痩せていても内臓脂肪が多いと糖尿病になる

今日もご覧になっていただきありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

糖尿病治療薬の開発を行っていた私が言うのも何ですが、

日本糖尿病学会厚生労働省も述べるように、

糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本なのです。

今日も科学的根拠に基づいた糖尿病関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

肥満は糖尿病の大きな原因であることは間違いありません。

減量すれば糖尿病を予防できることは医学的に明らかになっています。

だからといって、

自分は痩せているから糖尿病の危険は少ない。

そんな風に思っていませんか?

しかし!!

これは大きな間違いなのです。

体脂肪には、

  • 皮下脂肪
  • 内臓脂肪

の2つがあり、

痩せていても内臓脂肪が多ければ糖尿病になる危険が大きいのです。

そして、

日本人は欧米人より内臓脂肪が付きやすいのです。

 

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内臓脂肪が多いから男性は女性より糖尿病になりやすい

男性は女性より糖尿病になるひとが多いのです。

どうしてでしょうか?

  1. 男性は女性よ暴飲暴食するヒトが多い
  2. 男性は女性より肥満のヒトが多い
  3. 男性は女性より外食が多い

いずれもバツです。

 

スウェーデンの研究グループは、

男性では女性より糖尿病が多いのは内臓脂肪量の差が関係している

という研究報告を発表しました。

Higher Prevalence of Type 2 Diabetes in Men Than in Women Is Associated With Differences in Visceral Fat Mass.

Conclusions:
The higher prevalence of type 2 diabetes in older men than in older women was associated with larger amount of visceral fat in men. In contrast, differences in BMI was not associated with this difference.

     詳しく見る ⇒ 原著論文

研究グループは、検査時の年齢が70歳だった、

  • 男性 : 705人
  • 女性 : 688人

を対象に、

  • 体脂肪、血糖値と2型糖尿病有病率との関係

を検討したのです。

 

その結果は、

 

糖尿病の割合は、

  1. 男性 : 14.6%
  2. 女性 : 9.1%

で、統計学的に有意に男性の方が糖尿病が多かったのですが、

BMIに関しては、

  1. 男性 : 27.3
  2. 女性 : 26.6

と男性がやや高かったのですが、

内臓脂肪量については、

  1. 男性 : 1,987g
  2. 女性 : 1,077g

と、男性は女性に比べて内臓脂肪量が統計学的に有意に多かったのです。

研究グループは、男性の糖尿病が多いのは内臓脂肪量と関係していると結論しています。

 

男性は内臓脂肪が多いが女性は皮下脂肪が多い

肥満度を表す指標として、BMIが使われます。

       BMI =体重(kg)÷ [身長(m) x 身長(m)] 

で計算されますが、

 

WHO(世界保健機構)は1994年に基準値を発表していますが、外国人と日本人では体格や生活習慣病が異なるため、

日本人の基準値は、

  • 男性 : 22.0
  • 女性 : 21.0

と決められ、この値より大きい場合には肥満とされます。

 

しかし、同じ肥満でも、

  • 男性は 内臓脂肪型
  • 女性は 皮下脂肪型

といわれ、上のスウェーデンの研究グループの研究でも明らかなように、

 

BMIがほぼ同じでも

男性は内臓脂肪が多いのです。

 

女性は内臓脂肪が少ないので糖尿病になりにくい男性は内臓脂肪が多く痩せていても糖尿病の危険が大きい

 

内臓脂肪は糖尿病の原因

スウェーデンの研究グループが指摘しているように、糖尿病と内臓脂肪とは大いに関係があるのです。

徳島大学の研究グループは、脂肪細胞が肥大して変性して破壊された結果、細胞から放出されるDNAがインスリン抵抗性を高め糖尿病の原因になっているということを明らかにしていますし、

 詳しく見る ⇒ 糖尿病の原因と肥満の関係が解明

慶応大学の研究グループは、内臓脂肪における慢性炎症が大腸の炎症を誘発し、インスリン抵抗性を高めることを明らかにしています。

 詳しく見る ⇒ インスリン抵抗性が糖尿病の原因|慶応大学

 

肥満といえば、相撲取りが代表的です。

相撲取りのBMIは非常に高く、超肥満ですが、

相撲取りには糖尿病は少ない

のですが、

 

その理由は、

 相撲取りは内臓脂肪が少ない

からなのです。

 

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日本人は内臓脂肪が付きやすい

肥満度を表すBMIですが、

アメリカでは、BMIが30以上の肥満者は人口の35%以上もいるのですが、

日本人でBMIが30%以上は4%程度だといわれています。

 

そして、

国際的にはBMIが30%以上を肥満と判定するのですが、

日本ではBMIが25%以上を肥満と判定します。

 

その理由は、「日本人 は内臓脂肪が多いのではないか」と考えられているからです。

 

 

独立行政法人 国立健康・栄養研究所の研究グループは、

様々な論文で報告された日本 人と欧米の白人や黒人との腹部の内 臓脂肪断面積を比較しています。

 

その結果、

  • 日本人と白人の内臓脂肪断面積はほぼ同じ
  • 日本人の皮下脂肪面積は白人より少ない

ということが判明したのです。

 

さらに、

 腹部皮下脂肪断面積が同 じであれば日本人の内臓脂肪断面積が約15cmx2も大きい

い う結果が得られたというのです。

内臓脂肪が多ければ痩せていても糖尿病のリスクが高い

 

最近の研究では、

 日系アメリカ人は白人より内臓脂肪が多い

という結果 も得られており、

食生活などの生活環境の違いだけでなく、

 日本人は人種的に内臓脂肪が多い

というこ とが科学的にも明らかになっているのです。

 

  1. 日本人は皮下脂肪よりも内臓脂肪が多い
  2. 日本人は少し太ると内臓脂肪が増える
  3. 日本人はBMIが低くても内臓脂肪が多い

ということなのです。

 痩せているから糖尿病のリスクが低く安心

と言うわけにはいかないのです。

 


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