に比べて7.43倍も高い

のです。

 


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母乳授乳は妊娠糖尿病を予防する

一般的な糖尿病(2型糖尿病)の原因は、

  • 食べ過ぎ(肥満)
  • 運動不足

が主な原因だと言われています。

 

消費カロリー以上にカロリー(食事)を摂りすぎると吸収された糖が消費されずに高血糖になってしまうのです。

 

したがって、妊娠糖病病を予防するためにも、

  1. 食べ過ぎ
  2. 運動不足

に注意する必要があるといわれているのです。

 詳しく読む ⇒  妊娠糖尿病は食事と運動で治る

 

母乳授乳を半年間おこなうと妊娠糖尿病を予防できる

 

分娩後は母乳授乳をすれば妊娠糖尿病を予防できる

妊娠糖尿病であれば分娩後も血糖管理を行わなければ糖尿病になってしまう確率が7倍も高いのですが、

授乳をすれば分娩後の糖尿病への移行を防ぐことができる

ということをお知らせしたのですが読んでいただけたでしょうか?

詳しく読む ⇒ 妊娠糖尿病は食事療法より母乳の授乳

 

さらに今回、アメリカの研究グループは大規模の疫学研究で、

  1. 母乳の授乳をおこなった女性では2型糖尿病リスクが低下する
  2. 母乳授乳を6ヵ月以上行った女性は母乳授乳しなかった女性に比べて糖尿病リスクが半減した

こと明らかになったと発表しました。

Lactation Duration and Progression to Diabetes in Women Across the Childbearing Years: The 30-Year CARDIA Study.

This study provides longitudinal biochemical evidence that lactation duration is independently associated with lower incidence of diabetes. Further investigation is required to elucidate mechanisms that may explain this relationship.

 

    詳しく読む ⇒ 原著論文

 

この研究は、アメリカの保険会社であるカイザー・パーマネンテ社のグループがおこなったもので、

1985~1986年に出産を1回以上経験した18~30歳の女性1,238人を対象にして、

30年間に亘って糖尿病の発症を追跡調査したのです。

 

その結果、

30年間の追跡期間中に、

182人が2型糖尿病を発症した

のですが、

母乳授乳をした女性では糖尿病のリスクが低く、

  • 母乳授乳を6~12ヵ月行った女性 : 糖尿病のリスクが48%い
  • 母乳授乳を12ヵ月以上行った女性 : 糖尿病のリスクが47%い
  • 母乳授乳が6ヵ月未満だった女性 : 糖尿病のリスクが25%低い

ということが分かったのです。

 

研究グループは、

母乳授乳により産後の母体の代謝が調節され早期に正常に回復することが影響したのではないか

とコメントしていますが、

 

母乳授乳は、

  • 妊娠前の体重に戻りやすくなる
  • 分娩後の出血を抑える
  • 乳がんや卵巣がんのリスクを低下させる

ことなども報告されているのです。

 

さらには、

母乳授乳をすると、

  • 中性脂肪や血糖値の正常への回復が早い
  • インスリン分泌が抑えられ体脂肪の消費が上がる

ということだけでなく、

乳児や小児においても母乳授乳は、

  1. 感染症を防ぐ
  2. 糖尿病を予防する
  3. がんのリスクを低減させる
  4. 過体重や肥満を低減させる

と子供に対する好影響を与えるのです。

 

体形が崩れるからと母乳授乳を嫌がる妊婦さんが多いのですが、

母乳授乳は可愛い赤ちゃんのためだけでなく、あなたのためでもあるのです。

 

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