糖尿病ならコエンザイムを飲んではいけないのか?

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

高血圧や糖尿病の薬との併用避けるべき人気サプリ成分を知っていますか?

2017年6月16日号の週刊ポストの特集は、

あなたが飲んでいる薬と一緒に飲んではいけない健康食品一覧

でしたが、読みましたか?

週刊ポストは糖尿病治療薬とコエンザイムは一緒に飲んではいけない

この記事によると、

コエンザイムは血糖値を下げるので、

糖尿病治療薬と一緒に飲んではいけないというのです。

コエンザイムのサプリを飲んでいる人はたくさんいますが、

あなたは大丈夫でしょうか?

 

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糖尿病薬とコエンザイムを一緒に飲んではいけない?

週刊ポスト2017年6月16日号の特集は、

あなたが飲んでいる薬と一緒に飲んではいけない健康食品一覧

でしたが、ご覧になりましたか?

 

記事の中で、

薬学博士で日本くすり教育研究所・代表理事の加藤哲太氏は、

コエンザイムは医療機関で強心薬として処方されている成分です。

そのため心臓病の薬と併用すると作用が増強する恐れがある。

コエンザイムQ10は血圧や血糖値を下げるという報告もあるので、

高血圧や糖尿病の薬との併用も避けるべきです。

と述べているのです。

 

しかし、

大手サプリメントメーカーであるファンケルの注意書きには、

糖尿病治療薬とコエンザイムを一緒に飲んではいけないのは血糖が下がりすぎるから

 

【1日の目安】
   3粒
【主要成分/1日3粒当たり】
   還元型コエンザイムQ10:100mg
【ご注意】
  ※本品は、原材料の一部に大豆が含まれます。
   食品アレルギーをお持ちの方はお召し上がりにならないでください。
  ※妊娠・授乳中の方、お子様はお召し上がりにならないでください

と、妊婦や授乳中の人に対する注意書きはあるのですが、

糖尿病の治療薬を飲んでいる人に対する注意書きはないのです、、、

 

ネットではコエンザイムのサプリメントの販売サイトが非常にたくさんあります。

 

しかし、

それらの販売サイトでも、

糖尿病治療薬を飲んでいる人は飲んではいけないというような記載は見当たりません、、、

 

むしろ、安全性を強調して販売を促進するような記事が目立ちます。

一般にコエンザイムQ10は大量に使用した場合でも副作用が起こりにくく
安全性が非常に高いと考えられているのです。
医薬品としての科学的な裏付けがあったからこそ、健康食品として認められたのかもしれません。
結論を言えば、コエンザイムQ10は非常に安全な物質です。

コエンザイムQ10は医薬品としても承認されているから安全だというのです。

 


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コエンザイムとはどんなサプリメントか

コエンザイム(あるいはコエンザイムQ10)は、
アンチエイジング効果があるとして多くの種類のサプリメントが販売されています。

コエンザイムは、ユビキタス(もしくはユビキノン)と呼ばれる物質です。

 

少し難しくなってしまいますが、

コエンザイムQ10といわれるのは、5個の炭素でできたイソプレンと呼ばれる構造が10個つながっているからで、現在までコエンザイムQ1~Q12まで見つかっているのですが、私達の体の内で働くのは主にQ10です。

 

コエンザイムの働きは、

  1. 体内のエネルギー単位であるATPの生産を助ける
  2. 抗酸化作用により活性酸素を除去する

という主に2つの働きがあり、

抗酸化作用によりアンチエイジング効果が期待できるというのです。

活性酸素は糖尿病の原因でもあるのですが、コエンザイムが糖尿病に効果があるわけではありません。

を謳っているサプリメントが

 

また、コエンザイムのサプリには「還元型」と明記された物とそうではないものがありますが、抗酸化作用を示すのは還元型の方なのです。

 

コエンザイムの歴史

コエンザイムには長い歴史があります。

  • 1957年 ウィスコンシン大学の研究者がウシ心臓よりコエンザイムQ10を発見 
  • 1973年 日本でうっ血性心不全治療の医療用医薬品として世界で初めて認可
  • 1991年 日本で一般用医薬品としての販売が認可
  • 2001年 日本で食薬区分の変更により食品成分としての利用が認可

 

日本においては、コエンザイムQ10は「うっ血性心不全」の治療薬として医療用医薬品としての認可を受け、

さらに機能性食品としての認可も受けている物質です。

 

医薬品と健康食品の安全性は同一ではない

上に紹介したウエブサイトでは、

 コエンザイムは医薬品として承認されているから安全

というような表記がありましたが、大きな間違いです。

医薬品として承認されるには非常に高いハードルがたくさんあります。

  1. 物性
  2. 製造過程
  3. 安全性
  4. 副作用

など、多くの試験をクリアーする必要があります。

例えば物性や製造法では、

医薬品の場合は、混在する不純物を除去して単一の化合物に精製した成分が用いられ、製造方法や成分含有量などはGMPといわれる薬機法に基づく品質管理基準 により厳密に規定され、摂取してからの血中濃度や代謝産物なども規定されます。

一方、食品成分としては同じ成分を含んでいても、健康食品では、商品の品質 (不純物混入の有無) 、商品中の表示成分含量の真偽、摂取したときの体内吸収等の特性は、医薬品と同等ではないのです。

したがって、医薬品として承認されているということだけで、コエンザイムが安全だというわけではないのです。
 

コエンザイムQ10は血糖値を下げる

さて、前置きが長くなってしまいました。

糖尿病治療薬とコエンザイムQ10を一緒に飲んではいけないのか?

という今日の問題に戻りましょう。

2002年に西オーストラリア大学の研究グループは、

コエンザイムQ10は糖尿病患者で血糖値を下げる

という研究論文をEur J Clin Nutr. に発表しています。

 

Coenzyme Q10 improves blood pressure and glycaemic control: a controlled trial in subjects with type 2 diabetes.

CONCLUSIONS:
These results show that CoQ supplementation may improve blood pressure and long-term glycaemic control in subjects with type 2 diabetes, but these improvements were not associated with reduced oxidative stress, as assessed by F2-isoprostanes.

     詳しく読む ⇒ Eur J Clin Nutr. 2002 Nov;56(11):1137-42.

さらに、

コエンザイムQ10は糖尿病患者で血圧を下げたという論文も発表されています。

 

週刊ポストの記事の中で、

日本くすり教育研究所・代表理事の加藤哲太氏が、

高血圧や糖尿病の薬との併用も避けるべきです

と述べているのは、このことによるのでしょう。

 


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ファンケルにコエンザイムと糖尿病薬の併用を聞いてみた

ファンケルはコエンザイムも販売しているサプリメントの大手販売会社です。

ファンケルは購入者からの飲み合わせ相談に対応できるように相互作用データを蓄積させた「SDIシステム」を用意しているとのことで、

ファンケルのホームページには、

 FANCL お問い合わせ・相談窓口

があり、電話もしくはメールで問い合わせることができます。

ただし、メールでの問い合わせは会員登録をする必要があります。

 

電話でファンケルに聞いてみた

そこで電話で、

糖尿病の治療薬とコエンザイムQ10を一緒に飲んで良いのか?

を聞いてみました。

「お客様相談室」に電話を掛けて、

コエンザイムQ10と糖尿病の治療薬との飲み合わせについて質問をしたところ、

「サプリメント相談室」に電話が回されました。

 

コエンザイムQ10と糖尿病の治療薬の飲み合わせについては、

  1. 併用の可否は糖尿病の治療薬の種類による
  2. コエンザイムQ10には血糖をさげる作用が確認されている

とのことで、

飲んでいる糖尿病の治療薬を知らせてくれれば詳しく答えられる

とのことでした。

 

さて、結論なのですが、

 

週刊ポストの記事のように、

コエンザイムQ10には血糖を低下させる作用があることには科学的根拠があります。

しかし、

論文におけるコエンザイムQ10の摂取量は1日当たり200mg以上とかなり多量なのです。

一方、

ファンケルのコエンザイムQ10のサプリの摂取量は1日に2粒で60mgなのです。

 

糖尿病の治療薬を飲んでいてもコエンザイムQ10を飲んでも問題はなさそうです。

しかし、

糖尿病治療薬 の種類によってはコエンザイムQ10が血糖値の低下を強めてしまう可能性が全くないとは断言できません。

心配な方は「お客様相談室」に電話を掛けてみたらいかがでしょうか。

 

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